本白根山 2001年2月10日(土)晴れ後時々雪
本白根山中腹から望む草津白根山、横手山方面草津良いとこ一度は〜おいで〜。草津といったら温泉、そして観光客がたくさん訪れる白根山周辺。本白根山は、数年前の冬、カンジキも持たずに登ろうとして腰までの積雪に苦しめられ登山口付近であっけなく断念した山である。コマクサの咲く季節も良さそうだが、あまりにも簡単に登れるのでちょっと敬遠。初登庁はやはり雪のある時期にと思っていたが、今回新しいスノーシューと心強い相棒を得て再挑戦となった。
【メンバー 】 H氏、酒呑童子
【行 程】 ロープウエイ山頂駅…旧火口跡…本白根山山頂…2,171ピーク…湯釜…(山頂)…山頂駅
1035 1205 1335 1355 1540
【地 図】 1/25,000図 上野草津 1/60,000図(昭文社エアリアマップ志賀高原・草津)
H氏は関越道でスキー場へ向かう車の渋滞に巻き込まれ「遅くなる、先に登ってて」との悲痛な叫び。「はい」と返事したものの、まあ、今日の行程は短いしと思いスケッチでも楽しみながら待っていた。絵なんか書いていたので地元の人と思われたのか、スキーにきた人から色々訪ねられる。「スノボーできますか?、初心者コースありますか?駐車場はいくらですか?私でも滑れそうなコースですか?etc」。少しは自分で調べて来いよな…と心では思ったが、「さあ、私は全くわかりません」と答える。
そうこうしているうちにH氏到着。往復切符を買ってロープウエイに乗り込む。出遅れたため結構込んでおり、しばし順番待ちである。登山者の格好をした人は全く見かけない。この調子じゃトレースは期待できそうもないなあ。
標高差約500mをわずか約10分。なんとラクチンなことか山頂駅に到着。にぎやかなスキー客を横目に登山口をめざす。雪はいっぱいある。案内の地図を見ようとしたらズボッともぐる。さっそく新調したスノーシューを装着する。う〜ん、いい感じ。地図でコースの確認。ゲレンデの邪魔にならないようにロッジの右手からツガの針葉樹林帯へと分け入る。純白の雪は適当に締まっていて歩きやすい。天気も良く見通しもばっちりなので適当に尾根めざして登る。2,154mピークとの鞍部に到着。誰もあるいていない樹林帯、気持ちいいなあ、夏だったらこんなにあちこち自由に歩き回れないだろうなあ、これぞ雪山の魅力。好きなところを選んで歩く。
誰もあるいていないと思ったのもつかの間、前方に階段らしきものが…近づくと、それはスキーヤーが横歩きで頑張ってつけたトレースだった。いやあ頑張るなあと感心する。振り返れば草津白根山や横手山の景色が素晴らしい。今日は時間があったらそちらへも行く予定だ。
旧火口跡迄は緩やかな道が続く。できれば火口跡に下らずに2,171mのピークを越えて進もうと思ったが、見ただけでこれは駄目だと判断し、スキーのトレースに導かれトラバース気味に進む。しかし、こちらもやばい。落ちてもそんなに距離はないがやはり恐怖感がつのる。相談の結果、スノーシューを外して火口まで降りようと言うことになった。
スノーシューは手で持っては歩きにくいのでポーンと投げ降ろしてズリズリと下る。見上げれば結構急な下りに、よく降りたなあと感心する。ここから火口の縁をわずか進む鏡池コースとの分岐に到着。白根山はガスがでる恐れがあり立入禁止のところが何カ所かある。この火口跡はその心配はないが、窪みであり風も滞留しガスがたまりそうな感じがして内心不安であったが無事通過してほっとする。
ここから「本白根探勝歩道最高点2,150m」の標柱のあるところまでは、夏道は大きく左手に回り込むコースであるが、今日は直進し歩きやすそうなところを登る。夏だったら高山植物やコマクサを踏み荒らしそうで叱られそうだが、積雪した山はその心配はない。2,150のピークから先ほど断念したコースを見ると「下に下るより歩きやすそうだったね」と二人で悔しがる。「でも、さっきの下りも面白かったしまあいいか、帰りはあのピークを越えよう」と意見がまとまる。
そして本白根山をめざす。ここはガイドブックによっては「ガス発生地」、「行けない」とか「行く人は少ない」とか記されている。今日は風が強いからガスも大丈夫だろうと勝手に素人判断をして先に進む。山肌には立ち枯れた木が寒々しい光景を見せる。ガスでやられたのかなあ…
後ろを振り返るとH氏の姿がない。すぐ後ろをきていたはずなのに…もしやガスにやられたかと一瞬不安がよぎる。しかしその心配はすぐに解消した。ハイマツ帯の落とし穴に落ち込んでもがいていたそうだ(^^;
風の強い中山頂らしきところに到着。しかし積雪で三角点は見あたらない。でも大丈夫。今日はGPSがあるのだ。山頂のデータを入力していたので、それで場所を特定し「ここが三角点」と決定し無事登頂を祝う。やったね、念願の本白根山、ついに制覇!!
