四阿山 登頂断念   2000年2月12日(土)晴れ

 鳥居峠へ向かう国道145号線より望む四阿山

【山  名】 上越国境 四阿山(2,354m)
【メンバー 】  単独
【行  程】  鳥居峠…的岩山…的岩…2,040mピーク…花童子?…林道…鳥居峠
        0920         1140   1320-1415           1510  1610
【地  図】 四阿山、嬬恋田代(1/25,000図) 


鳥居峠登山口 雪と戯れたくなり四阿山に行って来ました。前夜の夜更かしがたたったのか、4時起床で目覚ましがなった迄は良かったがすぐに止めたらしい。で、気がつくと6時になっていた。あれっしまった。出遅れた!!
草津白根や浅間、そして目指す四阿山の冠雪した山容が見えだすと鳥居峠はもう近い。「ずら」と「だんべ」の国境との看板のある鳥居峠に着いたのは9時過ぎであった。登山口では男性が準備している。聞くと、その先まで行ったがトレースがないのでカンジキを取りに戻ったとのこと。3連休の中日、それもこんな時間にトレースがないとは、ちょっと以外であった。今日は12本爪アイゼンとスノーシュー、ピッケルのいでたちでいざ出発。

カラマツと笹の登山道林道をわずか進み、すぐに笹とカラマツの登山道が緩やかに続く。積雪は30cm位だ。先ほどの単独行氏の坪足の跡をたどっていく。そのうち少しずつ雪が深くなり、単独行氏が休んでいた。カンジキをつけている。「いやあ、今日は疲れそう、山頂までは無理かもしれませんね…」と挨拶を交わす。ここで私が先になる。まだ坪足でいけそうだ。踏み後のない道をたどるのは気持ちよい。しかし時々深みにはまる。いよいよ坪足は無理かなとスノーシューをつける。ここでまた単独行氏に道を譲る。

 

そして的岩への分岐手前で単独行氏と「どっちのコースです?」「私は的岩経由ですけど…」「う〜ん、私は花童子経由です」などと話を交わす。わずかで的岩へと思われる分岐。「ここですかねえ?」「たぶん…」ということで「じゃあ、気をつけて」と分かれる。このあたりまだ積雪は少ないのでそれほど苦労はなかった。気持ちよく登っていると「お〜い、お〜い」と声がする。耳を澄ますと先ほどの単独行氏のようである。「的岩への分岐はそっちじゃなさそうだよ〜、こっちに表示があるぞ〜」と叫んでいる。「りょうか〜い」と返事をして先ほどの分岐まで戻り、先に進む。するとわずかで「的岩経由四阿山」の表示だ。「ありがとう〜」と姿の見えない単独行氏に声をかけ登り始める。

的岩この登り、笹も多く完全に雪に埋まっていないので滑ったり、雪がバサっと落ちてきたり歩きにくい。それに結構な急坂である。いやあ、しんど…途中振り返れば浅間山の山容が疲れを慰めてくれる。う〜ん、この分じゃあやはり山頂は無理かもなあ、単独行氏は順調に進んでいるだろうか?等と心をよぎる。そしてようやっと的岩山の尾根にでた。良し、ここまでくれば!!と元気が出る。ここから的岩まではちょっとした勾配の尾根である。さあ、元気を出して…と思ったのもつかの間、先ほどの雪質とは全く違った感じでスノーシューや靴裏に雪団子状にくっついて歩きにくい。膝くらいまで埋まり足をあげるのに一苦労である。それに雪団子…まるで鉄下駄を履いたような感じでなかなか進まない。2,3歩歩いてはピッケルで雪を落とさないととても歩けない状態である。歩きながら、あげた方の足のスノーシューを叩きながら進むのはかなり疲れる。

