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この山のことは知らなかった。HPで「大雪山展望の山」とか紅葉が綺麗だよって書き込みを目にして気になった。地図を眺めてみると「ん、マウンテンバイクで行けそうじゃん?」となった。
山行日 04年9月20日(月)晴れ
メンバー 単独
コース 古川林道登山口…見晴台……山頂……見晴台…登山口
0835 0935 1045-1105 1300
地 図 ニセイカウシュッペ山(1/25,000図)
ニセイカウシュッペ山…う〜ん、変わった名前の山だ。ガイドブックによると 「アイヌ語で、断崖絶壁の上にある山」と言う意味らしい。「迫力の岩峰と表大雪の山々を眺めて長い尾根をたどる。大槍、小槍というピークを従え展望と優しさの山」というキャッチフレーズ。何とも登行欲をそそる山である。そんなところにMTBで行こうという計画。さてどうなる事やら…
北海道に来て1年ちょっと過ぎたが、マウンテンバイク(こもれび号)の出番が少ない。関東でよく見かける里山、裏山って感じの山が北海道には少ないようだ。標高の低い山はあってもそこに手頃な山道はあまり見かけない。冬は雪に閉ざされたり、ちょっと山に入って遊んでみようかって言う習慣がないのだろうか?いずれにしろ山でMTBって感じで気軽に遊べる山は少ない。
出番が無く寂しい思いをしている「こもれび号」、たまには山に連れていって清々しい空気を吸わせてあげたい。そんな気持ちが地図を眺めていると黙々とわき上がってきた。よし行こう!昨日の雨で登山道の状況が少し心配だったが、天気予報は良い。昨日の高原沼散策に続き、早起きして出発だ。
三国峠を越え層雲峡、そして上川町から右折ししばらくして中越を再度右折、そして古川林道を走る。途中ゲートに到着。カギは開いていた。しかし、帰り鍵を掛けられていたら大変だ。事前に営林署に確認した番号と合っているか確認した。「****」良し、間違いない。そして更に進むとまたゲートがあった。こちらも開いていた。例によってまた番号の確認。「良し!」。そこから登山口までは結構な距離であった。しかし良く整備されており走りやすい。でも雨などで土が流されたら大変だろうなあと言う感じの道路であった。そして広い駐車場に到着した。
駐車場には10台くらいの車が止まっていた。いやあ、みんな早いなあ…車から「こもれび号」を降ろしタイヤを取り付ける。そして空気圧のチェック「異常なし!」久しぶりのMTB山行に心がはやる。出発しようとすると「自転車ですか?」と怪訝な顔をしながら声を掛けられた。「こんな山を自転車で登るなんて信じられない…」と言った表情だ。じゃあお先にと声を掛け登山届けを記入し出発する。
最初はあまり勾配のない淡々とした登り。落ち葉を踏みしめながら登る。少し紅葉した雑木林の登山道は展望こそ無いが実に気持ちよい。天気は快晴とは言えないが、もしかしたら晴れまも出るのではと期待させる淡い日差しが照っている。木漏れ日を受けながら少しずつ高度を上げる。地図で見たとおり(当たり前ですが…」なだらかなコースだ。しかし先日の雨の影響で徐々に道がぬかるんでくる。グチャグチャの道はとても乗っては登れない。もっともグチャグチャでなくても我が輩には少しずつ厳しい勾配となっている。まあ、紅葉を堪能しながらのんびり登ろう。
標高1,371mのピークあたりまではまずまずの勾配だ。単調な登りだがこのあたりは乗って下れそうだなと、グチャグチャ道でないところは嬉しさに生唾ゴックンです。左手前に少しずつ頂上らしき景色が見え始める。左側は深く切れ落ちた沢である。そして標高1500mあたりから稜線が細くなり岩場となる。山頂の展望もバッチリ見えてきた。大雪山方面の雄大な景色も見え始めた。ここからは天望を満喫しながらの登りだ。「あと2km」の標識からわずかで見晴台に到着。
