晴れ無風 今日も鍋割山は好展望

 このところ忙しくて山に行く機会が得られず、ちょっと欲求不満であった。久しぶりに休みが取れた3連休。しかし大寒波で日本列島は大雪……折角の休みなのになあと思っていたら今日は低気圧も去り、晴れの予報。どうせ雪が降ったんだし、ちょっとした雪道歩きでも楽しんでくるかと赤城鍋割山をめざす。 富士山も見え好展望は期待通り楽しい一日であった。赤城はやっぱり素晴らしい

【登山日】  1996年 2月 4日(日)晴
【山  名】  上州赤城山 鍋割山(1332m)・荒山(1572m)
【同行者】  単独
【行  程】  鍋割高原登山口(青年の家側)…不動尊…鍋割山…荒山高原…荒山
          1015                1130  1200-1300  1330  1425-55
         …上の避難小屋…下の避難小屋(芝の広場)…駐車場…登山口
           1510        1525               1545   1630
【地  図】  赤城山 1/25000図、群馬県の山(山と渓谷社)

 久しぶりの山行である。2日から3日にかけ大雪に見回れたところが多く、ここ伊勢崎では雪は降らないものの今年一番の寒さを思わせる天候で山行を諦めていたが、今日はその寒波も去ったのか暖かそうな朝であった。よし、いくっきゃない。どうせ行くなら雪の楽しめる赤城山だ。その中でも展望は一級品の鍋割山に決定した。

 今日は天気も良く、気分もいい。久しぶりの歩きであり、ちょっと頑張って登りたい。それなら赤城青年の家方面からにしようと赤城ゴルフ場への林道をめざす。林道はこの標高(800m)では道路の積雪は殆どない。快適な走りで到着。既に3台程が道路端に止まっている。なんと山梨ナンバーもいる。うっそー

 これから約90分で約530mを登りつめる。かなりな急登が予想される。見上げてもかなり急だ。登山口から僅かで標識があり、左の不動尊から鍋割方面をとる。右手は鍋割高原経由で山頂らしい。距離にして約500m位の違いだ。下草の刈られた道を歩いて行くが、いつまでも山裾ばかりで登りにならない……反対にちょっと下り始めた?おかしいなあ(まだ1500歩位の距離である、戻るなら今だと葛藤する)、この道は初めてであり不安になる。やっぱり高原の方から登るかと戻り始めると、僅かで登りに向かって小さな道があった。登っているし、こっちを行ってみようと進む。分岐部分が僅か分かりにくいだけで後は問題ないようだ。正解

 竹藪を過ぎ、雑木林の急登を喘ぎ喘ぎ登る。久しぶりの登山であり体が鈍っているようだ。ところどころ雪はあるが、凍結は殆どしていないので安心だ。むしろ坂と枯れ葉で滑りやすい。30分程で休憩。風もなく穏やか。静かにしていると落ち葉が風で動く音、小鳥のささやき以外何も聞こえない。シーン……自然と一体となった感じだ。小鳥も安心したのか僅か5mもない距離まで来て囀りを聞かせてくれる。(残念ながら名前は分からない)さあ、出発と立ち上がると鳥も逃げていった。

 富士山や浅間、谷川方面の展望に見とれて歩いていると、わずかで赤色に塗られたちょっと損傷した石像のある「鍋破山前不動」に到着。あれっつ、字が違ってるぞ、文化?年とある。昔は鍋割でなく鍋破だったのかなあ?機会があったら歴史を調べてみるのも面白いかなと思いながら休憩していると1人の男性が登ってきた。前橋からきたそうだ。「昨日までの寒さと違って今日は風もなく展望も良いですねえ」等としばし歓談。

 ここらから積雪が多くなるがそれも僅かで、鍋割高原からの道と合流すると一面の笹原で爽やかな登りである。ここはもう雪は殆どない。季節にはツツジが綺麗であろうと思いながら、丸太の階段を登れば僅かで山頂に到着。積雪約7割の広々とした山頂では先着の10数名が素晴らしい展望に酔いしれていた。富士山、秩父連峰、浅間山、四阿山、谷川連峰が見える。爽快だ。あれは南アルプスかなあと、しばしザックを降ろすのも忘れて感激し写真を撮りまくる。よしっ、今日はパノラマで……

