上信越の山々見るならここ、十二ケ岳(1201m)

1998年3月21日(土)薄曇り時々晴れ

  
久しぶりに上信越国境の冠雪した山々の展望を満喫しようと出かけました。結構登りがいのある山でしたが、期待通りの好展望、野仏巡り、下山後の温泉と満足の山行でした。

 JR小野上駅…甲里…登山口……雨乞山…小野子山…中ノ岳…(男坂)…十二ケ岳…(女坂)
  0810     0825   0915   1010-20 1115-30  1205-20      1250-1400
 …入道坊主…原三叉路…JR小野上温泉
  1430              1555


 上信越国境の展望を楽しむなら、この「十二ケ岳」お勧めです。2年前、妻と歩きその素晴らしい展望に感激したものでした。それにここはちょっと林道歩きを我慢すれば、駅から歩けて帰りは温泉でゆったりと楽しみ倍増…
 で、今回はJR両毛線、吾妻線を利用です。車窓からは雲をかぶった赤城山、雪もまばらな榛名山、真っ白な浅間山の雄姿、ずっと遠くには真っ白な上州武尊連峰であろうか?そして目的の小野子三山が前方に見えてくるともう近い。いくつかのトンネルを抜け小野神駅で下車。まずは交通量の多いR353を渋川方面へ歩き甲里から林道に入ります。上小野子の集落あたりは小鳥がさえずり梅の香ただよい立ち上る煙…のどかな雰囲気です。振り返れば後方には榛名山がど〜んと構えている。

 1人のおじいさんと遭遇「山登りかい?」「ええ、小野子山へ…」「早いねえ、此処は熊もいないから安心して行ってきな、カモシカは出るかもしんねえど…」「はい、榛名山の景色いいですねえ」「そうじゃろう、おかげで長生きできてるよ」「羨ましいですね。じゃあ」と別れる。もう90歳くらいはなるんじゃないかと思うくらいでちょっと腰は曲がってるが健康そのものに見える。もう畑で一仕事終えてきた雰囲気であった。

 おっと前置きが長くなった。駅から約一時間で林道歩きも終わり「熊注意」の看板のある登山口にようやく到着。ここから右手には松、左手は雑木林のかなり厳しい一直線の登りを喘ぎながら登る。NHK電波塔を過ぎると緩やかになりパラグライダー発信基地に到着。眼下にはどこまでも続く吾妻川の流れと渋川方面の町並み、榛名や赤城はもちろん、西の方には白い山々が樹間から見える。丸太に腰掛けしばし休憩。 そして露岩混じりの明るい尾根の歩き。右手に黄色い花、マンサクかな?と期待したが違った(帰宅後図鑑でみるとアオモジ、クロモジ、アブラチャン、ダイコウバイ???う〜ん、ぼちぼち図鑑必携の季節ですね)そしてこれよりまた急登で三角点のある雨乞山に到着。雑木に囲まれた静かな山頂、展望は木々の間からである。

 さあ、次は小野子山だ。いったん下りそしてまたまた急登。いやあ、しんどい登りだ。途中日陰では残雪が膝くらいまでありスパッツを付ける。広々とした雑木林、残雪を踏みしめ最後の登り、山頂手前で3人パーティーが登山道一杯にお弁当タイムである。暫し雑談。子持ち牧場の方から歩いてきたらしい。そしてわずかで山頂着。
思わず開けた大展望!!冠雪した上越の山々だ、イヤッホー。ナイスビュー(^^;
 武尊、至仏山、谷川連峰…がくっきりと浮かび上がる。荘厳な眺めだ。

 しかし十二ケ岳はこんなものじゃないぞ。おもわず身震いし先を急ぐ。山頂から北面は残雪が一杯の急な下り。時々ズボッとはまりながら、時にはズルッ「あれえっ」と転びながら鞍部に辿り着きまたまた急な登り。本当に忙しい山だ。中ノ岳への登りは雪は少ない。小野子山からは樹林のため見えなかった日光方面の山々が見えだした。そして中ノ岳着。十二ケ岳で昼にしようと思ってたが、結構な上り下りで体力消耗。展望のない静かな山頂でとりあえずエネルギー補給。

