安蘇の山は今が旬 根本山〜丸岩岳
1998年3月7日(土)晴れ時々曇り、小雪
風邪や野暮用で約一ヶ月半も山歩きから遠ざかってしまった。今が旬の安蘇の山歩きの報告を読みながら心は悶々状態…で久しぶりにリハビリ山行を堪能してきましたが安蘇の山はやはり期待通りの面白さだった。
三境山林道分岐…沢コース…根本山神社…根本山……熊鷹山……丸岩岳……林道分岐
1030 1130 1120 1345-1355 1515-1535 1615-1625 1740
天気は良し、しかし強風…久しぶりの山行で昨夜は心うきうき。つい夜更かししてしまった。山歩きから遠ざかってた為か、いざ出かけようとすると強風に一瞬「やめようかな…」と心をよぎる。しかし快晴。9時15分いざ出発だ。
桐生の町並みを過ぎ懐かしい山々が見えてきた。林道分岐には2台の車。今日は以前から歩きたかった沢コースを歩く。雪は殆ど無く爽やかな沢のせせらぎ、時折びゅうっと風が落ち葉を舞い上がらせる。朽ちた木橋や飛び石伝いに沢を渡り徐々に雪が見えてくる。遠くから爽やかな小鳥の声、尾をピンと立てたミソサザイがわずか数m前に現れた。いつ見ても小気味よい動きだ。
途中単独行氏に出会う。「早いですねえ、もう登ってきたんですか?」「いやあ、お堂の下辺りから積雪が多いんで無理と思い引き返してきました…」「そうなんですか、じゃあ私も行けるところまで行ってみます」と分かれる。右手の巨木の上の方にには真ん丸い穴が…何の鳥の巣かなあと気にかかる。暫くしてトントントンとアカゲラが出現、そしてエナガが、シジュウカラが…いやあ、気持ちよいなあ
魚止めの滝辺りで小雪がちらほら、しかし空は晴れている。積雪がふくらはぎ辺りまでとなりスパッツを付ける。そしてわずかで単独行氏が引き返したところに到着。トレースがあちこちついてるのが無念の思いを伝えているようだ。道がわかりにくくなり見回すと右手上方に朽ちた木の階段のようなものが…ちょっと急だが頑張って登る。まだ行けそうだ。上がりきったところに石灯籠や黒坂石への分岐の案内だ。コースはこれより右手に登る。倒木で歩きにくい。そして鉄の階段。此処からいよいよ本格的な登りだ。爽やかな沢歩きと安心していたが気を引き締めて登る。雪で道がわかりにくいが見当を付けて登る。
どっちかなあ??と上を見上げると白いテープがひらひら…でも崩れたような斜面、まあ印があるからとよじ登る。しかしその先が右か左か分からない。方向としては右だ。よじ登る。わずかな距離だが手強い。必死に登る。そして岩尾根に出ると上の方に祠が見えた。さびた鎖(というより鉄線)があるが今にも切れそうだ。今にも朽ちそうな祠を支える柱がせり出している所に回り込みよじ登る。ここが根本山神社のようだ。裏から柵を乗り越える。踏み板は今にも落ちそうだ。家内安全を念じ、そうそうに退散。少し降りたところに鐘がある。用意された木槌で「ゴ〜〜ン」…小雪舞う山肌に哀愁のある鐘の音が響きわたる…
そして又急登となる。雪でとても登れそうもないなあと見渡すと鎖がわずか見える。ガイドブックにあった連続した鎖場は此処かと思い一安心する。それからは雪だるま状態になりながら鎖を探り出し必死によじ登る。鎖が見つかり引っぱり出すとび〜んと鎖が現れ一条の筋が雪面に付く。なんとも頼もしい光景だ。しかし凍り付いてるのか岩に付いてるのか、ちょこんとしか出てこない鎖もあり、一喜一憂だ。足場を探り一歩一歩慎重に登る。そして無事石宮に付いた。やった〜と無事登り付いたことで感激の一瞬だ。(ここで安心し改めて沢山の願い事をする)こんなに手強いとは思わなかった。今度は雪のない時に来てみたいものだ。