いやあ、いい眺め。大槍、小槍、「…アルペン踊りを、さあ踊りましょ…」と口ずさんでいた。さあ、ここから層雲峡からのコース(今は廃道らしい)との合流地点までが今日の我慢のしどころの登りだ。もし無理ならこもれび号はデポして登ろうかと思っていたが、どうにか登れそうな雰囲気。もちろん押して登るだけですが(^_^;
このあたりから時折下山してくる人とすれ違うようになった。「自転車ですか?乗って下るの?軽いんですか?ちょっと持たせてもらえる?頑張って!気を付けてね」と声を掛けてくれる
登山者の邪魔にならないようにするのはMTB登山のマナーです。登山者が見えたら、不安を抱かせないようにしばらく前から広い場所に除けて待つ。もちろん近づいて来たら先に「こんにちわ!」と声を掛ける。もっともトラバースのコースでは山側の安全なところに待機です。待機していると、登山者から「どうぞお先に」と声を掛けてくれる人がいる。有り難いが、こちらから爽やかな笑顔で「いいえ、どうぞお先に」と道をゆずる。北海道の登山者は、あまりMTB登山は見たことがないらしく一様に驚きと興味を示してくれる。
南が断崖となった1742m峰、急な斜面をトラバースしながら標高をあげる。そして大槍のコルを過ぎ、最後の一頑張りだ。きつい登りだ。時には岩場が表れどうして登ろうかという場面も表れた。そしてちょっとした岩場の下り。万事休すと言うほどでもなく慎重に登り下りする。「おっ、自転車で登ってるぞ!」と下山者が大きな声をあげた。「頑張れよ!!」と声を掛けてくれた。おじさんが寄ってきた「俺もMTB乗ってるけど、こんな所に来る人もいるんだ」と感心していた。
おじさんの目をランランと輝かせて話をしている我々を見て、奥様らしき一が「色々な人がいるもんですねえ…」とつぶやいていた。旦那がMTBでこんな所に来たら心配でたまらんとでも思ったんでしょうね(^_^;難所を過ぎるtぽ少し平坦な道となる。もう安心だ。層雲峡からのコースと合流した。おじさんが弁当食べながら休んでいた。「おっ自転車かい?大変だね。ここからはもう楽だよ」って声を掛けてくれた。いったん少し下る。おじさんが見ていたので緊張しながら乗って下る。そしてまたわずかに登りはじめる。
右手には凛々しい姿のピークが見える。あのピークを越えて平山、比麻良山へと登山道は続いているようだ。いずれあのコースも歩いてみたいな等と思いながらハイマツ帯を緩やかに登る。単独の女性が追いついてきた。「大変ですね」と声を掛けられた。ここから先は風が強いからと言ってウインドブレーカーを着込んでいた。確かに風が強くなっていた。まあ、いいかもう少しだからこのまま登ろう。ハイマツ帯はMTBでは押して登るのも大変だ。登山道は狭く、下の方には枝が出っ張っており車輪にからみついたり足にからみついて登りにくい。
でもそれも束の間、待望の山頂に到着だ。
やったね!こもれび号を持ち上げてバンザイと小さくつぶやいた。晴れ間はまだ出ない。どんよりとした天気で風が強い。でも展望は抜群だ。これで青空があったら言うことはないだろう。女性は寒いのかすぐに下っていった。山頂にただひとり。記念撮影をして、念願の「山頂広場でMTBを乗り回そう!」。誰もいない広い山頂でMTBにまたがる。う〜ん、いい気分だ。
さて展望も楽しんだし下りましょう。下りはハイマツ帯の中足を取られながらもどうにかMTBにまたがったままでちょっとした広いところまで下ることが出来た。そしてガレキ石を敷き詰めたような水平な道に出るが石ころの道はとても乗っては行けない。でもせっかくの下り。快適とは言い難いがとにかくまたがって下る。ブレーキを掛けすぎるとタイヤがロックしよけい危ない。それに登山道をえぐることにもなり、とにかくタイヤはゆっくりと転がせなければいけない。それでも急坂で無理な場合はもちろん安全のため押して下ります。
層雲峡への分岐について一休み。山頂では寒くて御飯どころではなかったのでここで大休止。目前のアンギュラス峰を眺めながらのおにぎりは最高だ。
