マンサクの花はまだだった 仙人が岳
1996年2月25日(日)晴れ時々曇り
山と渓谷(96.3月号)の特集、ワンランク上のハイキングに載っていた、足利の「仙人ガ岳」縦走に挑戦した。特集ではグレード他すべて★★★であり少々不安であったが「マンサク咲く県境の尾根を歩きケモノ道からルートを探す」のキャッチフレーズを求めての山行となった。
結果としてはマンサクの花には出会えず、また県境の尾根も途中でルートを間違えてしまったが、道無き道を求めてのワンランク上のハイキングが十分楽しめた山行であった。
文昌寺…雷電山…観音山…中尾根…前仙人…仙人ガ岳…一色分岐…高萩山との中間…森出…JR小俣駅…JR桐生
0900 0920 0930 0943 1145 1225-1300 1400 ?? 1505 1615 1735
今日はJR利用の山行である。いつもは車であるが今日は縦走である。両毛線に乗り、列車の旅も楽で良いなと思う間もなく桐生駅に降り立つ。山と渓谷の記事では瀬場橋でバスを降りとあるが、出かける直前の電話確認では8:05と次は11:00との事。えっそんなに間隔あるの。びっくり……もうちょっと早く確認すれば前の電車で間に合ったのにと先ずは今日一回目の反省をする。仕方なく前仙人迄は観音山からのコースに変更した。(文昌寺迄は890円、瀬場橋迄はTAXで約2000円…運ちゃん談)経済的理由により山渓の記事の前半をあっさり断念してしてしまった。これで来月号も買えるぞ……
ガッチン山から観音山、中尾根迄は今年初の山行で歩いたコースである。腕白坊主の好きそうな里の低山である。雷電神社に備え付けのノートに記念の文を書き記した。この山は気軽にこれるのか微笑ましい書き込みが多い。沢山の人に愛されている山のようだ。(Bさんの書き込みも発見)
3等3角点のある中尾根では、今日も相変わらず寝釈迦が惰眠を貪っていた。これからは檜の植林や雑木で展望のない単調な上り下りを繰り返しながら歩く。途中から先日の大雪の名残か、5〜10cmの雪を踏みしめての歩きとなった。結構急な下り坂では滑らないように慎重に下った。
天候は下り坂に向かっているのか太陽はほとんど顔を出さなくなったが、風はなく寒くはなかった。程なく小高い前仙人に到着。3人が暖かそうな鍋で食事中である。今日初めての登山者との遭遇だ。「どこから来たん」「ガッチン山の方から」「マンサク見ましたか?」「まだみたいね」などと話を交わしたあと先を急ぐ
一色沢への分岐を過ぎ僅かで仙人ガ岳山頂に到着。広々とした山頂だが木々の間から僅かに遠くの山が見える程度で展望はいまいちだ。足利で一番高い山との表示があった。
昼食をとっていると数組のパーティーが到着した。話題は「マンサク咲いてました?」の連発である。皆、2月中旬からの花期を目指して来たようであるが全くの空振りであった。そこで、マンサクってどんな木?、どんな格好の花?と話題はつきない。周りは一面冬枯れの木ばっかりである。本当にこの中にマンサクの木があるのか疑問であった。ここで東の方から上ってきた人が発言した。「前仙人の方から来たんだけどあっちにも全然見あたらなかった」と……えっ、前仙人は反対の方では……と皆不審の眼差しである。「前仙人と書いた大きな表示もありましたよ」とその人…「看板屋が間違ってたてたんだろう。そういうこともあるよ」と中年の人。みんなで地図を見てやっぱり前仙人はあっちだよねと確認する。何故そこに看板があったのかは疑問である。
ここまでは藪こぎもなくふつうの山歩きであったが、山渓の記事によるとこれからが楽しそうだ。県境の分岐点まで戻り南に連なる尾根を目指す。#92の基準点を通過し、一色山との分岐であろう#99の基準点を東へ進む。何となくこっちで良いのかなと不安であったが、道は確かだし間違いないだろうと進む。そのうちに道が無くなり藪が濃くなってきた。いよいよ藪こぎの始まりだ。あっ、あれはケモノ道かな?ねぐらみたいな草を敷き詰めたところも幾つか見つけた。尾根を外さないように注意と記事にあったので忠実にその鉄則を守る。
しかし、全く道らしきものがない。そう言えばいつの間にか桐生市の杭が全く見あたらなくなっていた。何となくルートを誤ったことに気づく。標識やテープのたぐいも全く見あたらない。
どうもさっきの#99の所で間違ったのであろうと思い、戻るかどうか地図を見て考えたが、かなり進んでおり、道のない所を戻る自信もない。とにかくあそこに見える高いところに上ってみようと進む。そこからはずっと向こうの下の方に道路が見えていた。「よし、あそこを目指そう」と決断し藪をこぎこぎ急坂を上り下りして進む。鉄則は尾根を外さないことだと自分に言い聞かせて歩く。時々見える道路の為か不安感はない。
やがて杉林になりそこを越えると雑木林になった。視界が明るく開け眼下には道路や人家が見える。やった〜とにかく出てこられたとほっと胸をなで下ろす。最後の藪こぎに力を入れ人家の脇を通って道路に降り立つ。果たしてここはどこだろうと向こうから歩いてくる人に尋ねると、予定した叶花のかなり手前の森出と言うところだった。バスの時間迄かなりあり歩いて小俣駅を目指す。
途中、左手に石尊山を眺めながらルートを間違ったのは読図力にあるんでは等思い起こしながら反省する。
小俣駅では列車は出たばかりで約35分も待たねばならない。待つのもしゃくだしこのまま桐生駅まで歩く事とした。いやあ、よく歩いた一日であった。
前半は単調な歩きであったが、後半は藪こぎの魅力を満喫した山行であった。手には幾つかの引っ掻き傷と、ズボンには幾つかのほつれが記念として残った。しかし道を迷ったことは大いに反省すべきであり、無事に下山できたのは道路が見えたことと尾根歩きに徹したこと、低山であったことが幸いしたのであろう。
今回の藪こぎ経験で益々山歩きが楽しくなってきた。読図力に磨きをかけて再挑戦してみたいものだ。マンサクの花も心残りである。