静かな山歩き 桐生 根本山
先日の道に迷った仙人ガ岳の藪歩きで桐生から足利、安蘇山塊の山々を身近に感じるようになってきた。以前から気になっていた根本山に挑戦した
【登山日】 1996年3月2日(土)晴
【山 名】 群馬桐生 根本山(1,119m),熊鷹山(1,169m)
【同行者】 単独
【行 程】 登山口…尾根コース…根本山…神社…氷室山分岐…熊鷹山……林道…登山口
1055 1235-1255 1305 1320 1340-1425
1440 1530
【地 図】 1/25000図 沢入、群馬県の山(山と渓谷社)
この地域は「自然環境保全地域」に指定されており、自然植生が残存しているという。また熊鷹山からの展望は360度の好展望、古くから信仰登山で栄え石祠や神社が有るという。静かな山歩きが出来そうだと期待しての山行である。
桐生市内から桐生側沿い不死熊橋をめざす。渓流を流れる水は限りなく透明だ。途中の石鴨迄はバスが通じているとのことだが、この山峡の細い道をどんなバスが通るのだろうか、運転が大変だろうなあと思ってると程なく橋手前の広場に到着する。橋の近くにも停められると有ったが、狭くて大変そうだ。運転の不得意な私は手前の広場で正解だ。
根本山に至るには沢と尾根のコースがあるが、日当たりが良い(たぶん)、時間的にも楽な尾根コースをとる。今日は寝坊で出発が遅かったのと桐生市内の混雑でこんな時間になってしまった。
15分ほどの林道歩きで檜林のジグザクの急な道を登る。途中からブナや雑木に植生が変わり展望の開けた伐採後に出る。30cm程の切り株に腰掛けてゆっくりとくつろぐ。あれが先日登った仙人が岳であろうか、楽しかった藪こぎを思い出す。東には熊鷹山がみえる。気持ちの良い尾根歩きが楽しめそうだ。ただ、無惨に刻まれた林道が強烈に目立つ。
1035mのピークに達し雑木林の中尾根のなだらかな歩きが続き、僅かで沢コースと合流する四ツ辻に到着。僅かの急登の後今日初めて雪との対面、程なく根本山頂に到着。木々に遮られ展望はないが静かで気持ちよい。ここで3人の先行者に出会った。
鳥の声に見送られ熊鷹山を目指す。ここから雪も多くスパッツをつける。尾根上を滑るように急降下の後広々とした神社に到着。昔の人はここまで上がってきて信仰していたのだろうか。山と信仰、先日読んだ槍ヶ岳開山を思い出す。ステンレス製の立派な箱の中、記帳ノートに登頂の喜びと記念の言葉を記す。
雪に見え隠れする笹の道を過ぎ氷室山との分岐。木々の間から北方向に雪をかぶった山が見える。少しして犬を連れた中年のおじさんと出会った。鎖はつけていない。どんな気持ちで連れてくるのだろうか?鎖くらいつけてもらいたいものだ。おっかなびっくり脇にそれ道を譲る。
途中で3人組を追い越して熊鷹山に到着。登ってきた尾根コースも見える。用意されている記帳ノートには林道建設反対が記されていた。山頂には木製の展望台が用意されている。僅か2m位の高さだが上がってみてびっくり、背の低い私には雑木にじゃまされていた展望が開ける。子供の頃から後10cm背が高かったら人生変わっていただろうなあとチビチビと言われた幼少時代が胸をよぎる。
ちょっともやがかかっているものの袈裟丸、日光方面他360度の展望は申し分ない。食事をしていると70歳位のおじさんが登ってきた。沢に行くつもりが途中で道を間違い熊鷹山登りに変更したそうだ。
このおじいさん、話してみると私から見ればスーパーおじさんだった。糖尿病のため毎週どこかに出没するらしい。滝をアイゼン、ピッケルで登ったり、雪の谷川岳にツエルトで籠もったり、5月の連休前には北アルプスにテント泊、その他諸々単独で頑張ってるそうだ。いやあ、びっくり…でも、糖尿病で食事制限してるとのこと。昼食中の私は喉がつまりそうだった。やはり、健康にまさる宝はない
おじいさんと途中まで一緒に下山する。木で出来た鳥居を過ぎ急降下も僅かで林道に到着。熊鷹山へ50分の標示があった。
これから登山口まで林道歩きだ。車は登山口で通行止めされており雪を踏みしめての静かな歩きが楽しめた。春にはアカヤシオやミツバツツジが咲くそうだ。残された自然林が織りなす新緑の輝きも見てみたい。今度は沢コースからの挑戦を胸に秘め帰路についた。
