高山植物の宝庫 白馬岳                     

                       1999年7月17日(土)曇り時々晴れ〜18日(日)雨

杓子岳方面より白馬岳

 残雪とお花畑、爽やかなな尾根歩き、険しい岩稜の稜線、素晴らしい展望等々魅力的な白馬岳、梅雨の明けるのを待ちきれず歩いてきた。キャッチフレーズに偽り無し…素晴らしい山でした。 

7/17 栂池自然園…天狗原…白馬大池……小蓮華山…三国境…白馬岳…白馬山荘(泊)
     0715     0800  0915-0950  1125-1150      1315-1410   1420  
7/18 山荘…杓子岳…鑓ガ岳…天狗山荘…唐松岳…山頂小屋…丸山…第3ケルン…リフト上駅
     0535 0650   0755   0830    1150 1205-1235  1300   1400     1430


 大混雑が予想されるだろう山小屋…しかし天気予報は雨模様。梅雨明けももう少し先のようだ。テントにしようか小屋泊まりにしようか?悩んだ末雨の中撤収も嫌だなあ、行程も長いしと軟弱にも小屋泊まりとした。そして金曜日22時過ぎに伊勢崎を出発。高速道路料金をケチって一般道をひたすら走る。約210kmで白馬の町に着いた。まず下山口である八方ゴンドラの駐車場に自転車をデポし栂池へと向かう。広い駐車場には数台の車が明日の山行を夢見てひっそりと泊まっている。4時間の長旅、ビールを飲むとすぐに寝てしまった。

乗鞍手前の雪渓朝!!天気は??良し!!背伸びすると遠くの山肌に残雪が見える。急いで準備をしリフト乗り場へ向かう。6時30分の運行開始を待ち既に30人位が並んでいる。時間で〜す。ザックも10KGを越えると料金が必要だ。そ〜とはかりに乗せる。9KGでした。そしてゴンドラの客となる。こ〜んな楽して良いんだろうか?と思ったが、かなりの距離と勾配に、ここ歩いたんじゃ本命の山に着く前にばてちゃうななんて思っている内に栂池自然園に到着。用意してきた登山届けを提出し樹林帯を登りはじめる。夏山シーズンを前に道ばたの笹は綺麗に整備されている。ダケカンバが気持ちよい。

わずかで天狗原に到着。ミツガシワやワタスゲ、イワカガミ、リンドウ等が咲白馬大池いていたが意外と少ない。前方のガスが切れなだらかな山肌と残雪が見え隠れする。これよりごろごろとした岩の登りで歩きにくい。ちょっとひと休み…ウソが挨拶にやってきた。喉の赤色が鮮やかだ。キバナシャクナゲが瑞々しい。雪渓を用心して登る。するとハイマツイ一杯の広〜い山頂の乗鞍岳に到着。岩に足を取られて転ばないように注意して歩く。すると前方に赤い屋根の山小屋と白馬大池が現れた。う〜ん、いい雰囲気…小屋の前では沢山の登山者がくつろいでいる。周りはハクサンコザクラやハクサンイチゲ他、沢山の花が咲いている。しばし休憩。

雷鳥坂付近 気温15度C、時々青空となるが、あいにく遠くの山肌はガスで見え隠れしている。こんな日は雷鳥が見れるかもしれないなと思いつつコマクサや、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンチドリなどを愛でながらのんびり歩く。今日は白馬岳までだ。雷鳥坂では雷鳥は現れなかった。生憎の天気のせいか、登山者もそれほど多くない。写真を撮りながら歩く。展望がきいたら素晴らしいだろうなあと時々見える山肌に心惹かれながらちょっと急登の小蓮華山をめざす。大きな鉄剣のある山頂は全く展望無し。南側を覗いてみるとかなりやばそうな岩場である。単独行の女性が到着。この女性、栂池から同じリフトに乗り合わせたが、一泊二日で八方の方に降りるとのこと。私は二泊三日で計画しているコースである。うひゃあ…大丈夫かなあと心密かに思ったが、約18KGのザックを背負ってるにも関わらず爽やかな笑顔。軽やかな足取り、思わず密かに声援を送りたくなってしまった。旭岳

