花いっぱいの谷川岳 (1,963m) 2002年6月8日(土)晴
芝倉沢出合
今年初の谷川岳、例年なら五月の連休に谷川詣でを行うのだが、今年は足を痛めて断念。少し遅めの谷川詣でとなった。厳しい中芝新道、今年の残雪状況はどうだろうか?
西黒尾根登山口…ラクダノ背……谷川岳山頂…オキノ耳…一ノ倉岳…芝倉沢出合…一ノ倉沢出合
0650 0835 1020-1025 1040-1115 1205 1425-1445
1530
谷川岳、苗場山、武尊山(昭文社エアリアマップ)、水上(1/25,000図)
単独
さあ、谷川岳だ。どのコースで歩こうか?谷川岳付近はいろいろなコースがあって、なかなか楽しめる山だ。土合や土樽と言ったJRの駅をうまく使えば周回コースも楽しめる。中芝新道コースに決まるまで、いろいろと案を作ってみた。第一案は西黒尾根から登り谷川岳、万太郎経由で土樽に下る。そして電車で土合まで戻る。第2案は、同じく西黒尾根から山頂、茂倉岳、そして土樽。第3案は西黒から山頂、蓬峠、そして湯桧曽川方面に下る。そして今回のコース…さてどれにしよう
JRの電車がもう少し本数があったらなあといつも思う。15時20分頃の土樽発に乗り遅れると、次は18時過ぎまでない。土合に車をおいて土樽まで電車で行き逆コースで土合に下りてくるのも考えられるが、あまり良い時間帯の電車がない。もう少し登山者のことを考えて運行してくれないかなあ(^-^;
と言うわけで、疲れのためあまり早起きはできないから電車利用は諦め第4案となった。このコースも厳しい下りや残雪、そして花、静けさと他のコースに負けずとも劣らない良いコースだ。
登山指導センターで届けを出し、一ノ倉沢出合へ行く。7時前というのにどの登山口も車でいっぱい。みんな早起きだなあ…一ノ倉沢出合の駐車場に到着。空きが二つほど合って滑り込みセーフ。まずは一ノ倉の荒々しい岩壁を見物。もう少し空気が澄んでいたら素晴らしい景観だろうなあと思うが、でもやっぱり凄い。きょうもたくさんのクライマーがとりつくことだろう。カメラを構えた写真家風の人や、さあ、登るぞと言った人たちで賑わっている。
やまびこ号(折り畳み自転車)を組立て、林道を颯爽と風を切りながら西黒尾根登山口へ向かう。さあ、いよいよ厳しい登りだ。小鳥の声や蝉の声。そして爽やかな風の音。急登もあまり苦にならず鉄塔に到着。今日はなんかぼんやりして展望は期待できないようだ。鉄塔付近でワラビを収穫。おみやげゲットだ。
そしてひたすら登り続ける。途中2組ほど追い抜いた。今日は快調!
最初の鎖場に数人がとりついていた。そこをすぎると展望が広がる。そして次の鎖場「お先に」と声がかかる。
ラクダノ背に到着。そしていったん下り、いよいよ岩場の登りとなる。目を凝らすと所々に登山者の姿が見える。ペンキマークに導かれ登るが、どこでも歩けそうな感じだ。でもできるだけコースを外さないように歩いた方が良い。人のあまり歩かないところは浮き石なども多く、ちょっと間違えばかなりの坂を転げ落ちることとなるだろう。油断は禁物だ(^-^;
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ハクサンイチゲ |
オキノ耳はまだ遙か |
山頂手前の残雪 |
サクラソウやハクサンイチゲなどが咲いている。いつもこのあたりで眺める景色には感動する。久しぶりにスケッチを楽しむ。しかし、しばらく描かなかったので腕が鈍ったのか、それとも心の余裕がないのか、元々下手なのか何かうまく描けない。今回はスケッチの部屋にアップするのはやめよう(^-^;
山頂手前はまだ残雪が多い。シラネアオイがたくさん咲いていた。そして、トマノ耳だ。たくさんの人が展望を楽しんでいる。もやっとしているとはいえこの時期としてはなかなかの景観だ。谷川岳??回の有名なおじさんもいた。すてきな編み笠をかぶってなかなか格好も良い。このおじさん当面の目標は三千回?!いやはやビックリ。
