織り姫伝説の巻機山(1,967m)   2001年9月02日(日)晴れ

牛ガ岳への爽やかな稜線

 ちょっと紅葉には早いが、気持ちよい尾根歩きを楽しみたいと巻機山をを歩いた。
以前歩いたのは19996年の9月だった。そのときはまだまだ雪渓が残っていたが、今回はそのときの印象とは大分違った山歩きとなった。96年に比べれば雪渓は殆ど残っていなかった。しかし登山道は以前より荒れていた。というより、雪が無くなったあとはこんなものなんだろうなあと思った。


桜坂登山口…アイガメノ滝…ヌクビ沢分岐…割引岳…御機屋……牛ガ岳…御機屋
 0540      0630       0650    0915-35  0955  1025-40  1130
ニセ巻機…展望台…焼松…桜坂登山口
 1155         1250    1330 
メンバー  単独


登山口 今回は奮発して渋川ICから塩沢石内ICまで関越道を利用。いやあ、早いなあ。二時間もかからずに駐車場に到着。今は端境期に当たるのかなあ…10台も止まっていなかった。
あれっ、登山届けポストの横に「割引沢立入禁止」の看板。いやあ、困ったなあと思ってよく見ると、横にマジックで小さく「初心者は…」と書かれている。自分の力量を冷静に考える。上級者というのはおこがましいが、初心者じゃないよな(全くの自己判断ですけど)と判断し沢コースに決定する。

吹き上げの滝? 少しで井戸尾根との分岐、そして樹林帯の中をわずかで避難道との分岐となる。ここを左にいったん下ると沢に出る。今日は水が多いように感じた。もっとも普段の水量を知るわけではないが、何となくそう感じた。いったん左手に渡る。すぐに大きな岩のところでどっちに行こうかと迷う。そしてすぐに小さな滝に出た。吹き上げの滝かなあ…どこを歩こうかとちょっと迷うが左手の草付きのところを登る。

団体さんですこのあと、ずっと左手をトラバースするようにぐちゃぐちゃの道を登る。うっかりするとズルッと沢の方に滑り落ちそうな感じだ。そして前方に大きな滝が見えた。かなりの人数がその付近でたむろしている。アイガメの滝かな。結構大きな滝で白いしぶきが気持ちよく流れ落ちている。涼しいなあ!
 そこには50人もの団体さんが休憩していた。足場の悪いところでは年輩の女性が蝉のように止まっていた。なかなか下の足がかりを探ることができないで困っているようだ。
男性二人が前後からサポートしてる。渋滞だ!すみませんねえって言ってくれたので、ゆっくりどうぞってほほえみ返す。しかし内心は、こんなところ(上級者コースって一応書いてました)にこんな団体で来るなんて大丈夫かなあと思ってしまう。それにあの岩場のおばさんの動きをみると、ますます大丈夫かなあ、あの調子では山頂までは行き着かないかもって思ってしまう。はたして岩場で蝉になっていたおばさん達は、このコースのことを知って参加したんだろうかと気になってしょうがなかった。

 滝の途中で写真を撮る。そして左手から登る。所々鎖がある。結構厳しいところだ。ここではちょっとオーバーハング気味に鎖で通過するところもあった。団体さん大丈夫かなあ…通過に時間かかるだろうなあっていうのが頭にこびりついて離れない。もういいや、忘れよう。人のこと気にして手自分がやばいことになったりしたら笑い物になるかも(^_^;)

雪渓崩れ 滝の上に出てわずかで天狗岩が見え始める。大きな岩の上を飛んだりはねたり、時には少し水に入ったりしながら進む。いやあ、気持ちよいなあ…と思って気分良く歩いていたら、ちょっとした小さな滝壺みたいなところがあった。左から巻こうと挑戦したが、つるつるとした岩はズルッと落ちそうでどうにも登れない。じゃあ、右手の岩を巻こうとしたがこちらも無理。う〜ん…しばし状況判断。よし、道は見えた。少し水にはいることになりそうだが、真ん中を通ることにしよう。無事通過です。

 そしてやがてヌクビ沢との分岐です。岩に大きく表示がされている。まよわず割引沢へと進む。右手に聳える天狗岩の岩峰は壮観だ。今回は殆ど雪渓はない。安心して歩いていたら右手に大きなブリッジになった雪渓が残っていた。暑い日差しに照らされてピチャピチャと融けた滴が気持ちよい。しかし融けすぎて雪渓の根元が崩れたらやばそうです。左には今にも崩れてきそうな雪渓が…ここはその間を通過するコースしかない。やばいかなあ…急いで通過する。

右手の草付き斜面を登る ここも無事クリアー。これで沢を脱出しいよいよ天狗尾根への登りとなる。最初は草付きの急登です。いやあ、ようやく沢も終わったかととちょっと気を緩めたのがいけなかった。ズルッとすべり2mほど転落。あわてて草や岩にすがりつく。一瞬の判断が功を奏した。上手くつかまれなかったら10m位落ちていたかも…慎重に慎重に!