 眼前には「えっ、またあんなに下ってまた登り〜(;_;)コースタイム30分?まさかあ〜と思いながら急降下、小野上駅方面への分岐を過ぎ直登の男坂コースを歩く。途中二人連れに出会う。アイゼンを付けていた。これから中ノ岳をめざすそうだ。「この先雪どうでした?」「小野子までだったら無くても良さそうですよ。でもちょっとだけ付けてた方が歩き良さそうなところもありました」「此処から山頂までは落ち葉の下に氷が隠れてるんで付けた方が良さそうですよ」との言葉に、じゃあと6本爪を付ける。確かに雪解け後の急な泥道の登り、所々の氷にはアイゼンが心強い。でも殆どが雪はなかったです。

十二ケ岳より小野子山 で、憧れの山頂着。二組が食事中。「こんちはあ、素晴らしい展望ですね」と挨拶、小野子山の時よりちょっと靄っているがそれでもこの雄大な大展望、まさに上州一の好展望の山だなあとザックをおろすのも忘れしばし感動!!日光男体山、白根山、皇海山もよく見える。四阿山から草津白根方面もばっちりだ。一段落して天ぷらうどん、これもなかなかうまい。風はなく穏やかな太陽の光、見渡せば白き山々のつながり、時には小鳥のハーモニー、う〜ん満足。先客の二組が下山しわずかであるが山頂独占、更に満足。ちょっとお昼寝タイム。そして女坂方面から二組が登ってきたのを潮時に名残惜しいが下山開始。

 下りは女坂だ。西側の尾根コースとの分岐まではかなり急な下り、雪はないが黒土のぐちゃぐちゃ道は下りにくい。そして北面の女坂は根腐れ雪がいっぱい。膝までは十分ある。中ノ岳への分岐から小野神駅方面に下る。雪はない、途中から杉林となりわずかで林道にでる。入道坊主到着。どれが坊主岩かなあ?此処まで車で来て山頂往復なら本当に手軽な山だ。2台止まっていた。先程の二組だろう。
 此処から沢沿いのコンクリート林道。ちょっと沢におり冷たい水でスパッツと靴に付いた泥を落とす。ミソサザイが挨拶に現れる。さあ、此処から長い林道歩き…といっても一時間ほどだ。

 途中、谷の口集落から振り返れば歩いた山々がばっちり見渡せる。道ばたには梅の花が満開だ。あれはふきのとうかな?ツグミやシジュウカラ、ホオジロ、ヒヨドリが飛び交い囀る。眼前には榛名山、やっぱり長生きできるよなあ…野仏
 そして此処からは野仏巡りも楽しめる。駅でもらったパンフを参考に各所でスタンプを押しながら鑑賞「〜〜の双神、百庚申、弘法大師の腰掛け岩、むしば神」と7つのポイント。圧巻は大岩盤を台石にした百庚申、笑ったのは腰掛け岩とむしば神、気に入ったのは古城台の双神(仲むつまじく男神は酒杯、女神は酒壺を持っている)
 谷之口の双神はお互い手を肩に…そして見逃した東原の双神(パンフレットや駅の写真に載っている)これは仲むつまじく寄り添う神様…これ見たかったなあ(今回ただ一つの心残り)、他にもところどころに石仏や石碑がみられる良いコースであった。

 そして先日の林道歩きで痛めた膝がちょっと気になりだした頃、待望の温泉「村営小野上温泉センター」着。いつもの烏の行水と違って電車を一本遅らせてゆったりと温泉満喫。梅の花びら落ちる露天風呂にも満足。
そして湯上がりのビール。旨いなあ!!(370円、高いのは不満、数分の駅では230円でした。まあ湯上がり気分を堪能するにはしょうがないか)時間を見計らってしゃれた駅舎に向かい、たまには電車利用も良いなあと満足の山行を思い出しながら帰路についた。