朝焼け夕焼けに感動、八海山 

いつの日か三山縦走をと思って、まずは偵察がてら八海山でもと気軽に出かけたが、結構歩きがいのある道と、暑さと荷物の重さでばてばてとなってしまった。しかし八つ峰の岩峰、夕焼け朝焼け、屏風道の険しい鎖場の下りと満足の山行であった。


【登山日】 1998年7月25日(土)晴れ〜26日(日)曇り
【山 名 】 八海山
【メンバー 】 単独
【行 程 】 25日 広堀橋…登山口…蛇食清水……阿寺山…大日岳…千本檜小屋……薬師岳
           0700   850-0900 1050-1115 1250-1310  1430  1515-1545  1550-1640
           天女人堂避難小屋(泊)
           1710
       24日 小屋…薬師岳…千本檜小屋…ノゾキ松…清滝…登山口…広堀橋
           0350 0435-0545 0630      0755   0835         0920
【地 図】 越後三山(昭文社エアリアマップ29 1/50,000図


 広堀橋そばの広場に車を停め歩き始める。まだ7時というのに太陽がじりじり…暑くなりそうだ。わずかな林道歩きで登山道の標柱から左に折れ沢沿いに歩く。前日の雨のせいか、下草でズボンの裾はすでにびっしょり。幾つかの沢を渡り竜神碑の水場に到着。冷たい清水を口に含める。一服の清涼剤だ。そしてここより緩い登りとなる。樹林帯のため日は当たらないが風もなくかなりきつい。ザックの紐が肩に食い込む。今日はカメラ、三脚、交換レンズが余分な荷物だが、山頂からの展望をものにしようと我慢して歩く。そして蛇食清水、最後の水場である。ここは水は豊富だ。これより水場はないため水筒にいっぱい補給する。
前方は五竜岳
 これよりブナ林の長い長い急登が続く。日差しが差し込まないのがなによりの救いだがそれにしても今日は暑い。休みの回数が多くなり、まだかなあと弱気になった頃林が切れ明るくなる。太陽が痛いほどだ。そして黄色い花に迎えられ草原の気持ちよい歩きとなるとわずかで峠のような感じの阿寺山の標識に到着。前方には中ノ岳方面の雄姿、そして左手にはでこぼこの八つ峰の岩峰がど〜んと現れ疲れを忘れさせてくれる。草原状の道、風が心地よい。幾つかの小さな池塘を過ぎ、神生の池までは快適な歩きである。

 わずか下り、前方に聳える五竜岳への登り。右手に見える十字峡から中ノ岳への稜線や三山縦走の険しそうな上り下りを眺めながら苦しい登りだ。振り返れば巻機山から谷川岳方面の展望が素晴らしい。いやあ、しんどい…ここらあたりは遮る木々もなくギンギンと太陽が容赦なく降り注ぐ。ようやっとの思いで五竜岳に到着。何の変哲もない縦走路の途中みたいである。しかし、眼前に広がる駒ヶ岳、中ノ岳、そしてこれから登る入道岳の雄大な展望が見事だ。そう言えばここまで誰にも出会っていない。静かな山だなあ。この時期三山縦走の人はやはりいないようである。この暑さ、それに中ノ岳への厳しそうな下り登りは見ただけでしんどそうだ。大倉から登り、一泊でぐるっと縦走しようとの計画は見直しが必要なようだ。それに時期も涼しい秋が良さそうである。

 さあ、展望も良くなり元気も回復してきた。一気に入道岳まで登るぞっ…と気持ちははやるが体がついていかない。まあ、ゆっくりいこうやと1人つぶやき、わずか残るニッコウキスゲを眺めながら相変わら入道岳から八つ峰ず休み休みの登りである。こんな良い展望を急いで登ったらもったいないよね(^^;
そしてついたところは丸山と書かれていた。ここが入道岳かなあ。前方に聳える岩峰も標高が低いせいかあまり険しくは見えない。しかし油断は禁物。暫し展望を楽しみ気を引き締め一旦下降し大日岳の基部にと到着。この辺りは岩の所々に黄色い花が多い。左手に巻き道があるが、八海山に来たならやっぱり八つ峰を歩かなくっちゃ…とザックの重さを気にしつつ直登の長い鎖に取り付く。大日岳では白装束の人達が神仏像のまわりでお経みたいなものを唱えていた。なんか変な気分である。

