のんびりハイク 桐生観音山       1996年1月13日(土)快晴

 今日は目的の十二ガ岳を寝坊のため断念、しかし天気は良いしこのままでは体に悪い。のんびりと鳥の声でも聞きに行こうと桐生の観音山をめざした。
    泉龍院駐車場…中尾根…観音山…雷電山…ガッチン山…駐車場
     1155        1215   1245    1310   1325-50   1420


 今年の元旦、初日の出に赤城へ…と思ったが、深夜テレビの見過ぎで起きれず断念。その後の休みは何やかやあってここ暫く禁断症状を呈していた。そんな訳で13日は十二カ岳から小野子山だ。早起きして頑張るぞっと思ったものの、何となく正月以来、遅寝遅起きの習慣が付いてしまったのか、布団の中でぐずらぐずらしていて折角の好天にようやく気づいたのは9時過ぎであった。軟弱者、軟弱者……の声が聞こえる。

 しかし、良い天気だ、このままではもったいない。ぱらパラぱらっと本をめくっていると桐生「観音山」が目に付いた。「標高も低く変化のある里山、冬場の枯れ葉を踏む山路も味わい深い」とある。登山口には厄除けの「泉龍院」もある。よしっ、決めた。アクセスも短いし、ここは遅寝遅起きの厄でも払い落としてこようと遅まきながら意を決して出発した。

 桐生市へ向かう道中、赤城山、谷川方面、日光方面の山々が白く輝いて見える。冬のハードな山は経験のない私であるが、あの頂を歩いたら気持ちいいだろうなあと思いながらよそ見運転もわずかで市街に入り駐車場に到着。道路横には立派な案内板が設置されている。また、この辺りは「ホタルの里」としても有名?みたいで生息地等が近くの案内板に記されていた。

 駐車場北側から登り始める。赤松や雑木林の緩やかな登りを軽快に歩く。ピイピイ、チッチッチッ、カーカー、ピルルルと賑やかな鳥達の合唱が聞こえる。この中で分かったのはカーカーの主だけである。賑やかな声に耳を傾けながら、姿を目で追いゆっくりと歩く。天気はよいし最高の気分だ。程なく3等3角点のある中尾根に到着。そこにはのんびりと昼寝を楽しむ「寝釈迦」が待ち受けていた。展望はほとんどないがのどかだ。北方向には前仙人、仙人ガ岳へと続く道が続いている。時間があったらいってみたいと思う。

 寝釈迦と一緒に少し横になって休憩する。の〜んびり………と休んでいるとチリンチリンと観音山方向から忙しい鈴の音、ずいぶんペースの早い人が上がってきているなあと思っていると現れたのは何と犬一匹である。後から飼い主でも来るんかなあと思ったが誰もこない。犬は寝そべっている私か、はたまた寝釈迦に恐れをなしたのか引き返してしまった。

 さあ、出発だ。ちょっとした下りを歩いていると今度は首に掛けたラジオの音をならしつつ70才位のお年寄りと遭遇。ヒーヒー言っているが足腰はしっかりしているようだ。じいさん「仙人ガ岳の方から来たんかい?」私「いえ、泉龍院から」じいさん「そうかい、仙人の方は藪っこいからねえ、わしゃあそっちいくんじゃけどな」だって、凄い元気だ。結構時間かかりそうなのに大丈夫だろうか?

 僅かで、岩屋の中に火伏の神様が安置されていた。そこから数分でちょっとした広さの観音山山頂に到着。一応山頂であるが、歩いた距離、時間からは山頂と言った感じではない。しかし木々にさえぎられ展望はあまりないながらも、木々の間から吾妻山の後ろに赤城山、西の方には浅間山、榛名山が見える。浅間の右手には草津白根だろうか、雪を被って真っ白だ。まずは展望に満足して山頂を後にする。

 次に現れたのは雷電山である。これは別個の山というより、観音山の一部であり山頂は無い。大きな松の上に竹がくくりつけられている。「梵天」というらしい?何の意味があるんだろう?金属であれば避雷針なんだろうが……多分雷電山の名前と関係があるんであろう。松の根本に記念帳が備えられている。今年の安全山行を願い、酒呑童子の名を記してきた。

 ここから、右手の道を急坂を下り竹藪の道をちょっと登り返して、小さな岩峰の「ガッチン山」に到着。赤城山は見えないがここからも浅間方面の展望は素晴らしい。荒船山や経塚山も見える。双眼鏡で覗くと向かいの吾妻山の展望台にも10人ほどがいるようだ。多分素晴らしい展望に歓声をあげているのだろう。麓を見れば、遊園地からは子供達の楽しそうな声がこだましてくる。のどかな休日である。

 ガッチン山からは汗をかく暇もなくちょっとの下りで文昌寺を通り道路に出て駐車場に到着。泉龍院で遅寝遅起きの厄払いをと思ったが、境内まで行くのも疲れるし、神様にお願いするよりも自分自身の強い心構えが第一と心を入れ替え、明日の山行のため早めに帰宅した。枯れ葉を踏みしめ鳥の声を聴きながらの、のんびり歩き。低山歩きを満喫した半日であった。
 ガイドブックによれば春はヤマザクラやツツジ、秋は紅葉が楽しめるとのこと。仙人ガ岳めざして尾根歩きを楽しみたいものだ。