桐生 根本山(1,119m) 2001年11月4日(日)晴れ
以前沢コースを歩いたとき紅葉が素晴らしかった。この素晴らしさを是非家族に見せたいと機会をうかがっていた。というのも。今年の夏、鼻曲山へ行ったとき、ちょっと無理をして「もう山には行かない!」と息子から絶縁状を突きつけられていたのだ(^_^;)
しかしようやく打開の方向が見えてきた。息子も運動不足が気になり「たまには行こうかな…」との言動がポツリポツリとでてきた。よし、機は熟した。「紅葉見に行こうよ〜」「うん」。やったね、では、いざ根本山へ…
【行 程】 三境山林道分岐…大割沢…灯籠…神社…山頂…(中コース)…林道…駐車場
0850 1030 1110-20 1250-1350 1520 1545
【地 図】 沢入(1/25,000図)
【メンバー】 ひろ、たっくん、酒呑童子
いつの間にか息子も大きくなった。登山靴があった方が今後もまたどこか一緒に行く機会があるだろうと奮発した。
今日は天気も最高。今回は鼻曲山のようにへまをしてはいかんと自分に言い聞かせる。コース状況も「少し鎖があるよ、ちょっと岩登りもあるよ」とすこし事前に話を盛り上げていった。今までは、大丈夫ラクチンだから…と言う程度だったが、これでは、実際山に行ってみると「話が違うじゃん…」ということが多かった(^_^;)
よし、準備万端だ。やはり家族で出かけるのは楽しい。あっという間に登山口についた。沢山の車が止まっている。やはりこの時期の根本山は人気がある。これだけいれば熊も出てこないだろう。そうです、我が家族は熊が怖いんです。
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登山口でコースを確認するふたり |
早速厳しい登りが…がんばれ!! |
こんな渡渉箇所が次々と… |
登りは沢コースとする。不死熊橋から登り始める。しかし、ここでひろが上を見て「……え〜っ」と声を上げる。そうです。初っぱなから厳しい崖の登り、ロープがあったのです。我が輩には全然対したことないんですが、鎖や岩の嫌いなひろはもうビビってます。たっくんは、やはり男です。以前は怖がってたんですがスイスイと登って上の方からひろがおそるおそる登るのを見守っていました。我が輩はすぐ後ろについて後ろで声をかけながらサポートする。距離的にはわずかであったので無事クリアー。いやあ、良かった。最初から躓くかと内心思ってしまったが(^_^;)
そして、道は平坦となる。しかしまたまたアクシデント…。道が先日の雨のためか大きく崩壊した跡があり寸断している。コースは山側に付けられていたのでちょっと緊張したがここも何とか無事通過。
その後は気持ちよい雑木林の紅葉を眺めながらルンルン気分で緩やかに登っていく。沢の音が心地よい。元気の良い小鳥の声がする。双眼鏡で探す「おっ、ミソサザイだ!」この鳥は体は小さく色も派手でないが、きりりとしっぽを立てて澄んだ声で鳴く。私の好きな鳥だ。
何度となく沢を渡る。以前はかけられていた小さな木橋や丸太は、朽ちてその役目を果たしていないものが結構見られた。でも沢の水量はそれほど多くなく、適当に飛べそうなところを探してポンポンと渉る。たっくんは水を得た魚のように遊び回っている。このコース気に入ってもらえたようだ。(^_^)
ひろは、沢を渡るのも木橋を渡るのもおそるおそるといった感じだ。まあ、これも慣れだろう。我が輩も気軽にポンポンと飛び移る。「おっと…」、大丈夫と思った石がぐらっとしたとたん、どぼんと足首くらいまで浸かってしまった。結局落ち込んだのはベテラン?の我が輩だけだった(^_^;)
紅葉が、緑が、沢の音が、小鳥の声が…いいなあ。こんな気分でのんびり歩くと疲れも感じない。時間はだいぶ予定より遅いが気にしないで進もう。
そしていよいよ厳しい登りの待ち受ける灯籠のあるところについたので一休みとする。ここでまたまた事前に恐怖を和らげるように「ここから鎖や梯子が続くよ。でも、そんなに危なくないからね…」と囁く