ちょっともやっとしていて展望は最高とはいえないが、まずまずの展望。それよりも寒い。風で吹き飛ばされないように、ミニ三脚を雪に突き刺し記念撮影。お昼は風のないところにしようと2,154ピーク方面へ向かう。途中窪地があったので風を避けとりあえずパンをかじる。しかし寒いのでH氏のホットワインはお預けだ。
さあ2,171のピーク手前だ。H氏に道を譲り後から着いていく。時々ズボッと落とし穴に落ち込む。腰くらいまで落ちると上がるのに一苦労するが、これもまた楽しい。笑いながらお互いが一生懸命抜け出すのを眺めている。
ちょっと雪庇状になっていて用心しながら進みピークは無事切り抜けた。そのまま行けるかと思ったが、落とし穴もあり私は往路に火口跡へ下ったあたりで火口跡側に少し下る。こちらの方が歩きやすかった。H氏もその後こちらへ下った。しかしスキーの人はこの急な山肌をよく行ったものだなあとつくづく感心する。無謀なのかスキーの威力なのか…
それからは適当にロープウエイーからの林道に下り、弓池方面へと進む。林道は圧雪されておりスノーシューは不要だが外すのも面倒でそのまま進む。そして近道しようと弓池に入り、夏ならば観光客で賑わうレストハウスのある場所に到着。今日は人っ子一人見あたらない。時間も余裕があり、まずは湯釜を見てきましょうと緩やかな登りを登る。
すると突然エメラルドグリーンの神秘的な光景が飛び込んできた。いやあ、凄いなあ
(実はここだけの話ですが…以前本白根山を断念したときに、この湯釜の周りをグルッと歩いたんです。そのときは立入禁止なんて知らなかったんですが、帰って本を読んで気づいた次第です。積雪で立入禁止の標識やネットは埋まってて見えなかったのです。良識ある人はまねしないようにしてね(^^; )
そしてもう一つの禁断のみを食べに山頂をめざしました。大きなケルンに着いたえびのしっぽが印象的でした。風も強く寒かったです。こちらの山頂も良識ある人はまねしないようにしましょう。私たちと入れ替わりに同じように禁断の実を食べにきた二人連れに出会いました。本日初めて出会った登山者に親近感を感じ大きな声で「コンニチワ」って挨拶しました。そして名残惜しそうに湯釜の見えるピークまで行き改めてその神秘さに感動しました。湖底?にはカメラが据えられています。噴火やガスの発生を見張っているのでしょうか?カメラはじっと水面を見つめているのでまさか私たちは写らなかったことでしょう。
(これも余談ですが、以前湯釜の周りを一周したときにやはり、カメラが見張っていました。このときは場所から見て、ばっちり写ったような気がします(^^; そこから水面まで電気のコードのようなものが続いていました。温度でも測っているんでしょうか?)
レストハウスに戻り風を避けていよいよH氏のホットワインのおでましです。でも今日は寒く(氷点下7度だった)風もあってなかなかお湯が沸きません。時間をかけたためかアルコールが飛んでちょっといつもの味とは違います。でも暖かくておいしかったです。私は甘酒の元を持ってきたつもりがザックをかき回しても見あたらず、ちょっとがっくり。ビールはとても飲む気になれません。レトルトぜんざいに餅を入れて食べました。これって結構美味ですよ。
風も強くやけに雪が舞うなあと思っていたら、なんと雪が降り出しているではありませんか。雪雲が遠くにあったなあと思っていましたが、「とうとうこちらまでやってきたか、これでほんとの冬山になったね」と寒さにかじかむ手をコンロにかざしながら喜んでいる二人です。
さて青空に始まり、曇りそして雪が降ってきた楽しい一日もようやく終わりです。ロープウエーで下ります。眼下には小さな子供が格好良くスキーで滑る光景を眺めながら…
H氏は日帰りなので草津温泉でお風呂に、私は明日根子岳に行く予定なので今晩の宿「ツツジの湯」をめざしました。
湯釜の周りや草津白根山は毒ガス発生の恐れがあり、立ち入りが禁止されています。この報告を見て行ってみようなどとの気を起こさないでくださいね。万一行かれて事故にあっても私にはいっさい責任は持てません。
立入禁止区域には立ち入らないで下さい。もし行かれて事故にあったら自己責任で!!
今回の山行は、標高差約150mです。夏のコースタイムで本白根山まで往復約2時間半(弓池方面除く)であり、体力はそれほど必要ないでしょう。危険なところは旧火口跡のところをどう通過するかで決まりそうです(雪崩や転落)。むしろ悪天時の道迷いや万一の毒ガス発生が最大の危険でしょう。あとはあまり歩く人もなさそうなので新雪時のラッセルが大変だろうなあと思うくらいです。でもやはり冬の雪山、何があるかわかりません。用心して楽しみましょうね。