足尾庚申山のお山めぐり        1996年9月8日(日)曇り時々晴れ

 朝目覚めたらいい天気、これは家にじっとしているのは勿体ない。近くて手軽に登れる山として残していた足尾庚申山に行くこととした。ここは皇海山への足がかりでもあり、その下見もかねての山行であった。奇岩怪石のお山巡りはスケールは小さいが妙義山にちょっと雰囲気が似ていて楽しかった。

 銀山平…鳥居…庚申山荘…庚申山…大胎内…鬼のひげすり…猿田彦神社跡弥 …鳥居…銀山平
 0900  1000-15  1120-40  1255-1340 1405   1430-1450    1505-15       1540  1630


 奇岩・怪石の庚申山は皇海山への途中の山との感じを持っていたが、結構歩きがいのある山で日帰りで皇海山往復なんて無謀な計画であることを思い知らされた。

 国民宿舎「かじか荘」の先で車を止め約4Kmの林道歩きは切れ落ちた崖、大きなそそり立つ岩で迫力のあるところだ。道ばたにバレーボール大の蜂の巣、スズメ蜂の巣であろうか。双眼鏡で見ていたが、ハチが襲ってきそうに見えたので先を急ぐ。ふと山肌の方を見るとカモシカがじっと見つめている。逃げそうもないのでしばし見物。おいしそうに木の枝を食べていた。木々の間をコガラが鳴いて飛び回る。気持ちよい林道歩きだ。

 やがて天狗の投げ石に到着。試しに小石を拾って投げてみたが、斜面にそって投げ上げるのは殆ど飛ばない。天狗様はやはり力持ちだなあ。ここは足尾の七不思議の一つとのことである。途中庚申七滝でひと休み。ぐるっと見学する。虹が綺麗だ。さあ、いよいよこれより山道となるが広くて明るい広葉樹林帯は気持ちよいところだ。黄葉の時は綺麗だろうなあ。沢沿いの道が終わるころ、悲しい伝説のある鏡岩に到着。私も山に迷って猿に助けられ娘を嫁にやらないでよいように注意しなくっちゃと気を引き締める。それにしても大きな岩だなあ。
 ハウチワカエデ、ケヤキ、コゴメヤナギなどと名前が書かれた木を眺め、夫婦蛙岩、旧猿田彦神社跡を過ぎ立派な構えの庚申山荘に到着。背後に控える岩壁は圧巻である。周りはシラカンバであろうか?水場もあり布団も用意されており、ここを拠点に皇海山往復をする人が多いのだろうか?

 そそり立つ岩壁の下を徐々に高度を上げていく。途中ツイーツイーと鳴くビンズイを確認、また水の流れる岩場では尾を上下に振るキセキレイを発見。やがてクサリやハシゴに助けられ、南総里見八犬伝の化け猫退治で有名らしい大胎内くぐりに到着。季節にはコウシンソウが咲くそうだが今は黄色い花やトリカブト、ダイモンジソウがところどころ目を楽しませてくれる。降りてくる人にもう少しだよと励まされ、ようやく岩場の急な登りを終えるとコメツガの中、道も緩やかになり山頂に到着。樹林にさえぎられ展望は全くない。
 少し先に進んだところが展望がよいとのことで、コガラの鳴き声に見送られ先に進む。着いた着いた「おう、あれが鋸岳十一峰か、おっ皇海山がど〜んと構えているぞ。あれが松木沢渓谷かなあ」と展望を楽しむ。しかし恥ずかしいのか僅かで皇海山は隠れてしまった。その後山頂は二度と現れなかった。休んでいると1人の女性が鋸の方から現れた。聞くと皇海山に行ってきたらしい。

 日帰りでは銀山平から皇海山まで往復13時間とガイドブックにある。ここまででも相当きつかったので日帰りでの計画はやはりちょっと難しそうだ。不動沢の方からは割と短時間で登れるらしいが、皇海山は奥深いところをじっくりと歩くのが魅力の山であり、やはり鋸経由にこだわりたい。山荘泊まりで計画を練ろうと思案しつつ下山する。帰路は大胎内くぐりから、お山巡りコースをとる。吊り橋、クサリ、ハシゴで登りや下り、ガレ場のトラバース、岩くぐり、そそり立つ岩、切れ落ちる絶壁と変化のある歩きが楽しめた。
 「鬼のひげすり」と名付けられた岩の間を登ると、眼下には庚申山荘が見える。ここでひと休みだ。と、ジェッとけたたましい鳴き声。数匹のカケスが飛び回っていた。展望を楽しんだ後やがて背の低いササの茂った道をジグザクに下ると旧猿田彦神社跡に到着だ。ここから来た道を戻る。帰りの一の鳥居からの林道歩きは疲れた体には結構こたえたが、国民宿舎「かじか荘」庚申の湯(300円)で汗を流多すとさっぱりした。