ラッセル楽しい浅間 篭ノ登山
1997年2月2日(日)晴れ
昨日の黒斑山に続いて今日も雪山歩きだ。黒斑から眺めた籠の登山への稜線は白くなだらかな雰囲気であったが、トレースもなく、樹林帯や稜線の岩場では苦しい歩きを強いられた。しかし山頂からの眺望は何とも言えない素晴らしさであった
車坂峠…高峰温泉…ウグイス展望台…水ノ塔山…籠ノ登山…兎平…高峰温泉…車坂峠
0840 0910 1035-1105 1240-1325 1355 1500 1530
昨夜は−12度Cとかなり冷え込んだ。そして外はかなりの強風だ。綺麗な星空を眺めるのも忘れぐっすりと寝込んでしまった。そして朝、食堂の窓からは真っ青な青空と白く輝く籠ノ登山への稜線……やった〜今日も素晴らしい山行になるぞと心も弾む。気温は−4度、まずまずだ。キリリと肌を刺す冷気に気を引き締めいざ出発。
まず浅間2000スキー場のゲレンデを横切り高峰温泉をめざす。途中、山に向かってスキーのトレースがあったが気にすることなくゲレンデを登る。結構な急坂でありまだ馴染んでない体にはつらい。息も絶え絶えに高峰温泉に到着。ホシガラスが飛び交っている。温泉にこしらえられた餌台が目当てのようだ。表示板でルートを確認するがトレースは全くない。しかし、昨日の黒斑山で経験した歩きから二人に不安はない。さっそくワカンをつける。のっけから1m程の積雪である。ワカンを履いててもかなりもぐる。おまけにまったくコースが分からない。暫くそれらしきところを歩き回りようやく登山道を示すロープを見つける。しかし雪の深さは変わらない。交代でラッセルしひたすら前進する。そして雪も少なくなってウグイス展望台に到着。富士山がでっかく見える。八ヶ岳もばっちりだ。素晴らしい展望にしばし休憩。そして樹林帯の中、雪が吹き飛ばされた岩のごろごろしたところ等の斜面を登る。
下に見える湯ノ丸林道をクロカンスキーであろうか、10名くらいが歩いている。水ノ塔山の山頂付近は結構な岩場に見える。目を凝らすと数人が山頂付近に見える。あれっトレースもないのに何処から登ったんだろう。まさか林道から直登かなあ、それとも籠ノ登の方からかなあ等と話しながら登る。てっきり私たちが今日一番の征服者だと思っていただけにちょっとガッカリである。と、突然右手にスキーのトレースが現れた。そしてしばらく登っているとワカンを着けたおばさんが二人下山してきた。聞けばスキーのトレースはこのグループだそうだ。あとの4人が山スキーで登ってきたそうだが、籠ノ登方面は難しく断念して降りてきたらしい。スキーの4人も続いて降りてきた。よくもまあ、スキーでこんな所を登るものだと感心して見送る。
私たちがゲレンデで見たスキーのトレースが登ったときのものらしい。そうとすると私たちはかなり回り道したようである。まあ、いいや、こっちの道が正規のルートだし展望も楽しめたし…と元気を出し山頂をめざす。そして僅かで到着。風もなく気持ちよい。そして見渡す限りの好展望。八ヶ岳、富士山、北アルプス、四阿山、草津白根、谷川連峰、上州武尊、皇海山から日光男体山、そのた沢山の白き山々。あっちの方に見えるのは何かなあと二人でしばし素晴らしい眺めを堪能する。
そして遂に今日の未踏峰、籠ノ登山をめざし出発する。ここからはトレースは全くない。山頂からの下りはちょっとした岩場で左側は切れ落ちた崖、Mさんが先頭で慎重にストックで足場を確認しゆっくり進む。稜線上は風が冷たい。風で手がかじかむようだ。ガレた鞍部や樹林帯を数回上り下りする。樹林帯ではルートが不明確となりワカンでもかなりしんどい歩きだ。雪で垂れ下がった木々の下をくぐるときは雪だるま状態になる。交代でラッセルし一歩一歩頂上に近づく。その時ストックが枝に絡まったのか抜けなくなった。必死に引っ張るとなんとラッセルリングがとれてしまった。1mも有ろうかという雪をかき分けてみたが見つからず断念。それ以後リングがなく雪に刺さるだけで役立たずになってしまった。径は小さいが有ると無いとでは大違いだなあと痛感。
そして最後の急登を登りきると360度大パノラマの山頂だ。最後の登りを先頭でラッセルしたMさんがいやあ、しんどかったなあとしみじみと語る。二人の協力あってこそ望めた素晴らしい眺望だ。昨日の黒斑山での経験がなかったら多分途中で断念していただろうと思うと感慨もひとしおである。風も少なく思いっきり眺望を堪能する。
下山は兎平の林道をめざす。こちらはスキーのトレースがついており快適に降りる。気持ちの良い樹林帯だ。そして広々とした池ノ平に到着。これより長い林道歩きだが左手に山の稜線を眺め「あそこを歩いたんだなあ」などと思い出しながら歩く。林道はクロスカントリースキー(山スキー?)のトレースがついておりワカンは必要ない。途中おばさんグループが楽しそうに(人によっては苦しそうに)スキーで登ってくる。行き交うおばさんの挨拶は皆「あと何分くらいですか?」である。あと**分位かなあと応えると一様に「ええっ、まだそんなに……」「頑張ってね」と励ましひたすら林道を歩く事約一時間半ようやく高峰温泉を経由しスキー場を横切り車坂峠に到着。天候に恵まれ苦しくも楽しかった二日間に渡る雪山山行は終了した。