素晴らしい黄葉その2(2,702m)
2001年10月6日(土)〜7日(日)両日とも晴れ
寒くなったので小屋に戻る。ここで単独行同志が集まってにぎやかに談笑中。やがて日が暮れ19時頃には皆早々と眠りにつく。楽しく語らいでいた単独行グループもその雰囲気を察して店じまい。
今日の宿泊者は皆マナーがよい。夜、トイレのついでに外に出ると星が満面に輝いている。地元の人の「寒いよ〜今夜は」との脅しにあっていっぱい着込んで寝たが以外と暑く、途中で一枚脱ぐほどだった。23時頃目が覚めた。心地よい眠りが、両隣のいびきの大合唱に遮られたのだ。それ以降気になって寝れない。うつらうつらとしながら時が過ぎる。寝たような寝ないような時間が過ぎ3時過ぎにまためざめる。相変わらず、両方の耳元でいびきの音。う〜ん、口をふさいでやろうか(^_^;)…
こんな事ならツエルトにすれば良かったと悔やむがすでに遅し。頭を反対にして寝る。少しは楽になった。でも寝れない。
悶々と時を過ごす。予定では5時半出発の予定であったが、どうせ寝れないなら早く出発しようと準備をして4時半に小屋を出た。空には星が輝いている。月明かりでライトを点けなくても歩けるくらいだ。テント場の脇を通り木道のある湿原はしんと静まり返っている。木道は霜で白く月明かりに光っている。転ばないように慎重に過ぎる。そしていったん急な下りとなる。えっこんなに下るのと不安になり地図を眺める。間違いはなさそうだ。そして沢に出て、いよいよ急なジグザグの登りとなる。次第に夜が明けてくる。脂汗たらたらという油坂、ひんやりと涼しいためか汗は出ない。そして油坂の頭に到着。
北アルプス連峰の展望は今日の方が良さそうだ。でも今日も雲海の上に顔を出している程度で、見えるのは山頂付近の連なりのみだ。空が白みはじめる。今日の日の出は雲が多いのでいまいちだが、夜明けの雰囲気はいつでも神秘的だ。しばし日の出の荘厳さを眺めって休憩。早起き下おかげでこの光景を見ることができた。いびきのおじさんに感謝(^_^;)ここからは快適な稜線歩きだ。次第に赤みを増す山肌は感動的だ。わずかで天池に到着。池に映る草紅葉が綺麗だ。絵になる光景にシャッターを押す。カードが一杯になったので交換する。
ここで今回の山行の最大の失敗をしでかしてしまった(もっとも後で気づいたことだが)。別のカードを挿入し確認したら仕事の写真が入っていた。それで更に別のスマートメディアに交換してフォーマットした。このとき確認すれば良かったんだが、なんと先ほどまで写していたカードを再度挿入してフォーマットしてしまったようだ。このときはそんなこととはつゆ知らず、撮影を続ける私であった。ここから先の尾根は岐阜県側が急な崖となり切れ落ちているが、それほど危険を感じるところはない。
そして大屏風、今度は反対側が切れ落ちているがここもさほど問題無い。振り返れば白山の山頂が日に当たり綺麗だ。眼前には御舎利山が聳えている。誰かいるように見える。いったん左側から巻いて別山への分岐を右に登る。チブリ小屋から写真撮影に登ってきたという4人連れがいた。ここから望む別山は、なだらかな稜線の続きにあり、ちょっと拍子抜けした山容だ。
ザックをデポし、岩小屋を過ぎ祠のある別山に到着。祠の前で単独行氏がくつろいでいた。三ノ峰避難小屋から登ってきたそうだ。たった一人の山頂で記念撮影。歩いてきた稜線越しに見る白山が優雅に輝いている。ここからはいろんな尾根の展望が望める。またいつか歩いてみたいなあと思わせるに十分な景観だ。北アルプスは先ほどよりも姿を表しつつあった。そして御舎利山に戻る。のんびり歩いたからか、別山へ向かう南竜からの登山者と数組すれ違った。さて本日のメインエベントチブリ尾根のブナ林めざして下山としよう。
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別山頂上にて |
チブリ尾根避難小屋 |
小屋裏より尾根を望む |
下りはハイマツの急斜面が続く。ガレた登山道は歩きにくい。傾斜も緩やかになるといったん少し登り小屋に到着。このあたりは色とりどりに山が色づいている。小屋は13,4人が寝れるようだ。ここから別山や白山方面の展望がよい。一休みしていよいよブナ林の原生林へと向かう。しばらく平坦な道だがやがて緩やかに下り始める。標高1,700〜1,800mあたりの紅葉、黄葉は今が盛りのようだ。ダケカンバが主であったが、1,600〜1,700mあたりはこれからといった感じでブナの林が主だった。緑から黄色へ移り変わる微妙な色合いの変化が美しい。急いで下るのはもったいない。のんびり眺めながら下ろう。このころになると登って来る人と出会うようになった。「小屋はまだですかねえ…」「もうすぐですよ」と励ます。小屋までたどり着いてもその先には更に厳しい登りが待っていることを知っているんだろうか?でもあえてそれは告げないことにしよう(^_^;)
しかしこの尾根は長い。水場当たりは1,300m、このあたりはまだまだ緑色が支配している。御舎利山から市ノ瀬まで標高差約1,200mもあるので、紅葉の始まりから終わりまでを見ることができる。水場から先はなだらかな道となり、なかなか長い道のりだ。でも爽やかな樹林帯でそんなに辛くは感じなかった。登山口の林道に出るとわずかで川沿いの道となる。河原におり手顔を洗い汗を流す。滑りやすい道を頑張ったストックの泥を洗い落とす。ああ、白山登山もこれで終わりか、なかなか趣のある山だったなあと思いながら市ノ瀬バス停に到着。バスの発車まで1時間半もあったので、ビジターセンターで白山の紹介やビデオ鑑賞して過ごした。それでも時間が余りうつらうつらしているとバスがやってきた。