 これから三国境あたりは緩やかな上り下り。ウルップソウがたくさん咲いている。他の花々も所狭しと咲き乱れている。いやあ、素晴らしいなあ。白馬方面も展望が良くなってきたし快適な歩きである。ん??なにかハイマツの中に動いたぞ…よく見ると子供を引き連れた雷鳥がいた。ラッキー
ハナの写真を撮っていると先ほどの女性が追いついてきた。これより白馬岳まで色々話しながらご一緒していただいた。あれが山頂かなあ…はじめての山、よく分からない。そしてちょっとした岩場の急登、上には沢山の人がいる。もしかしてあれが山頂?あっけなく着いてしまった。山頂かなあと思っていたのは旭岳だったのである。

白馬山荘より杓子岳方面 














まずまずの展望、快晴だったらどれほど素晴らしいことか…ちょっと宿題が残ってしまった。女性は先をめざすとのこと。私も時間が早いので次まで行くかなあと思ったが、ここから3時間、小屋に着くのは5時前になる。体力的には行けないこともないが予約もしてないし晩御飯が心配である。で、ここでのんびりすることに決定、気を付けてねと女性を送り出し、富山と妙高高原の局と記念の無線交信を行い小屋をめざす。いやあ、でっかいなあ。よくもこんな山の上に作ったもんだなあと感心する。「一泊二食で8500円、
混んでるので1畳に3人です」……指定された夕食時間まで時間がある。外のベンチで持参したビールを飲みながら明日歩く杓子岳方面を眺めながらのんびりする。まだまだたくさんお人が登ってくる。大雪渓の方からが圧倒的に登山者は多いようだ。

杓子岳を望む そしてようやく夕食。ハンバーグカレーライスのセルフサービスであるコンベアーのように列を作ってお盆、カレーをもらって順番に指定の席に着く。なかなか合理的だ。私は三人のうら若き女性と同席となった。話が弾む。小屋泊まりはこれがあるから楽しみである。テントではこうはいかない。
夕焼けも今日は期待できない。まだ5時半だよ〜。する事もなく布団に入って周りの人と雑談。これも1畳に三人気持ちよく寝るためのコミュニケーションである。同室の人もする事もなく布団に入っている。本当は、うっかり遊び歩いてたりしていると寝るところが無くなってしまうのを恐れて所在なげに寝場所を確保しているのであろう。

 7時くらいだったかなあ「お客さん、他の部屋に移る人いませんか?」と小屋の人が行って来た。なんでもちょっと余裕が出てきたので調整してるとのこと。でも、なかなかみんな手をあげない。1畳に3人でも折角同室になった縁もあるし、隣同士程良くコミュニケ杓子岳方面より白馬岳ーションがとれてきたところでもあるし、それに腰を押しつけてしまったので面倒くさいなあ…との空気が感じられる。世の中どこにでも取りし来る人がいるものである。「あんた達何人?」などと小屋番の人と一緒になって人選が始まった。で、めでたく1畳に2人で寝れることとなった。持参したウイスキーを飲む暇もなく疲れていたのかそのうちに寝てしまった。「今日はいびきも少なくよく寝れるなあ……」などと夢うつつである。

 朝、3時半頃、目が覚めた。雨は降っていない。朝食は5時から先着順である。行ってみるとまだひっそりとしていて誰もいない。さすがに早すぎたようだ。再び布団に入るがもう寝れない。隣の人も目が覚めたようだ。「よく寝れました?」と朝の挨拶をかわす。旭は無理みたいだな〜。残念。
既にヘッドランプの明かりで出発する人達を横目に、再び食堂に向かうと100人くらい並んでいた。う〜ん、出遅れたか。「おはようございます」と小屋の人の元気な声で、また規律正しくお盆食器等をもらい席に着く。ほんと感心するくらいにスムーズだ。