此処からは雪も止み再び太陽が…締まった雪道でるんるん気分だ。しかし風が強くなってきたのでヤッケを着る。そして峰の平から四辻に出て緩やかな登りで一年ぶりの根本山山頂に到着。明るい雑木林に囲まれた静かすぎるくらいの山頂は木々に遮られ展望は無い。気温は0度Cだがそれほど寒くは感じない。風を避けて昼食をとろうと早々に下山。四辻からの道と合流するとトレースの後がある。数日前のものであろうか、締まった雪と凸凹のトレースは以外と歩きにくい。朽ちた十二根本山神社には似合わない石碑がある。参拝祈念に記帳する。
途中登山道の脇で昼食とする。暖かい大盛り鍋焼きうどんだ。半熟卵まで入っておりまずまずだ。何よりも、ほんのりと立ち上がる湯気は気分満足だ。氷室山への分岐はトレースは無い。日当たりの良いところは、ところどころササが見える。途中でトレースが無くなった。先日の登山者は積雪のためか熊鷹山は諦めたようである。ここからはときどきズボットもぐりながらの歩きだ。ちょっぴりカンジキが欲しくなる。雪が深いので山肌を巻き木の鳥居方面から登る。こちらは融けてところどころ黒土でぐちゃぐちゃ状態。雪よりも滑る。わずかで展望台のある山頂に到着。(2度C)
北方面はあいにくの曇り空で展望はうっすら状態。本当なら日光連山が見えるのになあ…南東には筑波山が見える。東には安蘇の山々、どこかの市街風景が見える。さあ下山コースはどうしようかと思案する。此処から降りれば長い林道歩きとなる。前方を見渡すと丸岩岳、野峰方面の尾根が魅力的だ。時間が許せばと心に描いていたルートを目で追う。体調はよい。雪の状態も良い。時間がちょっと気がかりだが…
よし、決めた。林道歩きと時間も大差ないだろう。2時間あれば大丈夫だろうと考え丸岩岳をめざす。明るい雑木林にあるトレースは狐か鹿か?この辺りは去年逆コースで歩いたときはコゲラが沢山いたなあ…いやあ、あそこから歩いてきたんか、良く歩いたなあと思いながら歩く。
丸岩岳はぽってりしたなだらかな山頂だ。山名板はひっそりと木の枝に取り付いている。辺り一面雪雪雪、寝っころがって空を仰ぐ。真っ青な空と激しい雲の流れ。小鳥の声…いいなあ
でもゆっくりしてはおれない。少しで林道にでる。崩れた土手にはどうやって降りようかと閉口した。そして再度山道に入る。野峰方面への道と別れここからは地図にも表示のない未知のコース。しっかりとコースを見定めポイントの尾根を目に焼き付ける。念のため磁石をセットする。雪も少なくなり心配していたほどではないコースにひと安心する。ときどき見かける目印に、道のない山でも歩く人がいるんだなあと感心する。とにかく尾根を外さないことがこのコースのポイントだ。木々の間からは根本山の中尾根コースや、熊鷹山方面が見える。
1時間半ほどで906mのピーク着。地図の通り県境杭を見つけ間違ってないことにほっとする。双眼鏡で覗くと熊鷹山の展望台も見えた。もう雪はない。安心したためか遠くに見える石鴨の集落をめざし5分ほど南に向かって県境を歩いてしまった。あれっ、あっちに降りたら車が遠くなるぞと再度地図を確認。間違ったようだ。
いったん906m迄もどり尾根を確認。こっちだろうと少し石鴨方面に進み急な坂を下る。すると県境杭が見つかった。木に赤いペンキも見える。ちょっと分岐(といっても分岐は無かったが)がわかりにくい。立っては降りれないほどの急な下りもわずかだ。左手の暗いヒノキの植林帯の中はまだ雪が多い。平坦になった尾根はちょっとした藪こぎを強いられる。
眼下に林道が見えてきた。おっと、あそこに我が愛車が見える。そして最後の急勾配を下り沢に出る。トントントンと石伝いに渡る。そして林道へどこから登ろうかと見渡すがどこも似たり寄ったりで手近なところをよじ登る。こんな時上の方から大型ゴミなど投げられたら悲惨だなあと心をよぎる。林道に出たらほんのわずかで車に到着。雪が少し激しくなってきた。引き返してきた単独行氏に出会ったときは不安であったが終わってみれば「ああ、楽しいリハビリ登山だったなあ」と満足の面もちで薄暗くなった林道を家路へと急いだ。