浅間山遠景風もなく暖かい天気だなあと喜んでいたのがとんでもないことになった。気は焦るが足は進まない。的岩は右を巻いて進む。道はわからないが、2,040mピーク方向は見えているのでコースは心配ない。時々朽ちた倒木の深みに足を取られながら進む。しかし時間が気になる。
浅間山方面を眺めながらパンを食べつつ思案する。ここから林道に降りるか、先に進むか…よし、あのピークまで行こう。うまくいけば単独行氏の踏み後もあるだろう。13時くらいまでに着けば問題なし。そこでまた考えればいいやと登り始める。コメツガの樹林帯の登りは幸い雪は少なく、先ほどまでの雪団子状態は心配なくなった。でも、道がわかりにくい。まあ、尾根を外さずに登ればいいのでコメツガの間を縫って歩きやすそうなところを歩く。枝から落ちる雪が降りかかりひんやりと気持ちよい。

四阿山はまだ遠いそして樹林帯が終わると見通しが良くなり浅間方面の山並みがばっちり見えてきた。八ケ岳も見える。おおっ、あれは北アルプス?あのとんがりは槍が岳かなあ…そして東屋のある2,040mピークに到着。
あれっ、単独行氏の踏み後が無い!!。まだ着いてないのかなあ…「やっほ〜、お〜い」と声をかけるが全く返答はない。まあ、待ってればそのうちくるだろう。ここで時間確認、13時をすぎていたのと、まだまだ山頂は遙か彼方のように見えるので山頂断念を決意する。そうと決まればまだ余裕はある。眼前の浅間方面の勇姿をスケッチする。そして断念した白く輝く山頂を写真に撮る。

2,040mピークしかし、単独行氏は上がってくる気配はない。この雪じゃ途中で断念したのかな?帰路はどっちにしようかと思案する。ピストンじゃおもしろくない。かといってトレースがないと下りはちょっと不安。う〜んどうしようと地図と地形をじっくりと眺める。天気も崩れる心配はない、それに途中まで行けば単独行氏のトレースにも出会うだろう。花童子方面のコースは途中のコメツガ林をのぞけば落葉樹林帯で見通しも良さそう、1,958〜1,936mへの尾根も明確にわかり地形も複雑でなさそうだ。よし、決定と花童子コースを下山する。が、こちらのコースも甘くはなかった。道はほとんどわからない。しっかりと磁石をセットして進む。何度か右や左にうろうろと歩きやすそうなところを探すがいまいちわかりにくい。コメツガの林はうっかりしていると倒木や岩の間の深みにすっぽりと落ち込む。胸まで雪まみれだ。
気持ちいいなあと言う余裕はもはや無い。焦りがでてくる。的岩コースに変更しようかと弱気になりコメツガ林から逃げ出す。

林道までもう少し 途中笹の多い急な下りがずっと先まで開けているところにでた。このままそこを1,958ピークから下る尾根目指して下ればいいだろうとちょっと一安心。ときどきコメツガの林で苦労したが、1,850mあたりまでくればもう落葉樹林帯で見通しもよくしっかりと的岩山をみながら下る。単独行氏のトレースはいっこうに現れない。引き返したんだろうな、この登りはちょっとつらそうだし、的岩コースの方が楽だったなあと思いながら歩いていると林道にでた。1,800m付近の的岩側に寄ったところだった。そしてついにトレース発見。1,958mピークの方に向かって登ったんであろう、しかし途中で引き返したとおもわれる。カンジキは帰りのトレースもついていた。

ここまでくればもう大丈夫だ。気分良く林道を下る。途中からクロカンの後があった。今日この山に入ったのはこれで3人か…苦労の後のせいか、感慨もひとしおであった。そして林道と別れ登山道に戻り、的岩へ登った分岐に到着。一休みしてコーヒーでくつろぐ。後は長〜い道のりでようやく登山口に到着。ふ〜、やっと着いた。

今回山頂断念の第一の要因は、やはり朝寝坊で出遅れたことだろう。それに3連休の中日でありトレースも少しはあるのではとの甘い期待、予想以上の重い雪質が決定打となった。スノーシューってあんなに雪団子になるのかとこれも以外であった。カンジキの方がこのときのような雪質だったらたぶん良いだろうなと思った次第です。