足尾 松木川から大平山

1999年5月14日(土)曇り後雨

 
大平山から社山への尾根はこのような感じの笹原

以前中倉山を歩いたとき、松木川の対面に気持ちよく歩けそうな尾根が広がっていて歩きたいなあと気になっていた。で、早速歩いてきました。期待通りの気持ちよさ。でも天候がいまいちで広い笹原では迷いそうになったりちょっと不安の一日でした。鹿には30頭以上出会ったし、アカヤシオにも出会えたしまずは満足。でも長〜い一日となった

【登山日】 1999年5月14日(土)曇り後雨
【山 名】 足尾 大平山(1,959.5m)、社山(1,827m) 
                             標高差 約1,120m
【メンバー 】 酒呑童子
【行 程】 ゲートの先 …1,450m付近…太平山…社山…阿世潟峠…
      0740      0915   1035-1115 1320-1355 1425 
      足倉沢…登山口
      1520  1635
【地 図】 日光、奥鬼怒、奥日光(昭文社 1/50000図)


予報は午後からは雨かも…と芳しくない。しかし歩きたい。まあ、あの山だったら樹木も少ないし天気悪くても見通しは大丈夫だろうと出かけることにした。あの荒れた山肌に新緑がどのように芽生えてるのか、興味は尽きない。
渡良瀬渓谷鉄道間藤駅を過ぎ、荒れた足尾精錬所後を車窓に松木渓谷の荒れた山肌は、いつ見ても日本のグランドキャニオンといった光景だ。

松木川沿いに砂利道を走り岩峰聳えるジャンダルムあたりに到着(833m)。ゲート手前でここらあたりが中倉山から眺めたとき登れそうな尾根だったなと地図で確認する。間違いなさそうだ。広場にはテントがひと張り、沢登りを楽しむご夫婦であった。
天気がちょっと優れないが、まあ、行けるところまで行こうと沢の左手の尾根に取り付く。登山道らしきものはないが尾根沿いに行けば大丈夫のようだ。
程なく鹿除けの網沿いに道らしきものがあり、草付きの斜面ではそれにつかまりながら登る。鹿が10頭ほど隊列を組んで向かいの尾根を登っている。

 左の山肌は荒れて草木も少ないが、右の方はダケカンバの新緑がみずみずしい。見慣れない鳥がいた。たぶんアカハラだろう。ヒヨドリの2/3位の大きさだ。モズやシジュウカラも見かけた。ウソもいました。ルリビタキも…緑は少なくても小鳥は沢山いて一安心である。
どこらあたりかなあと地図を眺めていたら、どうもおかしい。今日はハンディー無線機を持参、これは標高も見れて優れものである。登山口でセットして登ったが、どうも地図と表示があわない。やはりこの程度かと思ったが、よく見ると1,300mの等高線表記が間違って記入されている。ふ〜ん、こんなこともあるのかなあ?

 1,450mあたりから気持ちよい笹原となる。中倉山のような感じだ。かなりな急登。笹原をジグザグに登る。ここらあたりは鹿道?があっちこっちに付いており。油断すると変な方向に導かれてしまう。でもまだ見通しはよい。結構疲れる登りである。ちょっと歩いてはひと休み。松木川方面の展望を楽しみながら登る。しかし、右の尾根と合流するあたり(1,650m)からガスが出て視界が悪くなってきた。まあ、このまま尾根沿いであれば間違いないようだしとそのまま歩く。1,800m付近はちょっと平らになりガスの中幻想的な雰囲気の広場で気分良い。しかし道が分かりにくくなってきてちょっと不安が広がる。

 そろそろ三角点かな?この笹では見つけにくいかもとゆっくり確認しながら歩く。右手は針葉樹林。左は笹原が続いている。しかし視界は100mも無いほどだ。おかしいなあ、ここらあたりだけどと5分ほどうろうろする。高度計は正確に示している。あったあった、三角点だあ。大平山の表示もあった。なんとなく黒檜山と似た雰囲気の山頂である。たぶん天気良くても西側は何も見えないだろう。でも東側は良さそうだ。見たかったなあ。社山への気持ちよい尾根を…