 朝食を終え外に出るとなんと雨がぽつりぽつり…今日は霧多く雨、天気は悪い方に向かっているとのこと。参ったなあ。でもまだ小振り、展望もそこそこ良い。雨具のズボンだけ着けて傘を差して早めに出発する。村営頂上宿舎裏のテント場には色とりどりのテントが張られている。スペースにはまだ余裕がありそうだ。この時期昨年は満員お礼状態だったようだが、やはり天候に影響されたのであろう。振り返れば白馬岳の山容が見事だ。昨日は感じなかったが、こちらから見ると結構鋭い山容だなあと見とれる。杓子岳へのコースも花が一杯である。紫のミヤマオダマキが格別印象に残っ不帰ノ嶮た。もちろん他にも沢山の花々が咲き誇っている。

 杓子岳は山頂を通らずにトラバースのコースもあるが、迷わず山頂をめざす。朝いちにはちょっとつらい
ガレ屑の登りである。山頂は生憎のガスで展望無し。先ほどまで結構見えて他のに残念。そしてまた大きく下り鑓ガ岳への急登。途中で出会ったおじさん「クサリガダケの山頂はあそこかねえ?」「ん、??ダケ?」と聞き返す私。おじさん再び「クサリガダケは…」と言う。まあ、勘違いだろうと思ったが訂正するのも悪い気がして「たぶんここでしょうね」と答える。このおじさん、遠くのちょっと尖った山を見て「あっつ、槍が岳がみえる。凄いなあ…、あれは穂高かなあ?」と感心している。私は「たぶん剱に立山だろうけど…」と思っていたが嬉しそうにしているおじさんに「違いますよ〜」なんて言えない。すると遅れて着いた若い女性曰く「うっそ〜、槍が岳じゃないですよう。ねえ、ねえ」と連れに念を押している。おじさん、静かに山頂を後にした。そのうちガスでなんにも見えなくなってしまった。

不帰ノ嶮
 それもわずか、雨とはいえ結構すっきりとした展望で唐松岳への長い道もバッチリと確認できた。そして天狗山荘に到着。やはり白馬から3時間要した。昨日、ここまで歩いてきたであろう単独女性の健脚に改めて感心した次第である。雨が少し強くなってきた。この先は難所が待ちかまえており、傘では危険であろうと雨具の上を着用しなだらかな稜線を登り天狗の頭から天狗の大下りをめざす。300mは急下降の続くという大下りの手前でちょっとひと休み。
 前方には
不帰ノ嶮と呼ばれる本日最大の難所が待ち受けている。ザレた斜面、鎖のついた岩場を一気に下る。そして前方には1峰から3峰まで続くそそり立つ岩稜を鎖やはしごで登る。見た限りではあんな所登れるのかなあと思ったが、いざ取り付いてみると足場や手がかりもしっかりしており比較的簡単に通過してしまった。途中唐松岳の方から歩いてきた4、5名の人とすれ違っただけである。混雑するときは時間も掛かりそうであり要注意であろう。
八方尾根

 三峰を過ぎると唐松岳はわずか、たった一人の山頂は静かであった。しかし風が強くちょっと寒かった。立山、剱がうっすらと見えている。五竜岳の山容がここまでおいでと誘っているようだが、今回はここまでで終わり。唐松岳頂上山荘で予約を取り消し、
八方尾根を下る。この頃より雨も小降りとなりくっきりと景色が良くなってきた。大きなケルンが立つ丸山からは白馬方面の展望が素晴らしい。この尾根の下りも沢山の花が咲いていた。ちょっと時期遅れと思えるシラネアオイもたくさん咲いていた。それに鮮やかなニッコウキスゲ、コバイケイソウが目を楽しませてくれた。

八方尾根より白馬岳方面
 八方池に映る白馬三山が見れなかったのはちょっと残念である。少し手前までは本日最高の展望という位よく見えていたのに池のところではガスってしまい展望が無くなってしまった。何と不運なことか…しばらく様子を見るが、諦めてくだる。ニッコウキスゲはこのあたりもたくさん咲いている。沢山の登山者に踏まれているのであろうか。つるつるとした石の登山道は歩きにくい。危うくすってんころりんとなるところであった。山荘からはリフトとゴンドラを乗り継いでラクチン下山。そしてデポしていた自転車で察そうと白馬駅をめざし、運良く栂池へのバスにグッドタイミング。帰路は岳の湯で汗を流し上信越道を快適走行で2時間50分で無事帰宅できた。


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