山頂は人が多くて落ち着かない。オキノ耳まで行って休もうと先に進む。いったん下り、そして登る。オキノ耳手前の山肌、昨年来たときは色々な花が咲いていたが、今年は時期が少し早かったためか、ハクサンイチゲだけ。オキノ耳をすぎて少し先の岩場で休む。のんびりと一休み。休んでいたらドドドッと雪崩の音、今の時期はどこかの山肌で底雪崩を起こしているようだ。まあ、この時期になれば人の歩くところに落ちてくる恐れはないだろう。
ひろに「いま山頂、予定通り中芝新道経由で下る」と連絡し、一ノ倉岳をめざす。ここから先はさらに人が少なくなる。シャクナゲがまだ新鮮な色をしている。山桜も咲いている。イワカガミやハクサンイチゲ、イワウチワが出迎えてくれて気持ちよい尾根歩きだ(と言っても一ノ倉岳への登りはきつかった)
途中で「のぞき」からクライマー達のがんばりを眺める。のぞきっていうとなんか間の抜けた感じがするが、ここはれっきとしたあの「魔の谷川岳」と言われる所以となった一ノ倉の岩壁。なにやら声を掛け合いながら今日も若者達が岩に命を懸けている。しばらく双眼鏡で楽しんだ跡、疲れた体にはこたえる一ノ倉岳への登り…
息を切らせてようやく山頂着。夫婦連れと思われるお二人が休んでいた。ロープウエーで登り土樽へ下りるとのこと。車を土樽において電車で土合まで行き登ってきたとのこと。なるほど…
この時間だったら、茂倉新道で3時過ぎの電車に間に合うなあと思いながら中芝新道を下る。
最初は笹で道がわかりにくいが、何となくこっちだよと言うように笹が少しだけ背が低い。油断していると窪みに足をとられる。こんなところで捻挫して歩けなくなったら最悪だ。慎重にゆっくり下る。このコース結構厳しい急な下りが続く。何しろ、芝倉沢出合まで標高差約1,000mを一気に下るのだ。しかし厳しい下りも武能岳方面の気持ちよさそうな稜線の展望や、右手の荒々しい岩峰、そして沢山の花達で飽きることもない。こんなに花が多かったっけ…と昨年歩いた時期を思い浮かべるが、やはり時期の違いだろう。ぐんぐんと下る。前方には朝日岳方面の山々がぐんぐんと大きく見えてくる。
なかなか豪快なコースだ。
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気持ちよい笹原。山は茂倉岳? |
イワウチワです |
中芝新道のくだり |
ぐんぐん、どんどんと下り、途中から左に曲がる。そしてトラバース気味にザレた道を下る。途中一カ所ロープが張ってあった。そして残雪をトラバースするところに来た。距離はわずかだが、下を見ると転んだらどこまでも落ちていきそうな感じだ。ちょっと腰が引ける。ゆっくり足を出してみるがやばそうな感じで戻る。そこで4本爪アイゼンの出番だ。しかし4本爪では何とも心細い。ストックをしっかりと突き刺し、一歩ずつキックで蹴り込みステップを切りながら進む。わずか数mだが、緊張でギコギコ状態だ。こんなことなら6本爪を持ってくるべきだった。車には積んだんだけどと反省した次第です。初めて使った4本爪。無いよりはましだが、この程度の使い勝手ならもう出番はないだろうな(^-^;
どうにか無事トラバース終了…そしてわずかで沢にでた。上を見ると単独行らしい人が下ってきていた。苦労するだろうなあの人もと思っていたら、「ラクッ〜」と絶叫が走る。思わず振り向くと、頭の倍はあろうかという大きな石が音を立てて転がってきた。幸い我が輩は左に折れたところで休んでいたので難を逃れたが、もう少し早い時間だったらやばかったかも知れない。たぶん単独行の人がトラバースするところで、苦労してザレた所を通ったとき落としたものだろう。人間が堕ちてこなくて良かったと胸をなで下ろす。
沢まででれば残雪は多いが、それほど急でもなくでこぼこしており、問題なく歩ける。所々に大きな石が残雪の上に今にも転げ落ちそうに乗っている。見渡せばあちこちの谷沿いから今にも何かが落ちてきそうな所ばっかりだ。時々後ろを振り返りながら慎重に下る。そしてようやく安心できる芝倉沢出合に到着した。残雪の下から轟々と流れる水、冷たい、顔を洗う、そして飲んだ。美味い!さっそくペットボトルに詰める。しばらく水割りで楽しめそうだ。
一ノ倉沢出合迄はちょっと長い林道歩きだが、木々の緑が心地よく気分良く歩けた。そして西黒尾根登山道でやまびこ号を回収し家路に向かう。今日はおいしい水割りが飲めそうだ。
谷川岳に咲く花はこちら