さあ、出発だ。さっそく荒れた沢に鉄梯子が現れた。ここはしっかり捕まって登れば大丈夫だ。そして鎖場、ちょっと湿った岩は滑りやすいがこれも何とかクリアー。やったね、崖の上に立つ根本神社に到着だ。数人の外国人の人たちが地図を眺めながら大きな声でしゃべっていた「おい、この岩場は厳しいぞ。私のぼれないわ。大丈夫だよ、鎖も足場もしっかりしてるし。紅葉が綺麗ねえetc」と喋っていた。ただし英語かフランス語のようだったのでよく理解できなかったが、鎖を指さしてごちゃごちゃと話していたのでたぶんそんなことを行っていたのだろう。そして議論はまとまったようで大きな男性が「ゴー」と声をかけた。
わが輩達は神社で鐘を突き見送ってあげた。眺めるたっくんとひろの顔が少しこわばっているように見えたが「大丈夫だよ、ほんの少しだから」と声をかける。
本当はここが今日の核心部だ。ここを登ることができなければ、沢歩きを楽しんだので引き返してもイイやと、内心は思っていたのだった。まずたっくんが鎖にとりつく。今日は泣き言も言わずグングンと先に進む。沢歩きで気分が良かった性だろうか?本当は鎖が好きなんじゃなかろうか…んなことないよ。ここまで来たら登らなくちゃと必死だったんだよとの声が聞こえてきそうだ。たっくんの姿が見えなくなった。ひろは心配そうに「たっくん、大丈夫?あまり先に行かないでね〜」と声をかけている。自分のことよりたっくんが落ちないかと心配なようだ。しかし自分もなかなか登りにくそうにチェーンにしがみついている。後ろから、足はそこ、手はそこ…などとアドバイスする。
どうにか、核心部を越えた。振り返ると日光男体山方面の展望が素晴らしい。「綺麗ねえ」とひろも感動している。山を彩る黄葉も素晴らしい。「いやあ、核心部越えたね。やった〜」とふたりをそっと褒め称えてあげた。
鎖場を無事通過したところで休んでいた二人連れ。なんと一人は70才を超えているそうだ。そしてもう一人も60才をだいぶ超えているとのこと。さわやかな汗を流していたその姿はとても若々しく見えた。あの年になって山登りできるって幸せだなあ、わが輩達もあのようにありたいもんだと話しながら登る。
ピークに出ると、ぼちぼち山頂方面が見える。先ほどの外人さん達が休んでいた。「お〜日本の黄葉、岩、鎖素晴らしいねワンダフル」と何語かで喋っていた。
いったん下りそしてまた登る。そしてトラバース気味に歩くと中尾根コースとの分岐に到着。先ほどのおじさん達が休んでいた。挨拶して山頂をめざす。ちょっと急な登りを終えるとなだらかな尾根となり、展望のない静かな山頂に到着した。数人が弁当を広げくつろいでいた。
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山頂です。 |
さあ、お昼ですよ。 |
では下りましょうか |
まずは無事登頂を記念して記念撮影。そして尾根を少し進んだところで待望のお昼だ。ふかふかとした落ち葉の座布団に座りワインで乾杯。落葉した木々の間から燦々と降り注ぐ太陽が暖かい。う〜ん、いい気分。しばらく家族団らんのひととき。たまにはファミリー登山もいいもんだ。
1時間も休んだので、誰もいなくなった。ひろはこの前から下りになると膝が痛いとのこと。じゃあ、ぼちぼち下ろうかと腰を上げる。枯れ葉の積もった下り道はさくさくと気持ちよい。たっくんは元気に駆け下りる。ひろは膝が痛いのでゆっくりゆっくり下る。そうです、こんな気持ちよい道を急いで降りるのはもったいないです。のんびり下りましょう。今日はサポーターをしてきたので少しは調子が良さそうだ。
少しずつ太陽光線が赤みを増してくる。山の紅葉も色とりどりに変化する。夕方のこの色合いは何とも心温まる感じだ。「綺麗ねえ、今度どこ行こうか?」とさらっと問いかけた。さて返事は?
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