ここからはまた厳しい下りが続く。慎重に下ろう。殆どは押しての下りでした。天気も回復し青空がのぞいてきた。快適に下る。と言っても大部分は押しての下り。でもわずかとはいえ乗って下るところもあり、そんなときは快感を感じる。たまに味わえる喜びは感動もひとしおだ。、
見晴らしを過ぎたところでおばさん達が休んでいた。わが輩が現れると拍手で出迎えてくれた。登りに「頑張ってね」と声援を送ってくれたグループだ。
今か今かと下ってくるのを楽しみにのんびり下山していたところだと声を掛けてくれた。いやあ、そうだったんですか?緊張しますねえと拍手に見送られながら颯爽と下っていった。
しかしすぐに乗って下れないような所に遭遇。おばさん達の姿は見えない。こんなところはどうやって乗って下るんだろうと期待されたら大変だ。(^_^;
緩やかな下りとなるが、沢山の人が歩いたせいか登りの時よりもグチャグチャ状態がひどくなっていた。勾配から見ると何の苦労も無く乗って下れるような坂、乾いてたら快適だろうなと思いながら、どろんこ道を下る。タイヤやブレーキにもドロがべったりとくっつき、もはやブロックパターンのタイヤは扁平タイヤと化してしまった。ズルッとタイヤをとられ万事休す、体勢を崩し「おっとっと…」耐えきれずズデ〜ンと転倒。幸いドロの中には突っ込まなかったが、ちょっと急な逆立ったため思いっきり膝をぶつけてしまった(;_;)
でも、そんな走りも楽しみのひとつです。最後の方は、紅葉した樹林帯の中を快適に走ることが出来ました。そして道幅も広くなり風を切って走るとゴ〜ル!!!登山口に到着です。もうこもれび号はどろどろの状態です。笹の枝を拾ってきてしばしドロ落としです。でもそんな事で落ちるような柔なドロではなかった…幸い車の後部にはビニールシートが詰んでいる。それでこもれび号を包み帰路についた。 日が暮れて帰る道すがら「いやあ、楽しかった。また行きたいね」とつぶやいた。
帰りに層雲峡で風呂に入って帰ろうと立ち寄ったが駐車場は満車、どうにか泊めて温泉に行こうと思ったが、あまりもの人出で躊躇してしまった。で、お風呂には入らずじまい…
さて、このドロ汚れどうしよう…家に着いたらドロも乾きMTBは悲惨な状態。疲れているがこのままではこもれび号が可哀想だ。そうだ、川に行って洗おう。いつものサイクリングコースの脇から河原に降りて前後のタイヤを外しピッカピカに洗ってあげた。30分以上かかってしまった。
ニセイカウシュッペ山、それは大雪山系の一角に位置づけられる山です。私は知らなかったんですが、この地域はスノーモービル等、車馬の乗り入れは禁止されているそうです。車馬の定義は定かではありませんが、MTBも該当するとすれば、今回の私のMTB山行も「こらあ、何やってんだ!ここは乗り入れ禁止だよ」って叱られることになるかもしれません。私はもう既に登ってしまったわけですから、禁止されている山だったら「ごめんなさい…」するしかないですね(^_^;
教えていただいた関連のHPです。興味ある方はご覧になって下さい。
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/2539/
でも気になったから、関連する公的機関に問い合わせをしました。「MTBは駄目なんですか?車馬の定義は…」って問い合わせしたんですが、何故か返答がなしのつぶてです。面倒くさいのか無視されたのかのどちらか、または「MTBは車馬なのか?」ってお役所のことだから一生懸命議論してるのかもしれませんね。いずれにしろ答えを聞きたいものです。
まあ、答えがどうあれ、今回のようにMTBでの登山は北海道ではあまり馴染みがないようです。もしかしたら不快に思ってる人がいないとも限りません。禁止になってる山域には入らないのが当然でしょうし、禁止でない山域でもMTBはやはり歩いてる登山者には驚異に思う場合もあるでしょう。マナーを守って今後も楽しみたいものです。