赤城山 鍋割・荒山 のんびりハイク

 最近、西上州の岩峰と紅葉を求めて少しハードな山行が続いたので、気分転換にのどかな稜線歩きが楽しめる我らが群馬を代表する?赤城山の鍋割、荒山で秋の一日を過ごしてきた。谷川岳方面の雪化粧した展望が素晴らしかった。

【登山日】  1995年11月12日(日)晴
【山  名】  赤城山 鍋割山・荒山
【同行者】  酒呑童子、弘子(妻)、たっくん(小4)
【行  程】  荒山高原登山口…荒山高原…荒山…上の避難小屋…下の避難小屋
         1000          1030   1200     1225       1245-55
        …荒山高原…鍋割山……荒山高原…登山口
         1305    1340-1435    1505    1530
【地  図】  1/25000図 赤城山

 先日の渡良瀬逍遥さんの報告にあった、鍋割高原方面からの山行を試みようと思った。しかし、たっくんが数日前学校の体育時間に左手親指付近の筋を痛め添え木に包帯という痛々しい姿となった。(幸い骨折はしていないが痛そうだ)それで、大岩混じりの急登があるらしいそのルートを諦め、通常の箕輪登山口からの山行に決定した。

 前夜は出張で帰宅が午前様となり、また、たっくんの手が心配であり一度は迷ったが、朝起きて見れば雲ひとつ無い晴天である。これは行くしかない。たっくんの手もどうにか大丈夫そうだ。何とこれで6週連続の山行きである。長女からは「また山〜」と言われてしまった。

 自宅から見える鍋割山の山頂も雲ひとつない。寒そうだなあと、ズボン下を着込む。いざ出発。途中から見える浅間山はこのところの冷え込みで冠雪している。谷川岳方面も白く見える。もう山は冬なんだなあと感じる。

 箕輪の登山口は沢山の車だ。気軽に登れる人気の山の証拠であろう。樹林帯の中、丸太の階段で整備された登山道を緩やかに登る。たっくんは霜柱だ〜と喜んで踏みつけて回っている。手は大丈夫みたいで安心する。荒山高原を過ぎ更に荒山をめざす。ところどころ登山道が整備中であり、こんな所まで道路工事の機械が持ち込まれている。どうやって登ってきたんだろうか。大変だなあと思いつつ登る。見渡せばツツジの木が多い。花の季節の壮観さが偲ばれる。時期を変えてまた期待ものだ。

 風もなく快適な歩きであったがズボン下はやはり余計だったのだろうか。暑くてたまらない。だれも歩いてないのを確認し岩陰で脱いだ。これで軽快な歩きとなった。弘子も暑いらしく、同じく岩陰で………
 たっくんは、今日はリュックを背負っていないためか、どんどんと先に進む。途中岩の上で景色を見ていて降りるとき転んでしまった。痛い方の手を庇ったためか見事にひっくり返った。でも元気だ。ママには怒られていたが、あまり効き目がなさそうだ。

 ここら辺りから後ろを振り返れば、伊勢崎、太田、前橋方面の街であろうか、よく見える。雪をかぶった山々の景色が素晴らしい。やがてちょっと急な岩混じりの登りとなり、僅かで荒山頂上に到着。先着していたたっくんの機嫌が悪い。手でも痛いのかと思っていたら、途中で「頂上までどれ位?」「10分位だよ」と言ったのが気にくわなかったらしい。「嘘を付いた。とても10分じゃなかった。疲れた」との事らしい。しばらくぐずっていた。

 山頂は、何となく山頂といった感じでまとまりがない。木立に邪魔されて展望を楽しむにはあちこち移動しなければならない。展望を記した板が設置されていたがその上にはリュックがで〜んと置かれている。何もこんな所に置かなくてもと思ったが、なかなか注意できるものではない。置いてる男性登山者は全く無頓着で気にしてる様子ではない。いい年したオジサンであるが人の迷惑なんて感じないのであろうか。気を取り直して展望に目をやる。少し霞はかかっているが、谷川岳方面が白くなっておりよく見える。榛名山も見える。霞がかかって無ければ富士山も見えるそうだ。

 これから避難小屋方面に下り鍋割山をめざす。道を確認するが、山頂の表示板は壊れており、避難小屋方面の標識は地面にそれらしく並べられているがどうも方向が違うようだ。地図で確認し標識と90度違う方向をめざす。不安だがたぶんこっちだろう。所々で地図を出し確認する。え〜とあれが地蔵岳だし、あの道がこれかなあと思案しながら歩いてると避難小屋(というより東屋だな、これは)に到着、ほっと一安心。たっくんがまたぐずり始める。どうも腹が減っているようだ。次の避難小屋をめざす。道は整備がよく行き届いており、本当によいハイキングコースだ。気持ちがよい。鍋割方面の上空にはパラグライダーが3機優雅に舞っている。
 僅かで下の避難小屋に到着。気持ちよさそうな「芝の広場」に数組がひなたぼっこしている。ここでたっくん、パンにありつく。元気が出て機嫌も良くなったところで荒山高原をめざす。荒山高原では小学生を連れたグループがゲームを楽しんでいた。ここから、緩やかな登りを経て見通しの良い稜線に出る。先ほどより霞が多くなってきたみたいだ。遠望は効かないが谷川方面は大丈夫だ。風もなく快適な稜線歩きで上り下りを繰り返す。所々霜どけでグチャグチャだ。滑らないように慎重に進む。たっくんは一番乗りをめざし、遥か向こうを駆けて行っている。本当に元気が良い。もう数年で追い越されるのではとの気がしてきた。

 途中、パラグライダーが置いてあった。ここから飛び立つのであろうか。楽しそうだが、上の方は寒いだろうなあなんて思いながら歩いているとたっくんが「早くう〜」と呼ぶ。着いたぞう。眼下には前橋市街が一望できる。利根川の流れも太陽に輝きキラキラと光って見える。夜景なんか綺麗だろうなあ。ここから北の方の展望は樹木がありちょっと背を伸ばさないとよく見えない。展望は手前の稜線歩きのところの方が良い。温かいラーメンとコーヒーで食事とする。幸せなひとときだ。おっと、忘れてた。ビールがあったんだ。しかし、この季節、あまり汗をかいていないためか美味しさが今一つだ。

 ゆったりとくつろいだ後、記念撮影。三脚で撮っていたら、風のためか、設置が不十分だったためか、ポーズをとってレンズを眺めていたら、三脚がじわ〜と倒れだした。すわ、一大事と思ったのもつかの間、近くにいた人が受け止めてくれた。パシャッとシャッターが切れたのはレンズが空を向いたときであった。

 帰路は荒山高原経由で登山口に戻る。たっくんは歌を歌いながら非常にご機嫌に下っている。帰りに店で今流行のドラゴンクエストの鉛筆が買って貰えるのがよほど嬉しいらしい。それに今日くらいののんびり登山も気に入ったようだ。
 紅葉の時期は既に過ぎていたが、風もなく穏やかな太陽の日差しの中、霜柱を踏みしめ晩秋を感じ、落ち葉踏みしめての心休まる山行であった。気軽に登れる赤城山、これからも時期を変え、ルートを変えて歩くには楽しみの多い山域である。