足に豆が!! 楽しかった赤城黒桧山

山行日     1994年10月9日(日) 
登った人   酒呑童子、妻、たっくん
場所地名   群馬県
天候      曇り時々晴れ
行程      登山口−駒ヶ岳−黒桧山−猫岩−大洞北登山口−−−駐車場

概要
 昨日に引き続き今日も登山を決意する。日頃中々行けないので疲れた体も何のその頑張るぞお〜と出発した。前夜少し雨がぱらついていたが全然問題ない。目的地は、紅葉が期待できる群馬県を代表する山「赤城山」である。ただし赤城山は黒桧山、駒ヶ岳、長七郎山、地蔵岳、荒山、鍋割山、鈴ケ岳等の雄峰からなる総称である。今日はその中でも標高の高い「黒桧山」を制覇する事とした。

 話は変わるが、黒桧山登山決定について昨夜次のようなことがあった。 せっかくの休みだから明日も山に登ろうと話し合い、私は紅葉の綺麗な谷川岳に是非とも行ってみたく「群馬の山歩き130選」を眺めていた。もちろん妻や子に登れるかが不安であったが、ロープウエイもあり、装備さえしっかりしていれば子供連れでも大丈夫との記述があり、その気になっていた。万一天候が崩れたり疲労の状況によってはそこから引き返せばいいし……と思っていた。

 しかし、ママの一言「そんな恐いところ嫌だわ。危ないわ、恐ろしいわ、一人で行って来たら」との意見に、たっくんが「そんな恐いところ行きたくない。疲れる。ファミコンしたい。」そこにお姉ちゃんが更に追い打ちをかけるように「谷川岳って霊が出るんだって?」なんて言ったものだから、たっくん益々恐ろしくなったみたいで「絶対行かない。赤城山なら行く」とのお言葉。で赤城山となった次第です。(谷川岳行きたかったなあ……また機会をあらためて挑戦だ)
  
 伊勢崎の自宅を10時過ぎにでて、大胡経由〜約60分で紅葉がもう少しで見頃となる景色を車窓に眺めながら、山頂からの展望に胸をときめかせつつ日光のいろは坂を思わせるようなカーブの多い赤城北面道路を軽快に走行し、大沼湖畔を通過し駐車場に到着。登山と思われる数台の車がすでに駐車していたが、まだまだ広い駐車場は余裕たっぷりである。

 今日は15年ほど前に購入した登山靴を準備してきたのでそれにはきかえる。この靴は以前鳥取県の大山や九州の久住山に現在の妻と登ったときの思い出の靴であり、最近はずっとお蔵入りであったものを思いだし引っぱり出してきたものだ。昨夜試しに履いてみたら最近のデザインからは若干見劣りする以外は全く問題ないので現役復活となった。という代物であるが、いざ履いてみると何となくしっくりこない。靴下が薄いのか、足が細ったのかぴったりこない。まあいいやと思いなおし、元気に「しゅっぱ〜つ」となった。登山口でまずパシャッと記念撮影…みんなにこにこ…そこへ降りてきた家族連れのおばさんいわく…いや〜疲れた3時間半もかかったわ。…えっ、そんなに歩くのと一瞬妻のひきつった顔面とつぶやきが聞こえた。

 樹林帯に囲まれたジグザグの道を登り始めると、まもなく鉄製の急勾配の階段がそびえている。ここらでは息も絶え絶えになっており、降りてくる人が階段の上方で道を譲ろうと待機しており、早く登らねばと自然と足を早めるが、思うようにはかどらない。ようやく待機してる人の所まで着いたので、「すみません」と明るく声をかけ
たつもりが、ハーハーと息づかいも荒く思うように言葉にならなかった。次の階段でも上方から人が降りてこようとしている。これは絶対道を譲ろうと機先を制して「どうぞ、お先に」と声をかける。ありがとうと先に降りてきたので「よかった〜また、また急いで登る羽目にならなくて」とひとりつぶやいた。
    
 階段や急な坂を登り詰めると、樹林帯から抜け、ちょっぴり高原上の道に出たが、残念ながら生憎の天候、霧で見晴らしは殆どない。ときどき霧が晴れると沼が見える。疲れた〜まあだというたっくんを励まし、つつじの木を眺めただひたすら歩く。ただ、昨日吾妻山に登っていたせいか、何となく足どりは軽い。でも途中、外国人にす
いすいと追い抜かれてしまった。馬力が違うなあと感じた。
 
 程なく最初の目的地「駒ヶ岳…1689m」 に到着。5〜6人の先客が食事中であったが黒桧山山頂での食事をめざし、ごくりとつばを飲み込んで駒ヶ岳を後にした。もちろん、山頂からは霧のため見通しがいまいちであった。

