赤城 小黒檜山
黒檜山より小黒檜山を望む。奥は上州武尊山
【登山日】 2000年2月26日(土)晴れ
【山 名】 上毛三山 赤城・黒檜山(1,827m)、 小黒檜山地蔵岳(1,644m)
【メンバー 】 単独
【行 程】 大洞……駒ヶ岳………黒檜山……小黒檜山…1,620mピーク…黒檜橋…赤城神社…大洞
0930 1033-1040 1135-1235 1325-1400 1445 1530
【地 図】 1/25,000図 赤城山
赤城で雪遊びを楽しもう
今年は雪が少ないと言われたが、ようやく赤城山も雪遊びができるようになった。我が家の二回から眺めると山頂近くは白く見える。さっそくスノーシューを担いで歩きに行った。今日の目的は、無雪期は藪で厳しい小黒檜山に挑戦だ。荒山への登山口である箕輪駐車場あたりから道路は真っ白、しかしスノータイヤで足周りは万全だ。快調に進んでいたら突然横にズルッと滑る。一瞬冷や汗ものだった。その後は慎重運転で北登山口まで偵察の後、大洞の駐車場迄戻る。5人グループがお先にと登っていった。トレースは?
登山口から早速雪が膝上くらいまである。先行者がありトレースもしっかりしているが坪足で歩きにくい。1,600mの稜線にでるまでは、鉄の階段やジグザグ道で結構つらい。先行の5人組を途中で追い抜き稜線にでると足尾方面の素晴らしい展望が待ち受けていた。ここからトレースは薄くなったが2,3人歩いているようだ。
駒ヶ岳手前は雪庇
駒ヶ岳手前の右手は雪庇が張り出しており冬山の雰囲気。しかし風もなく暖かい。雪庇から落ちないように左の方によって歩くが雪のため普段は当たらない枝がじゃまで歩きづらい。このあたり深いところは1m位は積もっているんだろうな。そして駒ヶ岳到着。この山頂は登山道からわずか外れるためか、山頂らしくない為か、先行者は立ち寄ってなかった。しばし展望を満喫し黒檜山をめざす。フカフカ雪で滑る様にいったん下る。前方には谷川方面の山々が真っ白に見える。凄い眺めだ。さあ、いよいよ丸太階段の登りと思ったが、ほとんど雪で隠れている。前方に目を凝らすと3人ほどが休憩している。ヤッホーと今時珍しい声が聞こえてきた。これからの登りは結構つらい。時々休みながら登る。そして黒檜大権現の鳥居の20mほど手前で3人組に追いついた。先頭の男性は単独のようだ。それに女性の二人組が一緒になったらしい。聞けばずっと男性がラッセルしてくれたらしい。後で聞いたら8時半に登り始めたらしいから結構苦労したんだなあと感じた。「お疲れさま、おかげで助かりました」と声をかける。
素晴らしい展望
4人で鳥居のところから展望に見とれてしばし山談義、そしてお先にといって山頂を目指す。北登山口からの合流部までのわずかの距離をラッセルを楽しむ。合流部からは足跡が山頂を目指していた。山頂は今日も素晴らしい展望。記念撮影をしていたら先ほどの3人組がやってきて直ぐにもう少し先まで行きましょうと進む。夏は藪で歩きにくいところであるが、今日はふかふか雪だ。先に一人が歩いていたが、腰以上に埋まって進みにくい。それでも皆子供のようにはしゃぎながら先に進む。わずかの距離だがここは一番面白かった。そして稜線の端っこまでくると山頂以上の素晴らしい展望が待っていた。浅間山から谷川連峰、そして武尊山、至仏山から燧ヶ岳、日光白根に皇海山、もちろん八ケ岳連峰もばっちりだ。
箸がない、あれっ、地図もない