 眼下には巻道を歩く人達が見える。幾つかの岩峰を慎重に歩く。結構な鎖場に満足である。そしてついに今日の目的地、千本檜小屋に到着。「避難小屋どこですか?」「今の時期は避難小屋はないよ」「え…」ショックで一時呆然となる。「素泊まりなら2800円、テントなら1500円ですよ」「……」一応ツエルトを持っているが1500円とはなんと法外な(^^;と思い、即予定変更。一瞬このまま下山しようかと思ったが、思い返して薬師岳でツエルトでも張るかなと暫しビールでくつろぐ。一旦薬師岳まで登る。途中水場がわずか左に下ったところにあるが、今の時期ポタリポタリと心許ない。一応たまり水はあるので気にならない人は良いが、小屋でも売っていないのようなので注意が必要だ。

 薬師岳も銅像や塔が立ち並んでいる。ここからの眺めも抜群である。泊まりにちょうど良い広場があるが、へりが降りる場所なのでテント張らないようにとの注意書きがある。まあ、隅の方であれば邪魔にならないようであるがちょっと下れば(6合目)避難小屋があるので、とりあえずそこまで下る。途中水場で補給する。ここはまだ流れており大丈夫だ。結構下って今宵の宿に到着。綺麗な避難小屋だ。先客は5人組の男女、挨拶して二階に陣取る。布団もある。今夜は計6人である。二階を1人で使えて満足の夜であった。

 日が暮れるに従い、日本海方面に沈む夕焼けが見事だ。妙高から北アルプス方面のようだ。佐渡島?も見える。みんなで外で食事をしながら歓声を上げる。そして日が暮れると眼下の町のあちこちで花火が上がっている。花火大会をいっぺんに何カ所も眺められるなんて何という贅沢…でも、音が小さくて何か変な感じである。星空は下界の明るさでいまいちであったが明日も晴天のようだ。

駒ヶ岳方面の朝焼け そして朝…というよりまだ夜かなあ…天気が悪ければゴンドラで下山も考えていたがまずまずの天気である。薬師岳より御来光を眺めようと4時前に出発。登る途中燃えるような朝焼けがまさに始まろうとしている。間に合わなかったら折角の早起きが無駄になる。今日一番の頑張りでせっせと登る。息も切れた頃山頂に到着。お陰で間に合ったようだ。空は曇り気味だが、駒ヶ岳左から昇る朝日、その前の朝焼けは見事であった。感動…この感動を1人で味わうにはもったいない。自宅で徹夜してるだろう娘に電話を入れる。「凄い朝焼けだぞ〜」「……ふ〜ん、写真撮ってきてね。こっちは昨日から雨だよ〜」で、感動を伝えた後ゆったりと朝食タイム

 あとは下るだけ、コースは屏風道「登山者の方へ…この道は下りないで下さい」との表示があるが聞けば通れるとのこと。早速長い鎖場、そしてそれから先はまたまた鎖場…どこまで行っても鎖場ばっかりで少しも気を緩める暇がない。なるほどこの道は下りないで下さいというのはこういうことだったのか…下りでこんなに苦労したのは今までに経験がない。膝もがくがく、手もぶるぶる(^^;
 途中で会った地元のおばさんいわく「この道降りる人は珍しいよね。登るのは直登で時間も稼げて大好きなコースだけど…」うん、分かる分かる。下りが多かったら大渋滞になるだろうし、鎖が苦手な人は遠慮した方が良さそうです。しかしその厳しさも4合目の清滝の水場までであとは快適な歩きで屏風岩登山口を経て広堀橋の車まで辿り着いた。

 幾度か挑戦しようと思っていた越後三山、八海山だけですがようやくその夢が果たせました。いつの日か縦走を計画したいけどやはり二泊は必要みたいですね。それに体力ももっと鍛えなきゃあと思った山行でした。いやあ、それにしても朝焼け夕焼け良かったなあ