 何本かの鎖を頼りに登る。草付きの斜面はずるずるして登りにくい。ところどころ朝露でズボンはびっしょりになってしまった。そしてその後は笹や草の刈られた斜面となるが、ここが歩きにくい。それに急だ。息を切らしながらようやくたどり着いたちょっとした広い場所で一休み。谷川岳の大源太山方面の展望がよい。尾根に出ると反対側のヌクビ沢も見えるようになる。ここからは緩やかな稜線で左の山肌を巻くように登るが、狩られたクマザサで歩きにくい。転んだら切り株がお尻に刺さるかもしれないなあ。そうなったら痛いだろうな…などと思いながら歩く。

 そして小さな池が現れた。付近には白いミツガシワが咲いている。池に映る山容と青空が綺麗だ。写真を撮ろうと構えたら、突然視界から池が消えた。ズデ〜ンと草の斜面で滑り転んだのだ。誰も見ていないと分かっていてもはずかしくって周りを見渡す。いやあ、参った。デジカメは大丈夫かなあ…

割引岳山頂稜線より割引岳を望む 笹で歩きにくいが頑張って登る。稜線に出ればもう割引岳はすぐだ。誰もいない静かな山頂。一人佇みおにぎりをほおばる。そしてハーモニカの演奏。こんな静かな山頂で吹く気分は最高だ。なんか上手くなった気がするのは何故だろう(^_^;)
 さてなだらかな稜線歩きを満喫しようか。


御機屋 ここよりいったん下って本峰をめざす。このあたり草紅葉はまだちょっと早かった。振り返れば三角峰の割引岳の姿が青空に映える。良く整備された木道を登り切ると御機屋に到着。井戸尾根コースから登ってきたと思われる人たちが数名くつろいでいた。ここに巻機山の表示があった。以前登ったときはこの先の最高峰のところに山頂の表示があったと思ったが…まあ、いいか。ここらあたり全体で巻機山なんだからあまりこだわらないことにしよう(^_^;)


爽やかな稜線歩き池塘 最高峰の1,967mのところにはなにも表示がなかった。心地よい風が通りすぎる。爽快な稜線歩きは最高だ。しかし花の時期はもう終わり、草紅葉はもう少し先であり、ちょっと残念。でも、ハクサンフーロはまだ結構咲いていた。展望は雲がそこそこあるのでいまいちだが尾瀬や上州武尊方面はばっちりだった。谷川方面への縦走路はちょうど雲がかかり見えなかった。所々に地塘があり青い空を映している。

牛ガ岳は誰もいなかった。ここでもハーモニカの独演会。またまたいい気分。そして稜線を戻り最高峰のところで一休み。展望を楽しみながらビールを飲む。至福のひとときだ。行き交う人たちが「山頂はどこですかねえ、あの山はどこですかねえ。ここが牛ガ岳?」などと訪ねられる。

井戸尾根より米子沢を望む さてつまみも無くなったし下るとするか。御機屋間で戻り、下りは井戸尾根コースとする。ガスが多くなり遠くの山々は見えなくなってきた。二階建ての立派な避難小屋を過ぎ、ひと登りで前巻機に到着。ここでは数人のグループが楽しく食事中であった。8合目あたり、この木道が設置されている下りだがゴロゴロトした石ころのある山肌は結構荒れている。百名山で人気のある山だからちょっとオーバーユースなんだろうか?7合目あたりでは谷川岳方面のガスも晴れてきた。休憩中の二人連れが山を指さし、あれが…そしてあれが…と山座同定を楽しんでいた。これより樹林帯となり6合目あたりからは右手に天狗岳を望むことができる。そして5合目、このあたりから粘土状の滑りやすい道となる。転ばないように慎重に下る。ブナの樹林帯は暑い日差しを遮ってくれたので予定より早く下山することができた。

 駐車場はほぼ満車状態であった。その中にバスが一台。たぶん沢コースで出会った団体さんの下山を待っているんだろう。無事山頂までたどり着いたかなあ…

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