 とりあえずCQを出し東京他数局と交信する。じっとしていると寒い。なんと4度である。いらないかも思いながらも持ってきたフリースを着る。靴は防水性のない安物で笹原を歩いたのでもうびっしょりである。でも足は寒くない。寒いのでビールも喉を通らない。社山、どうするかなあ…この天気では展望も良くないし、でも折角だから行くかな。黒檜山への稜線まで出れば以前歩いたこともあるし大丈夫だろうと先に進む。もちろん磁石をしっかりセットしたことは言うまでもない。

 針葉樹と笹原で標高差もあまりないだだっ広い尾根は以外と分かりにくい。道しるべはない。鹿道があちこちにありますます不安になる。こうなったら頼りは磁石だけだ。境界杭が見つかればどこにいるかわかると思うが、この笹ではそれもままならない。時間的にはもうここら辺と思うが、針葉樹林帯はどこも同じように見える。もう駄目だ。わからなくなる前に戻るかとちょっとひと休みしていたらぼ〜っと赤いテープが見えた。おっ、こっちかな?とそれを中心にもう少し目印を探し回る。あったあった、地形、磁石から見ても社山への尾根に出たようだ。道も何となく登山道の雰囲気である。とりあえずテープを信じて歩いてみようと先に進む。1,830m付近で広〜い笹原となる。間違いない。ああ、良かったとほっと一安心。急いで社山方向に磁石をセットする。と、その時わずかだがガスが切れ足尾方面、そして中禅寺湖が確認できた。

 しかしその安堵も一瞬。再びガスの中となる。幻想的な雰囲気は最高だが、この広っぱ、思わず鹿道に誘い込まれることたびたび…時々鹿の鋭い鳴き声
1,729mのピークあたりでまたガスが切れ社山方面が姿を見せる。下りに使おうと思っていた南の尾根も確認できた。ガスさえなければ降りれそうだと思ったが、山の天気はそんなに甘くなかった。ここらあたりから雨もひどくなり傘を差しての歩きとなる。山頂手前のガレ場ではアカヤシオが雨に濡れて綺麗だ。岩の多い樹林帯を一気に登れば社山手前の広場。天気良ければ展望抜群のところだが…下りもここからと思ってたが、今日は諦めて阿世潟峠経由に変更しようと山頂をめざす。山頂では樹林に雨を避けてご夫婦が食事中であった。生憎の天気ですねと挨拶し私もひと休み。

雨はやみそうもない。雨具を着用し佐波郡の局と交信し阿世潟峠をめざす。途中カラマツの雨粒を滴らせたカラマツの新緑、芽吹きが綺麗だ。左右がガレた岩場ではアカヤシオが咲き誇っていた。この花は雨の日もそれなりに風情があって良いものだ。きつい登りも下りは快適だ。あっというまに阿世潟峠に到着。古くからの足尾と中宮祠の要路だったと言われるこの峠からの下りも雑木林が美しい。しかしところどころガレたところもあり注意が必要だ。その峠道もわずかで荒れた林道にでて、そこから長い長〜い林道歩きが続く。もうほとんど用を足してない林道は道が半分崩れていたり、沢になっていたりである。歩くには変化があって面白いが、自然を壊して大金をつぎ込んで造った林道がこれじゃあねえ…

 遠く中倉山方面が見える。まだまだ遠い。足倉沢を過ぎ左手の赤倉山に登り道はないかな?右手のあの尾根降りる予定だったのになあなどと思いながら歩けば長い道も苦にならない。今度はこの久蔵沢のほうから社山をめざすかな…
そして松木川に出てゲート迄は中倉山側の岩壁に見とれているうちに着いてしまった。このコース天気さえ良ければお勧めである。しかしガスってる日はあるかない方が良さそうだ。