 好展望と穏やかな天候でビールがうまい。出かけるとき「こんな寒いのにビール持ってくの?」と妻に言われたのを思い出す。「う〜ん、やっぱりうまい」。飲みながら近くにいたおじさんと話が弾む。おじさん「ここは本当にこれ位のアクセスでこんな展望が楽しめるんだから素晴らしいねえ」私「そうですねえ。今夏はテントしょってきて眼下の夜景、夕焼け、星空、日の出を見ようと思ってるんですよ」、おじさん「いいね、いいねえ、それ最高だよ」etc…富士山は出発する頃はもやっとして見えなくなっていた。

 鍋割山は山頂からの展望だけじゃないんです。これから荒山に向かっての尾根歩きも快適そのものです。これから積雪も多くなるのでスパッツをつける。アイゼンは不要である(必要でも私はまだ持っていないが……)ちょっとした上り下りを谷川連峰の勇姿に目を奪われ歩いていると、やがて下りとなる。部分的に雪が溶け黒土がグチャグチャな所があった。これの方が滑りやすい。程なくして荒山高原に到着。季節ならツツジが素晴らしいところだ。時間を確認する。今日は荒山は予定に入っていなかったが、気分体調天候時間等申し分ない。前橋からの男性に教えてもらった下山後の林道歩きを考慮しても5時前には着けそうだ。こちらの方が雪道も深そうだし面白そうだ。よし、登ろう。

 雪がなければ如何にも「道を整備しました。さあ歩いて下さい。楽しいファミリーハイキングコースですよ。ツツジの時期にも是非来てね」といった感じの登山道であるが、今日は趣が違う。造成した道も埋もれて自然な歩きが出来る。おっと、スキー(でも、短かったなあ)をもった人が降りてきた。もう登る人は居ない。下りの人ばかり出会う。途中で小高く積もった雪に「太田ハイキングクラブ」と記してあった。まねをして「酒呑童子」と書き記し記念撮影をした。何日くらい残っているだろう?途中あった夫婦に「今からですか、時間大丈夫?」と心配されたが、「大丈夫でしょう」と答える。

 雪も深くなってきた。30cmはある。しかし良く踏みしめられており、問題はない。ちょっと外れたところにはスキーの後があった。ふーんこんな所を滑るんかあ、さっきの人かな?と思いを馳せる。しかし後があったのもつかの間、いよいよ急な登りとなる。軟らかい雪だが時々ズルッと滑りそうになる。ちょっと道を外れて誰も歩いてないところを歩いてみる。ズボッズボッと楽しい。息子と一緒に来たらはしゃぎまくるだろうなあと、家でファミコンしてるたっくんに思いを寄せる。前回一緒に来た時はこの辺で「頂上まだ〜」とぐずってたのを思い出す。

 さあ、頂上に到着。一匹の犬と1人のおじさんに迎えられる。おとなしそうな犬であったが、鎖もしていなく道も譲ってくれない。ちょっとビックリした。おじさんが犬をどかしてくれたので、前回見た展望板を探すが見あたらない。なんと雪で埋まっていた。この辺りだったなあと雪を払ってみると少し出てきたが途中で諦める。山頂はかなりの積雪であった。

 ここは数歩南に歩いた所の岩場が展望は良い。北方面は地蔵岳に隠れて展望はきかないが、谷川方面、武尊山、至仏方面がよく見える。確か鍋割からは至仏方面は見えなかったような気がするが……と1/20万図と双眼鏡で展望を楽しむ。まあ、定かじゃないが、とにかく素晴らしい展望であることには間違いない。

 熱いお茶とゼリー飲料で元気をつけ、避難小屋方面に下山開始とする。こちらは歩く人が少ないのか、道が良く踏まれていない。時々ズボッとはまる。これが又楽しからずやである。ここから芝の広場まではず〜と雪があった。途中動物の足跡なんか楽しみながら快適に降りる。芝の広場からは雪解けのグチャグチャ道の方が多くなり、何度か滑り転けそうになったがどうにか無事駐車場に到着した。これから林道歩きである。もうこの時間誰もいない。車も通っていない。1人静かに歩く。夕方になったからだろうか?鳥の声が多くなったようだ。約45分で車に無事到着。

 帰路無線で妻に無事下山を報告する。帰宅して「いやあ、手頃な積雪量で天気も良く楽しかったよ」と妻と息子にアピールする。「ふ〜ん、良かったね。じゃあ来週一緒に行こうかね」だって……さあ、次は何処にしようかな