 駒ヶ岳からの尾根はダケカンバやナナカマドの色づいた林の中を進む。下り坂で足どりも軽やかだ。霧が晴れると、前方に雄大な黒桧山が全景を見せる。「えっ、あそこを登るのお」一同どっと疲れが…でも、時折見せる山肌の紅葉や下界の沼が疲れを吹き飛ばしてくれる。山頂からの展望への期待感の方が疲れより優先して「頑張るぞ」との気力を漲らせてくれる。

 下りも終わり、本格的な急登となる。今度は木製の階段である。よくこんなに整備しているなあ。感謝感謝の気持ちで一歩一歩確実に踏みしめ歩く。道の脇には可憐なりんどうが咲いている。途中で登ってきた道を振り返る。うわあっよく登ってきたなあ。あっ、あんな向こうにさっきすれ違った人が等と駒ヶ岳の方を振り返りしばし休憩。
  
 もう少しで頂上だ。例によって頂上が近くなると元気が出るたっくん。一足先にかけ登る。前方より大きな声「あった〜頂上だ。やった〜」急いで駆けつけると何となく雰囲気が違う。誰もいない、そんなはずは?何やら「御黒桧大神」とかかれた石柱や鳥居がある。下界の大沼、小沼や、何やら知らぬ山の頂が霧の合間に顔を出す。どう見ても山頂の雰囲気だ。まだ先に道がある。行ってみよう。道しるべがあった。黒桧山山頂へ分け入る道が記されている。たっくんがまた走り出す。胸の所まである竹薮の小道を歩いていると前方より「ガサガサ」と音が…クマッじゃないよね。たっくんわずか立ち止まる。登山口であった外人さんであった。もう食事を済ませて下山するところだろう。「ハロー」と声をかける。 なんと日本語で「こんにちわ」と返事が………

 わずかで山頂に到着。沢山の登山者がまさに食事中であった。そんなに狭い山頂ではないが座る場所を探すくらいである。家族連れ、中高年団体、恋人同士、青年同士etcが楽しそうに団らんしている。残念ながら、霧のため視界は良くない。本当なら、谷川岳、皇海山、奥日光連山等が360度見渡せるそうである。まあ、しょうがないや。

 くつろいでいた人にお願いし、記念撮影「パッシャーン」…なんとなく音がぎこちない。もう一枚とはいいがたく「ありがとう」という。写ってるよな、今時のカメラは全自動だからと自分に言い聞かせる。何となく足指が痛い。靴の中で指が踊っているような感触だったから、豆でもできたんではと不安が胸をよぎる。やっぱり厚手の靴下を履いてくればよかったなあとちょっぴり反省。

 さて下山開始。くだりは、大洞北登山口をめざす。樹林帯の急勾配のガレキの多い下りである。ママも指の先が痛いと言っている。私も何となく足が落ちつかない。膝が笑っている。元気なのはたっくんだけだ。常に先頭をいっている。慎重に下る。いやあ、こちら側から登らなくてよかったと胸をなで下ろす。でも、頂上で見かけたおじさんたちはよくもこんな急な坂を登ってきたなあと感心する。

 登ってきたおばさんが猫岩はまだ先かねと妻に尋ねている。「わかりません」と答える。丁度そこらに大きな岩があったのでたぶんそれだろうと思ったが、後ほど見たガイドブックによるとその岩では無かったみたいだ。大沼が見渡せると書かれているがそこからは全くなにも見えなかったし、猫みたいでもなかった。ただ、猫に似てい
るとは書いてないが登山口からの所要時間から見てもたぶん違っていると思う。どこまで行っても急な下りだ。道案内の目印がそこかしこ見える。大部分は案内なしでも大丈夫であるが、ちょっぴり不安な感じの所もあったが目印で一安心であった。

 まだかなあ、足が痛いなあと思いつつ下っていると、展望のよい尾根筋に出た。大沼が光に反射してキラキラと輝いている。その中を高速船が走っている。絵に描いたような美しさだ。端によってみると、今降りてきた山肌が見える。紅葉も綺麗だ。乗り出してみると前方は絶壁だ。「たっくん、端に寄りすぎたら危ないよ!!」と声をかけひと休みして更に下る。 程なく車道に出た。やった〜無事に下山。休憩をいれて3時間30分であった。
 
 それから、大沼湖畔東側の車道を車に注意し、国民宿舎「赤城緑風荘」を左手に駐車場まで約15分歩く。頂上で会った中高年団体にであう。皆無事に下山したみたいである。帰りは南面有料道路をひた走り帰路に着いた。行楽帰りの車で若干の渋滞である。妻や子は気持ちよさそうにうとうとしている。私はひとり、今度はどこに登ろうかな、なんて思いながら無事帰り着きました。

 靴を脱いでびっくり、やっぱり豆が出来てました。片足に3ケ所、親指、小指その他である。左右ともに同じ様なところである。やっぱり靴が合ってなかったんだなあと反省。今度いい靴買おうかなあ。次の山行きを思い夢は膨らむばかりなり。