安蘇 三滝から氷室山、熊鷹山、下山は大ちょんぼ
1998年3月14日(土)晴れ時々曇り
先日熊鷹山から眺めた魅力的な稜線に誘われ歩いてきました。登り口は以前幻の滝と言われていたという三滝。不明瞭な道を楽しみ、小鳥に出会い、熊鷹山では思いがけない人に出会い、最後は大ちょんぼで下山口を間違え延々と林道歩き…なんとも言えない一日でした。
学林口…三滝展望台…どっかの稜線…氷室山…宝生山…十二山…熊鷹山…林道終点…
0855 1210 1220-25 1240-50 1340 1410-1445 1525
林道分岐…学林口
1645 (途中食事) 1845
桐生ダムから近沢峠越えで学林口を目指す。途中峠でトラックと離合。狭い道で四苦八苦、もう少し…とハンドルを切ったらゴトンと落ち葉で隠れていた側溝に脱輪。こりゃあ失敗したとバックで脱出をはかるが無理。心配して見ていたトラックの運ちゃんの協力で牽引、めでたく脱出する事ができた。幸先悪いなあとちょっと意気消沈。
心配してた林道の工事も中断しており学林口到着。まずは雨乞の滝、遮断の滝だ。何の変哲もない滝である。途中ルリビタキ(鳥です)も出てきてご挨拶。コゲラやエナガ、シジュウカラと小鳥の多い道だ。そして東屋のある林道終点。健脚向きという右手のコースを歩く。沢沿いに歩き道から逸れタイコオロシの滝見物。ミソサザイが小気味よく囀っている。ちょうど具合の良い石に腰掛け暫し観瀑。此処よりわずかで本命の三滝。滑りやすい丸太の階段を通り滝下へ…三滝というのに一つしか見えない。これじゃあ心残りと左手から滝上によじ登る。頑張って身を乗り出し二つ目を見ることができた。三つ目は見えない。まあいいかと急坂を展望台をめざす。此処からは眼下に三つとも見えた。でも上から見る滝は何となく迫力がない。幻の滝と言う割にはちょっとがっかりだった(桜や新緑、紅葉時期はたぶん色とりどりで綺麗でしょう)
展望台の先から氷室山をめざす。滝の上あたりに出たところで山肌に雪、コースが分からない。たぶんあっちだろうと沢に出るとテープがありほっと安心。これより沢沿いに快適な雑木林の歩きだ。明るくて気持ちよい。道は不明瞭だが、沢沿いで問題ないようだ。黒っぽい鳥出現、カワガラスだ。沢の石の上をあちこち飛んでいたが、そのうち白く泡立つ流れの中を潜ったりしている。何か虫を捕っているようだ。珍しい光景に暫し見物。しかし良く潜れるなあと感心する。暫く歩いていると今度は長〜い尻尾のヤマドリが山肌をトコトコと歩いている。いやあ、これも珍しい鳥にあったと感激。そしてヤマドリはドドドっと重そうに飛び立った。
ここらあたり迄はテープや表示に誘われ歩いてきたが、遂にテープを見失い路頭に迷う…といっても明るく広い雑木林である。見通しも良くピークへと思われる所を歩く。青空が見えてきて笹の多い山肌となる。ちょっと急になり笹で滑るのでジグザグに登る。ここらあたり迄は殆ど雪はなかった。そして1030mからの小さな石祠のある稜線に出た。稜線上は膝くらい雪があった。ここは一体どこだろうとちょっと右手に歩いてみるが標高は下がるばかり。こっちじゃないなと戻ると氷室山と十二山への分岐の表示に出会う。トレースもある。そしてわずかで展望もなく山頂らしくもない氷室山神社に到着。犬連れの単独行氏に出会った。前日光基幹林道の方から登ってきたらしい。林道はまだ雪が多く車は閉口したそうだ。
