厳しい笠新道の登りで笠ガ岳へ その2
2001年8月25日(土)〜26日(日)曇り時々晴れ

笠ガ岳山荘付近から山頂を望む
山頂 山頂はガスってなにも見えなくなってきた。やばい、このまま天気が下り坂だったらどうしよう…まあ、いいか、とりあえずビールでも飲んで一休みしようと700円のロング缶を買って外に出ると、ガスは激しく動いている。時々びっくりするような青空がのぞく。うん、雲は薄そうだ。今日のうちに登ることにしようとビールと水は小屋の脇において山頂をめざす。抜きつ抜かれつした単独行氏は今日はもう諦めたとのこと。もう一人はテントを張ろうかそれとも小屋泊まりに変更しようかと悩んでいた。

 石ころの多い登りをわずか15分で山頂に到着。ガスはものの見事になくなり素晴らしい展望があらわれた。
やったね。妻に早速電話を入れる。最近は山頂から登頂達成連絡を入れるのが恒例になってしまった。携帯電話って便利だなあ。ガスはなくなったといってもまだまだ不安定。遠望は聞かない。しかしこのくらいなら申し分ない。展望を満喫し小屋まで戻り、ビールと水を抱えてテント場に戻る。
 
テント場 まずはねぐらの確保。ツエルトを張る。まあ、寒くなけりゃあ雨が降っても我慢できるだろうとツエルトにしたがちょっと不安な天気だなあ。ポールは二本のストックを利用。そしてサイドを広げて居住性を良くするのに内側に5円玉(別に100円玉でも構いません)を入れ、外から紐でくくって張るといやあ、快適な広さが確保できた。この方法は先日雑誌で目にしたばかり、早速役立てることができた。以前は風が吹いたりすると狭〜くなってしまっていたのにちょっとしたアイデアでこんなに変わるのかと一人関心、納得する。

 ねぐらが確保されたら後はのんびりとした時間を過ごす。ビールに水割り、そしておつまみは…こんなひとときがテント泊して良かったなあと思う。あいにく展望はガスが濃くなり次第になにも見えなくなってきた。闇が濃くなりローソクを灯す。厳かでロマンチックな雰囲気が大好きだ。人恋しくなり妻に電話しようとしたが、ちょっとつながってすぐに切れてしまう。電波は不安定だ。しかしメールは百発百中。しばらくメールのやりとりを楽しむ。そのうちあちこちのテントにもランプの明かりがともりほのぼのとした夕方の雰囲気になってきた。

 明日の天気はどうかなあ…と思いながら就寝。昨晩の寝不足が今になって急激な睡魔を促す。幸い、雨も降りそうにない。夜中に目が覚めてツエルトから首を伸ばすと夜空には少し星が瞬いていた。おっ、この調子だったら明日は期待できるかな…時々結露した水滴がポタリポタリと顔に落ちる。そのたびに眠たい目をこすりながら時計を見る。ま〜だ夜中だよ〜

 朝です。天気が良ければもう一度山頂に登ってご来光を拝もうと考えていたが、期待に反してあまり良くない。雲が多く少し空は明るくなってはいるが、そのうちに全く見えなくなってしまった。いやあ、昨日山頂をめざしてて良かったなあと思いながらツエルトを撤収する。それほど寒くはなかったが、この結露状態では結構冷え込んだのかなあ…シュラフカバーのおかげでシュラフや身体をぬらすことは無かったので一安心。
 さて山荘へとトイレのお世話になりに登る。この5分は疲れます(^_^;)。
入り口には出発準備の人達がごった返している。そしてトイレの前には長〜い列。山小屋のいつもの光景だ。昨日登りで出会った女性二人連れがいた。「いやあ、混んでました」だって…

秩父岩 ガスでなにも見えないが、予定どおり弓折岳経由、小池新道で下ることに決め出発する。時々現れる景色を断片的につなぎ合わせ、想像的展望を楽しむ(^_^;)
抜戸岳はどこか分からないうちに過ぎてしまった。たぶんあのピークだろうと思いながら先に進む。途中、前方にゴソゴソとうごめくものを発見。雷鳥だ!親子で散歩中だ。そして秩父平への下りではガスも晴れ前方の視界が現れた。見えれば見えたで、ええっ、またあんなに登るの〜と思いながら異様な形の秩父岩を眺めながら下る。

 

秩父平への下り このあたりは花が多かった。黄色い花や白いウメバチソウ、リンドウ、チングルマ、キンポウゲ?等々を眺めながら下る。穂高方面の山並みも山頂は見えないが、荒々しい山肌は少し見ることができた。そしてまた登りが始める。このあたりから反対コースから歩いてくる登山者と出会うようになった。「あいにくの天気ですねえ」が合い言葉だ。(^_^;)

 そしてまた雷鳥が出迎えてくれた。今度はほんと足下近くで花の実をついばんでいて逃げようとしない。シャッターチャンスだ。しばらく眺めて静かにさよならを言って先に進む。大ノマ岳を過ぎるころ団体さんと遭遇。こんな大人数ではあの雷鳥も逃げてしまうだろうな等と思いながら乗越へと下る。

鏡平分岐への近道 ここで一休みしていると数人が下ってきた。「さあ、今日最後の登りだ。頑張ろう」と気合いを入れている。私も弓折岳をめざす予定であったが、のんびりと標識を見ていると、直接小池新道へ下る朽ちた標識が目に入った。地図を見ると波線になっている(昭文社の地図は波線、1/25,000図は表示無し)。少し下ってみると以外とはっきりした道だ。よし、こちらへ下ろうと決定。本当は鏡平に浮かぶ槍ガ岳を見るのも今回の目的だったが、この天気ではその望みも叶えられそうもない。

 しかしこの道凄く急だった。石ころがごろごろとしており、捻挫などに気をつけながら下るが道は割としっかりしている。シシウドが群生している。あまり印象のある花ではないがこんなに咲いていると壮観だ。トリカブトやクルマユリも沢山咲いていた。約30分で鏡分岐に到着。ロープをくぐり抜け登山道に出ると沢山の登山者が休憩していた。「えっ、ここ降りてきたんですか?何分かかりました?道はありました?凄〜い」と質問責めにあう。

林道 ここから先はわりと歩きやすい道となったが、結構な距離で少し足が痛くなってきた。何度か枯れた沢を横切り林道に到着した。登山口あたりは以前の雨のためだろうか山肌が大きく崩れており修復工事中だった。
ワサビ平小屋で一休み。少し雨が落ちてきたが、火照った身体には心地よいほどだ。ブナの木が印象的な林道を快適に下り新穂高温泉に到着した。
 このころ天気は持ち直していたが、あいにく山の頂はガスに隠れていた。
憧れの笠ガ岳、二日目はあいにくの天候だったが、初日は好天に恵まれ、思った通りの厳しさを満喫し十分楽しむことができた。さて、今度は双六だけをめざしたいなあと思いながら伊勢崎市への長い帰路についた。