白馬岳 雪倉〜朝日岳は強風と濃霧で断念

2000年7月21日(金)晴れ〜22日(土)霧、強風

大にぎわいの白馬岳山頂

晩ご飯も食べたし、ビールも飲んだ。う〜ん、満足。の〜んびりした時間が過ぎていく。
まだまだテント場には、遅着きの人がやってきてテントを張る場所を探している。結構大入り満員のようだが、探せばあるものだ。我がテントの周りもお隣さんが増えてきて、ちょっと込み入ってきた。

まだ寝るには早い。ちょっと絵でも書こうかなと稜線に登る。白馬岳山頂が雲一つ無い快晴の中に浮かんでいる。しかし、白馬山荘のでっかいこと。お客が居るからこんなでっかい山荘が成り立つんだろうがちょっと異質だ。


立山、剣方面展望良好
絵を描き終わり振り返ると、剣岳や立山方面がばっちり見える。いやあ、凄いながめ!!
もう少し上に行けば更にその向こうも見えるんではと丸山まで登る。

この稜線は花も多い。花や展望を目当ての人達がのんびりくつろいでいる。そしてあられた展望は更に素晴らしいものであった。「ほら、あれが槍ケ岳、ねっ、見えるでしょう。ほらあの雲の切れ目の所」「「見えた見えた、へえ、あれが槍ケ岳。凄いねえ」とあちこちから感嘆の声。この素晴らしい景色に皆酔いしれている。夕日が当たるともっと綺麗だろうなあと、一等席にずっと陣取っている人がいる。


杓子岳方面夕日
太陽が沈み始めると、山肌をオレンジ色に染め上げる光景に感嘆の声が聞こえる。山の落日は本当の荘厳な感じがする。
日が沈むと更に照り返しで雲の色がオレンジ色に染まる。いいなあ…






荒れるテント場強風でテントが…
素晴らしい夕日に感動し、明日の好天を夢見て就寝。暑いくらいだった。途中21時頃星空を見ようとテントより首を出す。うん、沢山の星空、明日は天気良さそうだ…
しかし悪夢は2時頃やってきた。囂々と言う凄い音に目覚める。テントがつぶれそうな風、外では、フライが飛んだのか大騒ぎで走り回る声や、ペグを打つ音が聞こえる。我がテントも居住部分が無くなるほど押しつぶされようとしている。心配になりペグを確認。どうにか持ちこたえているが、張り綱が緩んでいる。念のためペグの点検、そして石頃を沢山載せて飛ばされないようにした。
しかし、風はいっこうにやまない。いつフレームが折れるかと気が気でない。この状態が朝まで続き睡眠不足となった。
さて、今日の予定どうしよう…風はいっこうにやむ気配はない。ガスで見通しも殆ど無い。この状態で朝日岳まで長丁場を行くのは危険と判断しとりあえず白馬大池まで下りその先はまた考えようとテントの撤収にかかる。
これが大仕事!!風のため一人での撤収は困難を極めた。とりあえずザックや小荷物をとりまとめ小屋の軒下に移動。そしてフレームを抜きテントはぐしゃぐしゃのまま小屋の便所の土間で畳んだ。いやあ、疲れた。大型テントの人達も大人数で飛ばされようとするテントを押さえて必死の形相だ。でも、何故か皆楽しそう (^^;

昨日知り合った人に別れの挨拶をしようと思ったが、まだ寝てるのか、姿が見えない。それとも小屋の方に避難したのかなあ。このテントも必死に風に耐えていた。外から小さな声で、またどこかで縁があったら会いましょうとささやきテント場をあとにする。

ガスで展望無し体も飛ばされそう
ようやく撤収を終わり白馬岳をめざす。いやあ、昨日大展望を満喫して本当に良かった。今日は何にも見えない。小さな石が飛んできて体に当たる。口の中には砂が入りジャリジャリと気持ち悪い。
しかし、本当に風が強い。時々飛ばされそうになりじっと耐風姿勢をとる。稜線でこの風を受けたらちょっと怖いなあ…
ゆっくり慎重に登る。そして誰もいない山頂。何も見えない。三国境あたりまではほとんどガスの中だったが視界は100m位はあった。このあたりまで来るとガスが切れ時々稜線が見えるがそれもつかの間、また静かな世界に戻る。標高を下げた分風は幾分弱くなってきた。左手の斜面には結構コマクサが咲いていた。展望はないが、キンバイやウルップソウ、ハクサンイチゲ、チングルマ等沢山のはながめを楽しませてくれた。

白馬大池白馬大池
このあたりからは晴れ間も出てくるようになり眼下に綺麗な池が見えてきた。。池の手前には可憐なハクサンコザクラが沢山咲いていた。ここでもう一泊することも考えたが、まだ時間も早く、翌日も天気が良くなるかどうかわからないので下山することとした。下山は、蓮華温泉へ下る事も考えたが、ここは展望の良いときにとっておこうと思い池の畔から残雪を踏み、そして大きな岩をとんとんと登り、一汗かいた頃乗鞍岳に到着。だだっ広い山頂の大きなケルンでは沢山の人が休んでいた。このころから登ってくる人もたくさんあり、挨拶と道を譲るのに疲れてしまった。そして雪渓の下り。今年は残雪が多いとのこと。しかし沢山の人出でステップがしっかりしておりアイゼンをつける必要はなかった。途中会う人にこの雪渓はまだ続くんですか?と何度も聞かれた。以外と急な登り、息も絶え絶えで登ってくる人が列を作っている。


栂池
雪渓もようやく終わると、天狗原、ワタスゲがたくさん風に揺れていた。時々雨が降る。雨具を着るまでもない。ここから栂池までは結構長い。それに食料もたっぷり残った重いザックが肩に食い込む。足もガタガタ。雨のあとで石は滑りやすく、泥はぐちゃぐちゃ。で、ようやくゴンドラ乗り場に到着。ザックも手荷物料金が必要であった。併せて2000円(だったかな)高いようだが、快適に山肌を下る爽快感、それにこの高度差を考えると安いものだ。
到着した麓駅ではじりじりと照りつける太陽で暑い。見上げる山はまだ山頂付近はしっかりとガスがかかっている。バスで白馬駅まで戻り河原に止めた車を回収し温泉で汗を流し長いドライブで帰路についた。
強風で断念した雪倉岳〜朝日岳、静かで高山植物も豊富とのこと、是非いつの日か再挑戦したいものだ