石祠の後ろに回り一応ピークらしいところにでて十二山をめざす。途中雑木に囲まれた展望のない宝生山で握り飯を食べる。風もなく割と暖かい。ちょっと下の山肌を氷室山方面に歩くおばさん発見。話し声がするので二人連れだろう。楽しそうに歩いている。このコースは殆ど雑木林とササ原の気持ちよいコースだ。雪はズボットはまれば膝くらいまであるが特に問題ない。木々の間から山々が見えるがモヤッとしていまいちだ。先ほどからあったトレースが途中でなくなった。先ほどのおばさん達だろう。途中までで引き返したようだ。トレースが無くなると山を独占したようで更に気持ちよい。そして十二山と思われるピーク。表示はない。暫し寝っ転がる。コゲラが木をつついている。
そして根本山からのコースと合流し熊鷹山をめざす。こちらは沢山のトレースがある。そして山頂着。賑やかなおばさん達を含むパーティーが山頂を独占している。根本沢コースから歩いてきたらしい。もう雪はこりごりだなどと話している。先週歩いたときの苦難を思い起こす。あれから雪も降ってなさそうなので、鎖場を登るときはさぞかし賑やかだったろうなあ、まあ無事で歩いてきた様で良かったとほっとする。そのうちの1人の男性と三滝からのコースについて話し合った。
賑やかなおばさん集団も下山し静かな熊鷹山が戻ってきた。安蘇の山はこうでなくっちゃと靄のかかった展望を満喫する。山頂には私ともう1人の単独行氏の二人…
なんとこの人Hさんであった。「Fの人?」「酒呑童子です。えっもしかしたら」「Hです」。私が先程のグループと話していたのが小耳に入ったようだ。内容からしてもしやと思ったらしい。偶然の出会いに感激。思わず握手してしまった。いやあ、この人があのHさんかあ。時々接近遭遇していたがようやく出会うことができた。私の抱いてたイメージとほぼ合致。話が弾み記念写真撮影。ビールで乾杯。Hさんごちそうさまでした。もうビールも美味しく感じる季節ですね。もっと話したかったがそろそろ時間切れ。またの再会を約し別れる。
さあ、これからは未知のコース。752mのピーク方向に下山する予定で歩き始める。木の鳥居まで下り田沼方面の表示に基づき左手に下る。道はしっかりしている。こちらも気持ちよい道でどんどん下る。途中、あれっ、予定では尾根歩きが主だったよなあと気づいたが後の祭り。そして林道末端に出る。案の定、小戸川の方に出てしまった大ちょんぼである。山頂で櫓の東のちょっとした踏み跡があったが、そちらを降りるべきだった(;_;)…
地図を見る。取るべき方法は二つ。一つは再度山に分け入り、大戸川方面へ横断する。もう一つは林道の分岐まで戻り更に歩いて学林口をめざす。う〜ん、どっちも妙案ではないが他に良い案もない。途端に元気がなくなった
第1案…川沿いの山肌はとても急で登れそうもない。断念
第2案…とっても長い距離だ。1/25000図からはみだしてしまう程だ。
しかし現実的な第2案をとる。そうと決まれば元気を振り絞りただひたすら歩くのみ。去年は外秩父40Kmを走破したではないか、頑張れっと自分を励ます。しかし長い。途中カワガラスやミソサザイが姿を現し鳴いて励ましてくれる。私も泣きたいよお…
それからは延々と歩く。黙々と歩く。腹が減ってきた。暗くなる前に食事しようと道のそばでラーメンを食べる。初めての熊本ラーメン、美味しかったです。そして暗くなってきた林道を更に歩く。闇の中、沢の音、風の音、時々鳥の声…まいったなあ…で、闇の中主人の帰りを心細そうに待っていた愛車にようやっと到着。いやあ、帰ってきたぞとボンネットをポンと叩く。満足というか燃焼し尽くしたというか、とにかく終わったあという感じで帰路についた。