紅葉に満足、巻機山(1,967m) 1996年9月29日(日)晴れ
桜坂登山口…割引沢出合…ヌクビ沢出合…割引沢…天狗尾根…割引岳…御機屋…巻機山…
0545 0650 0830 0935-1005 1030-35 1050-1200
牛ケ岳…巻機山…御機屋…ニセ巻機…展望台…焼松…桜坂登山口
1235 1245 1330 1340 1430
巻機山、山頂の広大な草原、池塘の景観、その優雅な山名や山容。そして悲恋、哀惜の悲しい織り姫伝説は私の登行欲をそそるに充分である。秋の一日思いっきり天上の楽園漫歩を楽しみました。
夏は沢山の高山植物が有るらしい。今は秋、素晴らしい紅葉が期待できるだろうと深夜の17号線を黙々と車を走らせる。伊勢崎を0時5分に出発し、桜坂駐車場に着いたのは2時40分だ。高速を使わずにこの時間ならまずまずだ。
広い駐車場はほぼ満車である。隙間を探して駐車し迷惑のかからないようにエンジンを切ると静寂が押し寄せてきた。空には中秋の名月。車窓より双眼鏡で覗くとクレーターのようなものが見えるのに感激し暫くウサギは何処に居るかなと眺めていた。
そして朝、ようやく空が白み始めると早立ちの人はもう出発している。天気はよい。楽しい山歩きが出来そうだ。急いでおにぎりをほおばり、登山届けを提出しいざ出発となった。案内板には天神尾根コースは雪渓が不安定で立入禁止との表示があった。私の歩くコースである。ちょっと思案する。すぐに尾根コースと沢コースの分岐があり、沢コース方面を進み僅かで割引沢出合。アイガメの滝方面は立入禁止とあり、避難道の方を進む。樹林の中を暫く歩いていると突然前方の視界が開けドーンと割引沢や天狗岩方面が開けた。双眼鏡で眺めると沢の方を何人か登っている。雪渓も見える。東面の山の上の方は彩りも鮮やかだ。
ヌクビ沢出合では、立入禁止、天狗尾根方面に回って下さいとある。んっ、天狗尾根は立入禁止のはず。首を傾げながら沢の方に下る。そこからヌクビ沢と割引沢方面と別れている。ここからヌクビ沢を目指せと言うことかな思ったが、先程双眼鏡で覗いた光景が瞼を離れず、沢を渡り天狗尾根方面を目指した。天狗岩を仰ぎながら、時には河原の大きな石を乗り越えて、また沢を離れて草つきを歩き、時には堅く凍った雪渓をこわごわ乗り越える。パックリと口を開けた雪渓や薄くなり、落ちそうな雪渓のところは敬遠しサイドの草つきを登る。草を手がかりにするが結構急である。何度かズルっとなり緊張する。
無事雪渓部を過ぎ、いよいよ今日一番の急登である。草や木につかまり息も絶え絶えに高度を稼ぐと、天を突くかと思えるほどだった天狗岩が徐々にその頂を見せ始める。振り返れば谷川岳方面の展望が素晴らしく疲れを癒してくれる。急登を登り切ると天狗尾根の稜線だ。そこには割引岳まで素晴らしい紅葉が待ちかまえていた。赤や黄色、そして緑色の織りなす景色はもう最高だ。
クマザサを刈り払った歩きにくい道を過ぎると小さな池塘が2つ、割引岳の紅葉を映して静まり返っている。心なごむ風景だ。ここから更に紅葉を楽しみながら僅かで割引岳に到着。眺望が素晴らしい。雲に浮かぶ赤城山、あれは至仏山、そして皇海山、武尊、苗場、今度縦走してみたい朝日岳から谷川岳の稜線、あっちの方は北アルプスかなあ。そして越後三山。御機屋から牛ガ岳に続く高原状ののどかな稜線。ああ、来て良かった。感激……
ここより、御機屋から巻機山本峰に向かう。といってもなだらかなピークで山頂らしくもないが、沢山の人で落ち着く場所もない。割引岳までは本当に静かな(というより殆ど人に会わなかった)歩きであったが、井戸尾根コースから登ってきた人達であろうか。記録の写真を撮ってもらい、そうそうに牛ガ岳をめざす。気持ちよさそうに昼寝している人もいる。紅葉と素晴らしい眺望に囲まれて、気持ちよい草原でさわやかな風に吹かれる。まさに天上の楽園での最高の昼寝であろう。
途中幾つかの池塘や草黄葉を楽しみながら僅かで到着。ここも人が多く、ちょっと過ぎたところで昼食とする。横に座った東京から来たご夫婦としばし歓談。駒ヶ岳、八海山、中の岳の景観が登行欲をそそる。ちょっと遠いけどいつかは登ってみたい山である。遠くに見えるのは佐渡らしい。本当かなあ?
風がでてきてちょっと寒くなってきた。いつまでもゆっくりしていたいがそうもいかない。素晴らしい展望に別れを告げ下山開始とする。御機屋から鉄骨2階建ての立派な避難小屋方面に下る。非常時には心強い小屋だ。ちょっとはずれたテント場では沢山の人が休憩していた。これからちょっと登りニセ巻機に到着、ここから眺める巻機山の紅葉も色とりどりで見事だ。これより急下降で井戸尾根コースを下る。
七合目辺りから樹林帯になり、紅葉も一段落し緑が綺麗だ。六合目の展望台では天狗岩やヌクビ沢が望めひと休みするには丁度良いところだ。そして五合目、米子沢の滝の流れが楽しめる。ここら辺りから樹林帯で視界も聞かなくなり、粘土質の道で滑りそうだ。用心して下るが、疲れのためか数回転んでしまった。そして程なく駐車場に無事到着した。
下山報告を提出し、歩いてきた道を案内板で確認し満足する。登ったときよりも車の数は増えている。出口で管理人が駐車料金を集めていたので500円払う。道路端にも沢山の車だ。本当に人気の山だなあ。まあ、あの眺望と、紅葉、そして変化のある沢や尾根の歩き、のどかな雰囲気の山頂と人気のあるのも当然であろうな、また時期を変えて登りたいなと思いながら5時10分無事帰宅できた。