宝川温泉から朝日岳へ 黄葉が素晴らしかった
2001年10月13日(曇り時々雨、そして晴)
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宝川渓谷の黄葉は素晴らしいとのことでいつの日か歩いてみたいと思っていた。紅葉の時期は行くところが多くて困ってしまう。今回のコースは日帰りでは行程が長くピストンもなあ…ってなかなか踏ん切りがつかなかった。しかし、晴れですよって天気予報が騒いでる。都合で泊まりの山行ができなかったので、ちょうど紅葉も時期だろうと、ついに念願はたせることとなった。
結果は素晴らしい渓谷の黄、紅葉を満喫することができた。しかし、山頂では360度な〜んにも見えなかった(^_^;)
【メンバー 】 単独
【行 程 】 林業試験地前P…林道終点…八宝滝………渡渉点…広河原…大石沢…朝日岳頂上
0640 0720 0750-0800 0820-40 0845 0920 1110
1540 1510 1445 1345-1425 1335 1240-1305 1135
【地 図】 谷川岳、苗場山、武尊山(昭文社エアリアマップ16 1/50,000図)
朝4時過ぎ目覚める。外を見る。星が瞬いている。いいぞ、晴れだ!よし、予定通り朝日岳をめざそう。
渋川ICから関越道にのり、水上で降りる。今日は行程が長い。ちょっと贅沢に高速道路を利用した。晴れって予報に少し不安はあった。それは群馬県地方であり、新潟県地方は午前中雨、そして曇りとの予報だったのだ。まあ、朝日岳は新潟県とは谷川岳を挟んでいるんで晴れに違いないと確信してきたのだが…
水上ICから見る谷川方面はどんよりしている。まあ、まだ時間も早いしそのうち晴れるだろうと登山口をめざす。宝川温泉を過ぎるとでこぼこの林道。そして林業試験地のところで通行止め。ちょっとした広場に停めると、おじさんが出てきた。「車ここ良いですか?」「いいよ、もう少し端に停めて」との快い返事。「一人かい?」「はい、今日山の天気どうですかねえ?」と世間話。「う〜ん、悪いかもねえ…」
確かにどんよりしている。でも今日は快方に向かうはずだと自分に言い聞かせ歩き始める。このあたりの紅葉はちょっと早そうだが、渓谷の景色は素晴らしい。わずかで板幽沢橋と思えるところ、橋の架け替え中で橋はない。ぐちゃぐちゃの工事中のところを歩く。その後左の川にそれる道があった。こっちかなと進む。吊り橋があった。ちょっと斜めになった吊り橋はスリルがある。渡って気がついた。こんなに早く林道からそれるコースじゃなかったような…
地図を確認。どうも鉄塔巡視用の道のようだ。引き返し再び林道を歩く。林道と言っても、ほとんど整備されておらず、草ぼうぼう、ほんとにここで良かったかなあと思っている内に無事林道終点となり、ようやく登山道となる。左手に沢を眺めながら上り下りを繰り返し徐々に高度を上げていく。ときどき大雨の影響か荒れた山道となる。このあたり紅葉もそこそこだ。そして左手の下の方に滝が見えた。八宝滝だ。いやあ、綺麗だなあ。滝壺におりて眺めると迫力あるだろうなあ、降りれないかなあと考えたが、とても降りれそうにない。結構距離もある。しばし眺めながら休憩。
滝を過ぎると、ロープのある下りや崩壊した道でぐちゃぐちゃしたところを下る。靴はズボっとくるぶしあたりまで潜り泥だらけだ。いやあ、まいったなあと思ってる内に渡渉点に到着。雨の降ったときなどは要注意とあったので心配していたが、このくらいなら問題ない。しかしポンポンと渡るにはちょっと無理がある。靴を脱ぐのも面倒だし、ちょうど先ほど汚れた泥を落とすのも良かろうと、少し濡れるのも我慢して二本のストックをうまく使って飛び石伝いに渡った。
無事成功、やったね。ここでみかんでも食べようと一休みしていたら、ついに雨がポタリポタリ、そしてすぐにちょっと大粒になった。やば!雨具着用する。着終わった頃小降りになった。う〜ん、空はまだ今にも泣き出しそうな色をしている。このまま雨具着用で歩くことにする。対岸の岩肌の紅葉が綺麗だ。しかし近くの木々の紅葉はもう終わったのか、紅葉を迎えず枯れてしまったのか茶色っぽいのが多い。
