越後 浅草岳(1,586m) 1999年5月2日(日)晴
前岳から望む鬼が面山たまにはのんびり歩きたいものだと、麓の民宿で前泊し残雪の山を堪能した。しかし冬道は分かりにくく、上り下りとも結構な藪こぎを強いられた。でも最高の展望に満足の一日だった
【登山日】 1999年5月2日(日)晴れ
【山 名】 上越 浅草岳(1,585.5m)
【メンバー 】 野峰さん、酒呑童子
【行 程】 浅草山荘裏…ムジナ沢…滝…嘉平与ポッチ…前岳……浅草岳…前岳…ポッチ…
0650 0750 0925 1100 1130 1150-1300 1310 1320
1,090m付近…615m付近ムジナ沢…浅草山荘
1405 1645
【地 図】 1/25,000図 浅草岳、毛猛山
前日の守門岳の疲れも、民宿(音松荘)泊まりで朝は快適。国民宿舎浅草山荘の裏手からムジナ沢経由で山頂をめざすことにした。実はこの冬道、以外と分かりにくい。で、民宿のおじいさんに地図まで書いてもらって詳しく教えてもらった。このおじいさん昔はかなりこの山を歩いたようだ。
早速教えてもらったテレビアンテナの引き込み線を頼りに樹林帯の中を進む。しかしおじいさんの記憶力が鈍っていたのか、こちらの読図力が不足しているのか以外と分かりにくい。それとなく沢に向かう方向をめざし杉林、雑木林の中を縫って歩く。一人では心細いだろうが今日は藪こぎが好きな野峰さんと一緒で安心する。ちょっとした高台に出たとき向かいの尾根で「おーいい、おーい」と仲間を捜しているような雰囲気の人がいた。相棒がいなくなってしまったのであろうか?
木々にはそれらしき目印があるがどうも登山道の目印ではなさそうだ。まあ、地図を確認しながら先に進む。先の方にスキーをはいた登山者を発見。同じく沢をめざしているようだ。程なく沢に出る。雪はまだたくさんある。これからはただひたすら教えてもらった滝まで沢をつめる。左右の山肌は今にも崩れ落ちそうな感じであ
る。クレパスに落ち込まないように慎重に歩くがそれもつかの間、沢はすっかり水はなくなってきた。所々大きな石や、雪の塊がど〜んと転がり落ちて鎮座している。いやあ、怖いねえ。先を歩いていたスキーの人がひと休みしていた。こんな山をスキーで歩けるんだろうかと思ったが、我々よりもずっと早い。そのうち見えなくなってしまい、トレースを追い続けることとなった。歩くのさえ厳しい急坂でもスキーで登っている。スキーの威力に感心したが私は滑れない。ただひたすら歩くのみである。振り返れば谷間の間から昨日歩いた守門岳の勇姿が見える。かっこいいなあ!!
そして滝(1,100m付近)に到着。右から巻いて滝上に出てひと休み。さあ、どの尾根を登ろうかと地図を見るがどこもかなりの急登。結局スキーのトレースを追うことにする。1,250m付近の尾根に出たとき沢山の足跡発見、まだ夏道ではなさそうだが下りはここからかなと頭に地形をインプットする。もう大分歩いたなあ。あれが前岳かなと思ってようやくたどり着いたらそこはまだ喜与平ポッチ。ふ〜、疲れた。しかし展望は申し分ない。ちょっと怖そうな山肌にトレースがある。こっちかなと着いていったらかなり怖そうなところ。一歩一歩靴を蹴り込んで慎重に歩く。滑ったらどこまでも気持ちよく?滑っていきそうだ。前岳からは豪快な鬼が面山が見える。凄い絶壁の景観に一瞬竦みあがる。今度
はあの稜線上を歩きたいものだ
ここから山頂まではもう指呼の距離、でも疲れた体ではなかなか進まない。ちょっとひと休み。夏は気持ちよい草原なんだろうなと思いを馳せる。そしてひと登りで山頂着。う〜ん素晴らしい展望!!以外と人数が多い。どこから登ってきたんだろう?聞くと入叶津や田子倉の方から来た人達みたいだ。五味沢から登ってきた人達は皆、途中道がわからなくなり藪こぎをしたようだ。見慣れた顔の人が登ってきた「いやあ、まいった。途中道わからなくなり藪こぎでした」と…腕を見せてくれたが小さな名誉の勲章である切り傷があった。家族を引き連れてお父さん頑張ったようだ。あれっ、見た顔だなあ…「もしかして昨日守門岳で出会いませんでした?」「あっ、ほんとだ」とお嬢さん。昨日守門岳に到着したとき、「山頂独占ですね」と言って分かれた元気な家族連れだった。
野峰さんは山頂を少し外れたところでまたトカゲになっている。こちらにはイワウチワやショウジョウバカマ、あと何かわからないが、花々がわずか咲いていた。雪解けを待ってたかのように太陽をいっぱい浴びて咲き誇っているようだ。
野峰さんが起きてきたので山頂をあとにする。いやあ、今日ものんびりしたなあ。このまま泊まれば素晴らしい夕焼けも望めそうだなあと思ったがそうもいかない。下りは早坂尾根に出て途中からネズモチ平、そして長い林道歩きがいいだろうと宿のおじいさんに教えられたが、誰もそちらの方に入っていない。林道歩きは長いし、登りで見た足跡をたどれば夏道から降りれそうだと、前岳、ポッチ方面にもどる。登ったときおそれを感じた山肌はパスして夏道を下る。登りは気づかなかったがこちらが絶対安全だ。
1,350m付近からどちらの尾根を降りようかと相談する。1246mの尾根から860mの尾根が歩きやすそうだし、踏み後もあったのでそちらをとる。最初は快適な歩きで鼻歌混じりであったが、1,100m付近から道がわからなくなり踏み後もいつの間にか無くなっていた。登ってきた人達が口々に、歩いているうちに道が分からず藪こぎとなったと言っていたが、確かに分かりにくい。とにかく尾根をはずさないように歩く。イワウチワが沢山咲いている。見事な群落だ。谷川岳の田尻尾根を思いだした。コブシや椿も所々咲いている。そしてちょっとした崖、一進一退しながら降りれそうなところを探して降りる。藪が深い。ザックが引っかかり歩きにくい。
野峰さんの高度計と地図で確認しながら慎重に下る。もうすこしムジナ沢に降りずに尾根を歩こうと進むが、尾根も歩きにくくなってきた。で、620m付近で沢の方に降りた。沢は水が多かったがわたれないこともない。頑張ってポーンと飛び石伝いにわたる。無事着地、ずぶぬれにならずにすんだ。ここから雑木林の平地を歩いていたら程なく登りに使ったアンテナ線のあるところに出た。もう安心、無事国民宿舎に到着した。風呂に入ろうと国民宿舎に行ったら「15時迄です」とつれない返事。そんな時間じゃ山歩きの人達には入らないでくださいって言ってるようなもんだと憤慨するがしょうがない。諦めて音松荘の女将さんに下山の報告をして帰途についた。
思わず藪こぎはあったものの、このコースは人も少なく楽しく静かな残雪の山を堪能することができた。しかし天気の悪いときにはこのコースは歩かない方がよいだろうなと思った。今度は花が咲き誇る夏に歩きたいものだ