樹氷が見事、赤城黒檜山
赤城山の最高峰、黒桧山はもう雪もかなりあるだろうと、先日の北八ツで味を占めた雪山の魅力忘れがたく、好天に誘われ出かけてきた。期待通りのパウダースノーと一面の樹氷、まずまずの眺望、そして帰りには凍結した覚満淵でワカンの練習と満足の一日であった
【登山日】 1997年 1月11日(土)晴れ
【山 名】 上州赤城 黒桧山(1、828m)
【同行者】 単独
【行 程】 黒桧山登山口…猫岩…黒桧山…駒ヶ岳…大洞…登山口
1125 1300-1350 1425 1450 1500
【参考書】 群馬県の山(山と渓谷社)
【地 図】 赤城山(1/25000図)
先日の大沼小沼さんの報告によると長七郎山あたりも雪が楽しめたとのことで、赤城の最高峰である黒桧山は期待できそうだ。で、ちょっと遅い出発で赤城をめざす。南面道路は箕輪の駐車場当たりから所々凍結しており、初めてスタッドレスタイヤが威力を発揮した。楽しそうに歓声が聞こえるスキー場、大沼小沼での今日解禁されたワカサギの氷上釣りを横目に登山口に到着。こちらから登るのは初めてだ。早速アイゼンを着け樹林帯の急登となる。かなりの積雪だが先行者が居るのかトレースはしっかりしており安心して歩ける。雪質はサラサラとパウダースノーである。アイゼンも必要ないくらいだ。そして真っ白に姿を変えた大沼が見渡せる猫岩に到着。太陽に輝く湖面の景観も素晴らしいが、白一色の景色も良いものだ。
そして見晴らしの良い尾根歩きの後さらに急登となる。ここら辺りから上部の方は見事な樹氷が望める。山頂付近はちょっと雲がかかっているが、時々青空が覗き、真っ青な空と太陽にキラキラと輝く樹氷のコントラストが綺麗だ。北八ツの針葉樹林帯の樹氷と違って落葉した木々に着いた樹氷も見応えがある。急登も何のその樹氷と気持ちよい雪道歩きで山頂に到着。三人組のパーティーが食事中であった。 かかっていた雲は見事に飛び去り袈裟丸、皇海山、男体山方面はバッチリだ。浅間山、榛名方面もどうにか見える。しかし谷川連峰や武尊山、至仏山方向は今日は残念ながら遠慮してるのか姿を現さない。でも、いいや見事な樹氷が出迎えてくれている。三人組が下山したので持参したワカンを装着し踏まれていないところをうろうろと感触を楽しむ。生まれて初めて経験したワカンである。先日草津白根で経験した苦しかったラッセルを思い出す。やはり文明の利器はいいなあ。
やがて、夫婦連れが登ってきたので見事な展望を譲ることにし下山する。山頂から登山口との分岐、そして石祠の建つところを過ぎ、丸太の階段がある坂を下る。ここら辺りも樹氷が綺麗だ。しかし、丸太の階段は雪に埋もれているものの歩きにくい。雪のつもりで踏み込むとそこが丸太であったりして下手をすると捻挫しそうだ。アイゼンは外した方がいいかなあと思いながらもそのまま下る。積雪は50cm位はある。トレースはあるものの、北八ツの時ほど踏みならされてはおらず、鞍部から駒ヶ岳への登りはしんどかった。駒ヶ岳からのちょっとした稜線歩きは左に袈裟丸方面の山々、そして遠く眼下には市街地が見え展望がよく気持ちよい歩きが楽しめる。しかし風が強かった。
そして、鉄製の階段(梯子?)。ここら辺りは樹氷はもう無いが、雪は多い。階段は半分くらいはステップが見えない。しかしアイゼンをはいてるとひっかけて転びそうなので取り外す。登りはきついであろう階段を滑るように下る。階段が終わるとジグザグの下り。アイゼンを外した歩きは快適だ。途中近道をしてトレースの無いところを歩く。というよりすべりおりると言った感じだ。ひやあっ、気持ちいい!!そして三人組を追い抜き大洞の登山口に無事下山。でもまだ時間は15時、もう少し歩きたい……
そうだ、覚満淵辺りを散策しようと車をビジターセンター駐車場に止め、ワカンとストック、それに双眼鏡と身軽になり覚満淵をめざす。だ〜れも居ない。静かだ、全面凍結、白一色。夏に見かけた、かもの親子は何処に行ってしまったんだろうか?ワカンをはめ普段は歩けない湖面の上をうろつき、そして歩道の所を一周する。鳥の声は全く聞こえない。風で出来た雪紋に西日が当たり綺麗だ。光と陰、芸術写真が出来そうだ。約一時間のワカンでの歩きは結構しんどかった。普段使わないところの筋肉を使ったのかちょっと腰が疲れた。でも満足。交代にクロカンスキーの若者が颯爽と湖面をめざす。
帰路、沈む赤い夕日に山肌が照らされ赤く染まっている。綺麗だなあ、徐々に日が暮れ赤、青、そして黒へと自然の変化は見事だ。遠く榛名連峰や浅間山、そして妙義山が次第にシルエットとなりやがて闇に沈む。静かな一日の終わり、今日の山行も楽しくそして厳かに幕を閉じた。