ここから沢を右に見て小さな上り下りをしながら黄葉を眺めながら進むと、わずかで眼下に広河原が見えた。めざす朝日岳方面はどんよりした雲に覆われている。広河原はその名の通り広々とした河原で気持ちよい。所々たき火をした後がある。このあたりでテント泊する人が多いようだ。さて、コースはどっちかなと少しうろうろしていると、石に「20m先左へ」と書いてあった。
ときどき日が射し黄葉が七変化する。足もとはジメジメして歩きにくい。ときどきズボっともぐることもしばしばでちょっと閉口する。そしてわずかで大石沢に到着。このあたりの紅葉も見事であった。さあ、いよいよここからが本格的な登りだ。ブナの樹林帯をほぼ一直線上に登る。展望もなく粘土質で滑りやすい道は疲れる。しかし、先ほどまでどんよりしていた空が明るくなり、時々青空も出始めると苦しい登りもがんばることができる。
森林限界あたりまでくると、もう真っ青な空となった。やったね、朝日岳山頂方面はすごい勢いで雲が流れている。この調子なら山頂ではすばらしい展望が期待できるかもと元気百倍、がんばって登る。
中腹より眼下に望む宝川方面 青空がでてきたぞ! トラバースの急斜面で山頂をめざす
森林限界から先は草紅葉と笹の緑の世界。そして岩綾のガレ場となる。露岩の急斜面をトラバース気味に登る。ときどきコースが不明となる。それに滑りやすく緊張する。岩場が終わると今度は笹っぱらの登り。あまり歩かれていないためコースは明瞭ではない。登りのため腰くらいまでの深い笹藪。薄い踏み後をたどり登る。ここも滑りやすい。二度ほどズルッと転んでしまった。用心用心!
笹の歩きが終わり右手に回り込むようになると湿原にでて木道となる。本当なら黄金色に輝く草紅葉が望めるはずだが、先ほどまで青空だったのに朝日が原では非情にも雲の中に突入してしまった。分岐を左に折れわずかで地蔵様の待つ山頂に到着。たった一人の静かな山頂だ。
展望は全くない。風がゴウゴウと吹いている。寒い。毛糸の帽子とフリース、雨具を着用する。頭上の雲は薄そうで何となく太陽はすぐにも顔を出しそうな雰囲気だ。少し待てば展望も…と淡い期待を寄せ30分ばかし待ってみた。妻に「寒いよう。展望ゼロ。もう少し待って下山する予定」と連絡入れる。下界は良い天気だようとのこと。う〜ん、やはり谷川岳の天気は気まぐれだなあ。本当は眼前にはすばらしい景色があるんだけどなあ…
待っても晴れそうにない。仕方ない、下ろう。笹の斜面でまた二度ほど転ぶ。そして、露岩の急斜面のトラバース。このあたりまでくると天気はそこそこ良い。雲が流れ時々紅葉の山肌が姿を見せる。こんな感じでチラッと見せてくれる景色も捨てがたいものだ。樹林帯にはいると、空にはまた青空が見え始めた。ブナの紅葉がきらきらと逆光に映える。一直線の急な下りは滑る滑る。ここでもズルッと転ぶ。今日はよく転ぶなあ…靴底が減ったのかな(^^;
大石沢まで下るともう、後はラクチンコース。紅葉に見せられスケッチをした。色とりどりの山肌は見るのはきれいだが、我が輩の腕ではそれを表現することができない。幼稚園の子供でも描けそうな感じで色を塗りたくっただけの絵になってしまった。でも我が心にはしっかりと美しさが焼き付けられたので良しとしよう(^^;
広河原に到着。一組のテントで若者達がくつろいでいた。今日はここで泊まりのようだ。良いなあ…休んでると沢登りのようなグループが登ってきた。ここは沢登りの人気のコースなんだろうか?紅葉の中の沢登り、私の経験のない分野だ。爽快なんだろうなあなどと思いながら渡渉点に到着。ここではすばらしい青空となった。しばし絶景の紅葉を眺める。ハーモニカを取り出し演奏する。ここでも一枚スケッチ。やはり出来映えは先ほどと変わらない。むしろ幼稚園の子供の方が上手そうな気がする(^^;
これより、沢をわたり所々荒れた道を戻る。今日ここに来るまではピストンでは面白くなさそうだなあって思っていたが、なかなか変化があって楽しむことができた。帰りにはすっかり青空になって終わりよければすべて良しの山行であった。