鍋焼きうどんで昼食、あれっ、箸がない!!コンビニの兄さん、忘れたようだ(^^; 木の枝で代用する。気の匂いがいつもと違った味を与えてくれた。時間も問題ない、見通しも良い、雪の状態もこれなら大丈夫そうだ。予定通り小黒檜山を目指そうとしっかり地形を頭に入れる。じゃあ、お先にと別れを告げ、スノーシューをつけ、1,600mの鞍部を目指す。かなり急な下りだ。所々岩があったりするが、だいたいが明るい樹林帯だ。ときおりズルッと滑るがそれも面白い。真っ白な誰も歩いていない雪は本当に気持ちよい。何度か転びながら鞍部に到着。地図を確認しようとしたら、無い!!落としたのかなあ…そんなはずは…さっきうどんを食べてる時は確かにあった。困ったなあ、無ければ引き返さなきゃやばいかな等と思いながらポケットやザックを探す。
新雪踏みしめて
あったあった、ザックにしまったフリースのポケットに入っていた。いやあ、良かった。まあ、地図を見るほどじゃないがやはり無いと不安だ。ほっと一息、地形を確認し20mほど登る。地図によるとこのピークのところから波線で登山道が記されているが何も目印はない。どこも同じように見える。でも楽に下れそうな感じにほっとする。そしてカラマツや雑木林、ダケカンバなどの樹林帯を雪を踏みしめて進む。笹の葉の埋まったところで、ときどき腰くらいまで埋まる。登りはちょっと苦労するがそれもつかの間、ゴジュウカラやヒガラ、コゲラの声を聞きながら快適に進む。そして最後の登り、電波反射板は見えているがなかなかつかない。一歩進んでは2歩ずり下がると行った感じのところもあったが露出した笹につかまりようやく山頂着。
小黒檜山でスケッチ
う〜ん、展望は申し分ないが、反射板は似合わない…ダケカンバを両サイドに従えて遙か向こうの武尊山が格好良い。久しぶりのスケッチを試みるが、雪山、それに地味な山の前景は色づけが難しい。思い入れとは裏腹に出来映えは芳しくなかった。でも、心の満足度は充分だ。妻に無事到着の携帯を入れ、山頂を後にする。
下山道は適当に
帰りは1,620m地点まで自分のトレースを踏みしめながら戻る。そしてここらあたりが登山道かなとあたりをつけて磁石をセットし適当に下る。途中までは快適だったが、急な下りになり目指す方向はちょっとした崖になっている。少し右手に進路変更。かなり急だ。雪崩が心配だが、この地形や雑木林では大丈夫だろうと勝手に思い心を落ち着ける。そして前方にめざす林道が見えてきた。このあたりちょっと深いところでは1mは積もっていそうだ。標高1,373mの林道にでるとスノーバイクの轍があった。以前山トンボさんが登ったという黒檜橋のちょっと下だ。そこからジグザグの林道を適当に横切りながら若干の登り。そしてぐるっと迂回する林道を敬遠し1,450m付近から波線の登山道らしきところに入りひと登りする。
あっ、雪崩?
途中の樹林帯で「ピシッ、ズン!!」といった鈍い音が一瞬起きた。ん、雪崩??かなと思ったが斜度は15度くらいだしこの樹林帯では心配なかろうと辺りを見回す。すると2mほど前にスッと一条の線がずっと走っている。よく見るとやはり雪の層が分断されたひびである。う〜ん、こんな形で雪崩が起きるのか、勾配が緩やかでよかったなあと胸をなで下ろす。で、後学のため、その断層のところを横にずっと掘ってみると、まぎれもなくわずかずれた形跡が見られた。積雪量は50〜60cm位だった。いやあ、さっきの急な下り斜面でこんな風になったらと思うと急に怖くなってきた。無事下山
後は何事もなく、最後の雪遊びを楽しみながら、北登山口付近にでた。そこから車道歩き約15分で駐車場に着いた。大沼ではまだ氷上ワカサギ釣りを楽しむ人達が見られた。こじんまりしたスキー場では家族連れが楽しんでいる。道路は朝よりだいぶ雪が融けていた。
今回は念願の小黒檜山に登れて満足した。雪崩もどきにも出会えてちょっと勉強になった。無雪期は藪こぎに苦労するが静かな山らしい。積雪期は今回と逆コースはたぶん難しいと思われる。地形がしっかり確認できてラッセルも下りとなる今回のコースなら静かなスノーハイクが楽しめるでしょう。